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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(98)高価な品々と

 ロイに会うためだけに連絡を受けた瞬間に今行っていた仕事を瞬時に放り投げて馬に乗り、勢い良く門に向かって疾走したルホーク。


 ルホークが仕事をしていた部屋に控えていた執事は長年ハイス子爵家に仕えているので、ルホークだけではなくハイス家の面々の性格は熟知しており対処も慣れたもので、数日前に王都のハイス子爵からロイとリーンが領地に戻るとの連絡を受けた時点でこうなる事を予想して馬の準備まで整えていた優れ者だ。


 その恩恵を受けてそう時間がかからずに門に到着してリーンとロイを見つけたルホークは、何時もの通りにロイをこれ以上ない程に甘やかしてやろうと思っていた所で門番から声をかけられてしまう。


 一応領主代行として領地を取り仕切っている関係上いくらロイに激甘で直にでも構い倒したい気持ちがあっても、仕事は仕事として割り切る必要があるのが領主の務めであると正しく認識しているので何とか表情を取り繕って対応する。


「な、何かあったのか?」


「はい。実はこちらの商人なのですが何やら領内で得られる素材を目当てに来たようで、原資とするために手持ちの素材が領内で販売可能なのか確認してほしいと言う事だったのです」


「ん?お前達でもその辺りの知識はあるだろう?今日に限ってどうした?」


 早くロイと話したいのでソワソワしつつも必死に対応しているルホークと、その気持ちを理解しつつも申し訳なさそうに説明する門番。


「それが、申し訳ありませんが私達でも見た事もない様な素材だったのです。何でもアザヨ町のシン()ロイ商会で入手したとの事ですが」


 ハイス子爵領で商売をしている行商人やアザヨ町の商会もロイのカードによる者なのだが、全てが全く同じ品を販売しているわけではないので今回一般の行商人が持ち込んだ品を門番が見た事がないと言っても不思議ではない。


「フム・・・巷で噂のシン()ロイ商会か。見せてもらおうか?」


 ルホークは鑑定魔法を高レベルで使えるので、商人が持ち込んだ品を鑑定する。


「成程・・・な。俺も初めてこの領地に行商人が来た時には相当驚いたが、慣れとは怖いものだな。本来腰を抜かすほどに高価な品ではあるが、その品自体は領内に流通していないながらも同等の品はある。従って、領内で取引する事は可能だろう。ただし、そこそこ技術の有る店、鑑定を使える者がいる店でなければ正確な査定はされない事は付け加えておこう。数店紹介しておくと良い」


「はっ!」


 流れるように対処したルホークを見て感心しているロイと、これでロイと話せるとだらしなくあからさまに表情が緩むルホーク。


「待たせたな。とりあえず戻ろうか?間違いなくエドバンが歓待の準備を整えているだろうからな」


 エドバンとは少し前までルホークと共に居た有能な執事の名前で長い白髪を後ろでまとめている細身の男性で、非常に有能である為にルホークの補助の意味もあって今のところは王都のハイス子爵の元ではなく領地に留まっている。


「エドバンも元気かな?本当に久しぶりだから、変わったかな?」


「そうねぇ。私が最後に会った時には変わらなかったけど、どうかな?ルホーク(にぃ)


「いや、あいつは何時も俺の事を非常に厳しく指導してくれるので全く変わっていないぞ?少しは変わって大人しくなってくれると良いのだが・・・」


 三人で歩きながら城に戻っているので道行く人からは相当数声をかけられ、その全てに軽くではあるがしっかりと対応しつつ歩みを止めずに進んでいる。


「そう言えばさ、兄ちゃん。その様子だと間違いなく聞いていると思うけど、今回領地には立ち寄ったけど、この後俺と姉ちゃんはまた旅に出る予定なんだよね。お勧めの場所とかってあるかな?」


「う~ん。正直俺も領主代行としての仕事が立て込んでいるし、幸か不幸か経営も上向きで毎日忙しくさせてもらっているからな~。楽しい場所やらの情報は中々持っていないんだよ。最近は王都が少々きな臭くなっているとか良くない情報ばかりだからな。どちらかと言うと、冒険者として飛び回っているリーンの方が詳しくないのか?」


「え?私?無理無理!私は何時もロイ君に早く会えるように、さっさと現場に行って一刻も早く依頼達成する事しか考えていなかったもん。余計な情報なんて持っていないわよ、ルホーク(にぃ)


 途中不穏な会話も有ったのだが楽しそうに話しながら三人が城に戻ると、ルホークの予想通りに歓待の準備が完全に整えられていた。


 道中の会話も、そして素晴らしいタイミングで素晴らしい準備を完璧に行って見せた執事エドバンの事もスペードキングを通してカードの者達には伝達されている。


「むむむ、コレは・・・非常に悔しいが、我らとしても見習うべき所が大いにあるのではなかろうか?」


 ダイヤキングが何時もの通りに口火を切り、素晴らしい対応力があるエドバンを褒め称え、全てはロイの為にその技術を余す事無く盗む必要があると考える。


「であれば、この領地を拠点にしているスペード部隊の三人の内の誰か一人をエドバン殿に張り付かせて逐一状況を報告させるのは如何か?」


「しかし、それでは広大な領地の守護が疎かになるだろう?何か事が起こっては悔やんでも悔やみきれない。となれば・・・ルホーク様が奇しくも王都の事も仰っていた事を鑑みると、対策は一つしかないだろう!」


 何時も自信満々のダイヤキングなので、カードの部隊全員が続く言葉を今か今かと期待に満ちた目で待っている。


「・・・と言う事だ。当然ここまでの事を行うのであれば独断では不可能なので、我が主の許可を得る必要がある。しかし領地にも益がある事なので否とは仰らないだろう。フフフ、我が主の為に動ける事、非常に楽しみだ」


「おぉ、流石はダイヤキング殿。否はない!」


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