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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(95)旅を渇望

 王侯貴族のドロドロした闇を直接見る事になったロイは、王城を去った後に邸宅に戻ると家族に希望を告げる。


「あの・・・さ?なんだかこの王都に居続けても正直ちょっと疲れちゃうんだよね。前の様に見分を広げる意味もあって、また旅に出たいな~って思うんだけど、どうかな?」


「確かにロマニューレ殿と直接話した感じでは相当長期間絡まれる事は間違いないし、そのせいで陛下からも色々と指摘される事があるのも間違いないね。その環境に大切なロイを置いておけるかと言うと、考えさせられるね」


「私はロイ君の意志を尊重しますよ?でも、時折お母さん達に近況を伝えてくれると嬉しいわ」


「お父さんとお母さんも賛成・・・なのよね?ルホーク(にぃ)も文句は言わないと思うから、私も賛成。でも一つ条件があるわ!」


 家族の了解が得られるのかと思いきや最後のリーンが怪しげな条件と言う言葉を笑顔で吐き出し、その瞬間に何を言い出すのか理解してしまったロイ。


「お姉ちゃんも一緒に行くね?安心・安全でしょ?」


 予想通りの言葉を期待に満ちた笑顔で投げかけられたロイ。


 心が強くないロイは仮に断った際には間違いなく泣かれるのが目に見えているので、悲しませたくないと言う思いが先行して仕方がないかと思い始めている。


「そうだ!それならば最初はルホークの所に向かうのはどうだい?ロイにとっては久しぶりの領地だろう?様子を見つつ旅も出来る良い機会だと思うけど?」


 父であるハイス子爵の提案によって、先ずは馬車でこの王都から二日程度の場所にある領地に向かう事が決定した。


 目に見える最強戦力であるリーンが不在になる上にどう考えてもロマニューレや国王達から絡まれる状況になっているのだが、ロイはそのような態度をおくびにも出さずに快く送り出してくれる両親に感謝しつつ即出立する。


 何時でも旅が再開できるように・・・と、リーンが収納魔法で準備万端の状態を維持していた為に、ロイの宣言から数分後には既に邸宅を後にしていた。


 ロイとしては自ら望んだ事ではないがあれだけ大々的に万屋がハイス子爵を守護すると宣言した以上は直接的にも間接的にも危険な状況にはならないだろうと思っているし、万が一の為にクラブシックスとセブンを護衛に置いてきているので安心している。


 領地の方はと言えばスペードセカンド、スペードフォース、スペードエイトが行商人として活動しつつしっかりと護衛もしているので全く問題ないし、久しぶりにカードの三人を直接労えると思っている。


「嬉しいな!こんなに早くロイ君とまた一緒に旅ができるなんて!!」


 喜びを隠しきれない状態で、リーンがロイにしがみついている。


 ここまで近接されている状態であっても陰に潜っているスペードキングからの会話が聞かれていないのだから、カード達がどれだけスバ抜けた能力を持っているのかを改めて知る事になったロイ。


「我が主。お屋敷を出てから付かず離れずの距離を保っている存在がありますので、念のためご報告いたします。緑の服を着ている二人組です」


 あまりにも浮かれているのか相当距離があるからなのか、リーンは追跡者の存在には気が付いていないように見える。


「ありがとう」


「うふふふ、こっちこそありがとうだよ!ロイ君」


 スペードキングの言葉はリーンに聞かれないのだが報告に対してお礼を伝えるロイ自身の力はなにも無いので例え小声だったとしてもしっかりとリーンに拾われてしまい、そのお礼が自分に向けられたものと思ったリーンは更に喜んでいる。


 王都から領地に戻る為に馬車に乗るつもりだったのだが、少しでもゆっくりと二人きりで旅を楽しみたいと言うリーンの強い主張があって徒歩で移動しており、報告を受けたロイがさり気なく背後を振り返るのだが見通しの良い街道であっても緑の服を着ている存在は視認できず、相当な距離を保っているのだな・・・と思いつつ歩くロイ。


 国家としての税収の減少、つまりシン()ロイ商会の本店とも言える巨大な商店がある王都と陰ながらの補助で経営状態が飛躍的に上向いているハイス子爵領以外は景気が悪いので、噂に敏感な商人や冒険者達がその二カ所に多く向かってしまうのは仕方がない。


 特に冒険者は王都周辺では騎士の活躍もあってあまり仕事が無いと知っているので、ハイス子爵領に数多く移動している。


 道中そのような人物達をよく見かけるのでスペードキングから報告の有った存在も王都から移動している冒険者か商人ではないかと思っているロイは、どの道危険な状況に陥る事は無いと旅を楽しむ事にした。


 ロイに対して報告をしたと言う事はカード状態のダイヤキング達にも同じ報告がなされており、外部の情報を直接手に入れる事が出来ないカードの者達はいつもの通りに会議が開催される。


「私の推測になるのだが、我が主の溢れ出る善意に惹かれた存在なのではなかろうか?その善意のおこぼれを回収して人として一段上に行こうとしているのだ!」


「むむ。その線も非常に濃いが緑の服と言う所に着眼すると、自然に溶け込みつつ我が主の御威光を浴びようと言う試みの線も捨てきれない」


「成程!納得の推論だ!!」


 普通この状況であれば誰しもが第一選択肢として考えるのはソシケ王国か聖国ロナ絡みの間者だと思うのだが、カードの者達は今の所そのような推論を行う者は一人もおらずに明後日の方向に話しが盛り上がるのもいつもの通りだ。


 最終的に何があろうが力技で解決できるし、今までもそうしてきた経験が暴走を加速させている原因なのだろう。


 そんな会議が開催されているとは知らないロイは、リーンと共に呑気に歩いている。


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