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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(91)貴賓席の興奮と

 圧倒的すぎる結果となった、エックスとクラブキングの戦い。


 両者ともに貴族の代表として出場している事は必要以上に明らかになっており、つまりは圧倒的な戦力をハイス子爵家が持っていると認識される。


 まるで虫でもあしらうかのような形で敗北してしまった結果となったエックスだが、事前のパフォーマンスや戦闘中の動きによってただ者ではない事は誰しもが認識している事であり、そのエックスを難なく退けたハイス子爵家代表であるクラーブことクラブキングの異常さが際立つ結果となる。


 そもそもクラブキングは、攻撃と言える攻撃を一切行わないまま完全勝利してしまったのだ。


「バレント陛下?あれほどの強さを持つ者達を従える家臣を複数お持ちとは、恐れ入りました。やはり私といたしましてはハイス子爵家が非常に気になります。是が非でも帰国前にご紹介をお願いします。何でしたら、この競技が終了し次第すぐにでも紹介頂くのが良いのかのしれませんね?」


 有名になっているリーンがいる事で圧倒的な戦力を持つと認識されているハイス子爵家だが、今まで無名であったクラーブなる謎の存在までもが有り得ない程の強さを公の場で示した事、少し前に見た事も無い程の豪華な椅子が準備されていた事も踏まえて、何としても帰国前に接触しておこうと意気込む聖国ロナのロマニューレの目には欲望が溢れている。


 この様に言われたバレントは特別な戦力である首輪付きが負けた事に加えてハイス子爵家の名声が上がった事から非常に機嫌が悪いのだが、返事をする前に周囲の各国の重鎮が今回の試合について語りだしてしまう。


 逆にロマニューレからの問いに対して肯定も否定もせずに済む状況となったのだが、周囲は互いに席が離れている事もあって大きな声で今の試合について、更にはハイス子爵家について語りあう状況になっている為に嫌でもその称賛の声が聞こえてしまう。


「ちっ・・・鬱陶しい。だが確かにあの戦力は脅威以外の何物でもないぞ。それをロマニューレが手中に収めてしまったらどうなるのか、バカでもわかる事だな」


 流石の国王バレントもロマニューレの強欲な性格は嫌でも熟知しており、有り得ない程の戦力を持つ者、今回で言えばハイス子爵家に対して相当な餌をぶら下げる事で異国の貴族であろうが強制的に支配下に置き強大な力を我が物にしようとしていると考える。


 貴賓席にいる他の国家の重鎮達も今のロマニューレの周囲を気にせずにハイス子爵に食いついた状況を見てバレントと全く同じ事を思っていたし、事実ロマニューレもどのようにハイス子爵を手中に収めるのかで頭がいっぱいだ。


 そうこうしている内に貴賓席の重鎮達は勝手に盛り上がった挙句、バレントに対して要求までし始める。


「バレント陛下。あれほど素晴らしい試合を見せてくれた両名、特に勝者のクラーブと申す者、是非ともその実力を確認させて頂きたい」


「おぉ、実は私も同じ事を思っておったのですよ。ロマニューレ殿だけ抜け駆けは宜しくありませんぞ?如何かな。ここまで来てしまえば、皆の思いは同じではなかろうか?なれば、恨みっこなしの状況を作るべきでは?」


「恨みっこなし・・・異存はないですが、その中身によっては聖国ロナとして異を唱えさせて頂きますが?」


 異国の貴族と会う事に対して、その国(ソシケ王国)の長を無視した形で条件まで決め始めている始末だ。


「では・・・幸か不幸か各国が精鋭をこの大会に出場させている事が確認できましたので、最も順位の高かった者、更にはハイス子爵家所属のあの覆面・・・クラーブだったか、あの存在に勝利した者を擁する国が面会できる。宜しいか?」


「「「「「異議なし」」」」」


 状況としては非常に失礼ではあるが、複数国家の重鎮に対してこの場で怒り散らすわけにもいかずに堪えているバレント。


「して、バレント陛下。私は少々前からこの王都に宿泊しておりますが、何とも素晴らしい環境ですな。シン()ロイ商会・・・最近は特によく耳にしますが、このソシケ王国の王都ほど巨大な商会は見た事も聞いた事もありません。商会の者とどのように交渉されたのか、問題のない範囲でご教示願いたい!」


 最近のシン()ロイ商会の噂は急激に広がっており、同時に店舗数も徐々にではあるが増え続けている事もあって領主や国家元首達の耳にも嫌でも入っており、少なからず調査を入れると商会周辺で生活している民の生活向上、更には近辺の貴族までもが商品の虜になっており、国家繁栄の方向にある事が確認できていた。


 残念ながら商会が無い元首も現時点では多数いるのだが、その噂を聞いて相当羨ましく思ってしまう程の品揃え、価格、そして店員の対応だった。


 ソシケ王国の王都に限って言えば確かに税収等については良い方向に向かっているのだが、商会があるのはソシケ王国の中ではいくつかの町にできたばかりの商会はあるが納税に至っているのは王都の商会に限定されている為か、他の貴族が治めている領地からの税収が極めて悪い事もあって今回の大会開催ついでに懐を潤そうとしていたほどだ。


 バレントとしては今話題になっている王都の商会に対しては良い思い出が一切ないので、今までのこの場の者達の勝手気ままとも言える不敬な態度も有って余計に機嫌が悪化する。


「あのような商会と懇意にするほど落ちぶれておりませんな。王族としての矜持があるので、下賤の者と交渉するつもりもありません。そのような者に頼らずに自らの力で国家を守る。これこそが王族の真の姿だと思っている次第!」


 バッサリと切って捨てた後は視線すら合わせないとの意思表示なのか座ったまま腕を組み、目を瞑ってしまった。


 望んでいた答えと真逆の内容であったので、自国繁栄の為に商会の拡大を願おうとしていたこの男も当てが外れたとばかりに肩をすくめて自席に戻って行く。


 言われている内容について一部納得できる所が有った事もあり、このやり取りを聞いていた周囲の者、ロマニューレも含まれるのだが、これ以上この話題で騒ぐ事は無く試合を見続ける。


 当然目的は自らの国家に所属している者達の行く末であり、何としてもハイス子爵との面会、交渉権を得られるように祈る気持ちで闘技場に熱い視線を向けている一方、当事者のハイス子爵家と言えば相変らず周囲の者達を巻き込んで楽しそうに観戦していた。


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