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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(86)王城での国王と

「陛下。ロイと接触する事に成功して子爵家の代表として誰かを出場させると明言させましたが、何やらリーンの他にも戦力を抱えているようです。残念ながら我らの情報網ではその辺りは全く掴めておりませんでした」


 王城で、ロイと接触した密偵から報告を受けている国王バレント。


「何?まぁ良い。子爵家の名を背負うと言う意味は、しっかりと理解させているのだろうな?」


「もちろんでございます。他国からの要人も来ますので、敗北時には大陸中に情けない姿を広める事になると認識しているはずです」


「であれば良い」


 共にハイス子爵家の新たな戦力について思う所は有れ、差し当たり大衆の前で恥をかかせるために大会に出場させる事は出来たと胸を撫でおろしている。


「しかしハイスの所だけ税収が伸びているのも不思議だが、更に戦力を持っているとなれば今後は相当危険だな。そうは思わぬか?」


「確かに陛下の仰る通りですが、税収が伸びたが故に新たな戦力を雇い入れたと考える方が自然ではないでしょうか?」


 全く的外れな会話をしているのだが、自らも権力と財力によって早い段階から相当力のある人材に首輪をつけているので納得できる話しではある。


 ここで言う首輪とは物理的に何らかの制約を課した魔道具を目立たない位置に装備させる場合もあれば、多額の金銭や高待遇で国王の完全な管理下に置く事、状況によっては人質をとって脅しをかけて配下にしている者達に対して使っている言葉であり、本当に首輪をつけているわけではない。


 そこから漏れたのが収納魔法と言う特殊な能力を持ちつつもいつの間にか他の魔法を高威力で使えるようになっていたリーンと、何も収納できない(と思っている)ロイの二人。


 リーンは何らかの首輪をつけようとした際に相当な力を持っていた為に直接首輪を付けられず、代替として何とかロイを管理する事で上手く制御出来ていると思っていたのだが、直近のリーン達の言動を見れば全く首輪などついていなかった事が理解できる。


「で、どこの国に招待状を出すのだ?金を落としてくれる国でなければ意味はないぞ?」


 ハイス子爵家の名声を落とす事は当然なのだが、国家としての臨時収入も大切であると考えている国王バレント。


「正式に招待するのは聖国ロナで十分ではないでしょうか?その他の国家については密偵が間接的に接触すれば訪問してくるはずです。聖国ロナだけは財力が異常にあるためか無駄にプライドが高いですから、陛下からの書状が必要になろうかと」


「確かに聖主とかぬかすロマニューレは、無駄なプライドだけは一人前以上だからな。相分かった。財の為に我慢して書状を準備しよう」


 聖国ロナとはとある町で暴利を貪っていたスーレシアが属している国であり、その際スーレシアと会話をしていた欲望にまみれた国主である聖主ロマニューレが統治する国。


 欲にまみれている国主と言う話しは異国の国家元首にも知れ渡っているのだが、密偵が口にしていた通りに相当財力がある事に加えて癒しに長けている人物が多数おり、教会と言う組織を使って異国に潜り込んで日々の生活の一部に組み込まれている事から無下にはし辛い存在だ。


「で、首輪の誰を出場させるのだ?リーンが出てくると考えて選ぶべきだぞ?恥をさらすのは敗北者。万が一にも国の名を背負った者が無様に敗北してみろ。それこそ大陸中の笑いものだ」


「そこは重々承知しております。敗北など有り得ませんが、最悪の事態を想定してミュール男爵の名で出場させる手はずを整えております」


 万が一に敗北しても、名を汚されるのは何も事情を知らないミュール男爵になると伝えている密偵。


「そうか。なれば良い。話しを進めておけ!それと他国が来るとなれば体裁を整えねばならん。ハンブル(第一王子)はあのザマでミラージュ(第二王子)も連れ戻せん。なれば・・・ミュール男爵を使う以上は分かっているのだろうな?」


「はっ。ではバミュータ様を準備(・・)しておきます」


 密偵ともなれば国王の表も裏も知っているのでこの場で出てきたバミュータと言う男が妾の子、則ち隠し子である事も知った上で行動すると伝えていた。


 こう言った事を宰相ブライアンの前で話そうものなら立場上叱責できないながらも相当な嫌味を言って来るので、この場には宰相を呼んでいない。


 最早国王サイドで唯一の良心、そして最大の頭脳である宰相を自ら外して事を進めた結果がどうなるかは分かりそうなものなのだが、国王至上主義の密偵とこの場の騎士、自分至上主義の国王バレントでは理解できるわけもない。


 他国からの来訪者に十分なお金を落として貰う為にはある程度準備が必要であり、同時に招待された面々の移動期間もあるために即座に必要な準備を始めて行動する。


 相当大きな動きである為に宰相ブライアンの耳に入らないわけがない中で何時まで経っても小言を言われる事がなかった事に安堵している国王バレントだが、その当時宰相ブライアンはあろうことかハイス子爵の邸宅にいた。


「成程。万屋を名乗る不思議な声が聞こえてきたのですが、あの声は幻聴ではなかったのですね。間違いであればハイス殿にご迷惑をかけると思って悩んでいたのですが、思い切ってお伺いして良かったです」


「私もブライアン殿と胸襟を開いて話しが出来て嬉しいですよ。確かに今の陛下は少々羽目を外しすぎているように見えますね。ですが大会では陛下が有利になる事は一切ありませんよ。何せ我らには万屋が付いているのですから」


「実は万屋の話しが気になって私も独自に情報を集めたのですが何とも不思議な存在で、この王都ではシン()ロイ商会の休憩所に設置されている銅像に願いを告げると、万屋が受けてくれればどのような願いも叶うらしいです。アザヨ町、ジンタ町でも万屋の奇跡があったようですが、そちらについてはあまり詳しい情報は持っておりません」


「そうですか。まぁ、あの厳重な警備がなされている王城に平然とオークを送り届ける強者ですから、心配する必要はありませんよ?」


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