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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(84)国王バレントの怒り

「何なのだ、あの万屋とか言うふざけた存在は!余はこの国を治める国王だぞ!国家元首に対してあれほどの不敬、許せるわけがないだろう!」


「全くもって仰る通りでございます」


 シン()ロイ商会から逃げるように王城に戻って来た国王バレントは、同行していた騎士や密偵に対して今更ながら怒り散らしている。


 国王とは異なって相当な練度の有る騎士と密偵は万屋を名乗った謎の存在によって自分達の行動が完全に阻害された事は理解しているので、その力を脅威に思いつつも国王の言葉には同意している。


 周囲の者達が国王の言葉に幾ら同意しようが公衆の面前で相当小バカにされていた事は間違いなく、更には以前ハイス子爵を伴ってリーンが王城に来た際には親娘二人に揃ってコケにされた事も忘れてはいない国王バレント。


「おい!こうなったら首輪をつけている連中をリーンやハイスの領地に差し向けろ!誰をバカにしたのか、骨の髄まで分からせてやる!」


 ここで万屋に矛先が向かないのは万屋を名乗ったクラブの部隊から直接的な殺気を受けて腰を抜かしたからであり、潜在的な恐怖が完全に植え付けられていた為だ。


「し、しかし陛下。あの面々を向かわせてしまえば王都の守りが薄くなります。それに、相手は古龍すら手懐けているリーンです。敗北せずとも五体満足でいられる保証はありません!」


「貴様、余にあれほどの屈辱を与えた存在を見逃せと言うのか?」


「いいえ、そうではありません。しっかりと陛下のお力を認識させる事は賛成ですが、直接正面からかち合えば両者ともに大きなダメージを負い、ひいては国家の衰退に繋がってしまうと進言しております」


「ではどうしろと言うのだ?それほど言うのであれば、当然余が納得できる代替案を持っているのであろうな?」


「はっ。そもそも陛下のお力を認識させる為に、首輪付きとリーンを戦わせる事に異存はございません。リーンが敗れればハイス子爵家の戦力は当然かなり下がるので、そこを皮切りに子爵にも不敬の罰として相当な課税を行えば宜しいのではないでしょうか?」


「余の案と何が違うのだ?もう少し理解できるように説明しろ!」


「はい。リーンと首輪付きの戦闘は行いますが、しっかりと制御された状態で行えば良いのです。むしろその対戦を一大興行としてリーンが無様に負けるところも周知すれば、収益も上がる上にハイス子爵家に対しての立派な牽制にもなります」


 進言している密偵の一人は暗器でリーンを攻撃した際にあっさりと防がれた事を未だに納得できずにいる男であり、個人的な恨みもあってなるべく多くの人目がある状態で無様を晒すように進言している。


「成程な。その方の進言を受け入れよう。で、どの様にするのだ?」


「そもそもリーンが参加しなければ意味が無くなりますので、餌を撒いておく必要があります。今迄の情報を鑑みると、あの何も収納できない収納魔法を持っている無能の弟であるロイに夢中であり、旅に出ていた所を陛下の呼び出しを受けて急遽(・・)戻って来たようですので再び旅に出てしまう可能性もあります。ですから・・・」


 王城で領主であり当主でもあるハイス子爵とリーンが余計な国王からの呼び出しによってロイの旅の邪魔になった事だけに怒りを覚えてあれほど不敬な態度をとって見せたので、そこも踏まえてロイを陥落し、リーンを無理やり武術大会に組み入れる事にしていた。


 密偵であれば王都で一人ウロウロしているロイを発見する事は難しい事ではないので、普通に散歩しているロイを補足して交渉を始める。


 事前にスペードキングからシン()ロイ商会で相対した存在が近接しているが今の所危険はないと教えられているロイは、普通に接触してきた密偵と会話をしている。


「ハイス子爵家のロイ様ですね?私はとあるお方に仕える者ですが、ソシケ王国の繁栄を願っている者です。最近はリーン()の活躍をよく耳にしますが、そのお力を国の繁栄の為に少し使っていただきたいと思いお願いに参った次第です」


 同じ国家に所属しているのだから手を貸せと言っているのだが、ロイは当然の疑問を目の前の男、“とある方に仕えている”と言っている男が本当の父である国王バレントの密偵だとは知らない体で普通に問いかける。


「あの、何をするのかはわかりませんが姉ちゃ・・・リーンの力を借りたいのであれば直接本人にお願いすれば良いのではないですか?今日は王都のギルドで依頼を受けていますから、ギルドで待っていれば会えると思いますよ?」


「そうしたいのですが、当方にはあまり時間的余裕がないのです。それにリーン様はロイ様のお願いであれば絶対に聞き入れてくださいますから、直接ロイ様に交渉させて頂いております」


 リーンだけではなく父であるハイス子爵を含めた家族全員、目の前の男が言っている通りに自分の願いを全て受け入れて全力で応援してくれる事が容易に想像できてしまい思わず苦笑いをしてしまうロイ。


「それで、そのお願いとは何でしょうか?」


 ここで国王がどのような手を打ってくるのか少しだけ興味が湧いたロイは、敢えて願いの内容を聞く事にした。


「実はロイ様とリーン様のハイス子爵家は安泰ですが他の領地では少々税収が下がっており、最終的にはソシケ王国の国力が衰退しつつあります。そこで他国に健全な国力をしっかりと認識させる事に加えて臨時的な税を得る事を目的とし、一大興行として武術大会を開催する運びになったのです。そこに冒険者として相当有名になっているリーン様にも参加いただきたいと思いまして、こうしてお願いしております」


 冷静に話しを聞けば国王又は国王に近しい存在に仕えていると暴露している様なものなのだが、敢えてそこは突っ込まないままどの様に断るか考えていた所に何時もの流れでダイヤキングの案がスペードキングを通して耳元で囁かれる。


「え?はぁ。あの、リーンが参加するかどうかは分かりませんが、ハイス子爵家の戦力を参加させる事はできると思います。それで大丈夫ですか?」


「リーン様ではないのですか?ハイス子爵家として参加されるのであれば、あまりに無様な敗北を喫してしまいますと家の格が相当落ちてしまいますが?」


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