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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(47)暴走キング

 実際に相当な数の物資の供給が遅れてはいるのだが、町の人々に迷惑にならないように何とか調整している中でやはり特殊な要求には若干時間を要してしまう時があるのは否めない。


 今日商会に来たサリナの様な人々の対応をするのに万屋として活動する事を決意しているカードの面々、特にダイヤキングは、ロイが裏の組織を広めるために相当先読みして行動していたと勝手に解釈し、勝手に持ち上げ、そして崇拝度合いを深めて行く。


 結果的にその暴走とも言える崇拝は止まるところを知らず、神であるロイの裏の組織としても手を抜くような事は出来ずに、ダイヤキングとして裏、陰と言う所を意識した作戦が実行される事になる。


 ハートサードから商会の状態の報告を受けたダイヤキング。


「今こそ我が主の万屋がこのアザヨ町でも産声を上げる時がやってきたのだ!フハハハ、流石は我が主!どこぞの馬の骨が商会の供給網に手を出してくる事も想定の上だったとは、やはり我ら程度ではその崇高なるお考えには辿り着く事は出来ない!」


「「「「「おぉ~」」」」」


 カード状態で作戦が開始される時が来たと宣言しているダイヤキングだが、この時点で商会の供給網に多少の障害が発生したとロイに告げ、その修復を行う為にスペードジャックは既に顕現した状態だ。


「しかし、そんな神である我が主を支えるために行動しなければ我らの存在意義はない!では、早速作戦を実行する!」


 カード状態と顕現している状態同士であれば遠距離の意思疎通が可能なので、顕現してアザヨ町に潜伏しているスペードジャックに作戦開始の合図を送るダイヤキング。


『スペードジャック!いよいよ万屋がその存在を秘密裏に明かす時がやって来た!作戦開始だ!』



 その一報を受けたスペードジャックは、陰魔法を行使して人知れずサリナの自宅に侵入した上で未だ帰ってこないサリナを待つとともに、父親の状況を確認する。


『ダイヤキング殿、この状態であればハート部隊でなくとも完治可能です』


『そうか!良し、これで余計な顕現を我が主にお願いせずに済んだな。いや、これすら我が主であれば先読みされていたに違いない!』


 最早全く認識の無い事まで把握している事にされているロイだが、カード部隊は盛り上がる一方だ。


『間もなく帰宅するようなので、作戦を開始します!』


「ただいま・・・」


 スペードジャックの宣言通りにサリナが自宅に戻り元気なく挨拶したところで、母親はその結果がどうだったのかを理解する。


「サリナ、大丈夫よ。前の薬草のおかげで危なくない状態にまではなっているから。ね?絶対に大丈夫よ」


 サリナと母親の視線は少々遠くで汗をかきながら寝ている男性に向けられており、母親もこうは言っているのだが実際は心配で仕方がなく、前回は藁をも掴む気持ちで短時間だけ商会に顔を出したのだが思いがけずに危機的状況を脱する事が出来ていた。


 その結果相当希望の光が見えたので母親は看病する為に自宅にこもりサリナが再度あの薬草を購入すべく全財産を持って商会に向かっていたのだが、事前に周辺住民から少々素材の入りが悪くなっていると言う情報だけは聞いていたので不安になりながらも二度目の奇跡に縋ろうとした。


 かなり苦しそうな息をしている父、夫を見ながら互いを慰めるように抱き合っている母娘だが、突然窓からの光が消えて薄暗くなったと同時に不思議な声が聞こえてきた。


<透き通った心を持つ者達よ、我ら万屋。大切な事なのでもう一度言うが、我ら万屋が手を貸そう。希望は傷を癒す事で間違いはないか?>


 何が何だか分からないが問いかけられている願いだけは間違いないので、二人は頷きつつも未だに苦しそうに息をしている夫、父の方に視線を向ける。


 薄暗いのでかろうじてシルエットだけわかるような状態だが突然そこに空中から光が差し込み、同時に呼吸が一気に安定して穏やかな寝息になっているのが見て取れた。


<これで完治だ。我が万屋は万人に手を貸すわけではないが、心の綺麗な者達の味方であると宣言しておこう。我らが主、神たるお方が運営する万屋、万屋、よ・ろ・ず・や。この言葉を胸に抱き良き生活を送ると良い>


 第三者から見ればどこにも秘密裏、陰、と言ったイメージがわかずに半ば万屋の押し売り状態になっているのだが、コレがダイヤキング発案の作戦だと言うのだから少々頭痛がすること請け合いだ。


 一方のカードの部隊、ダイヤキングを含むカード部隊と言えば、正にスペードジャックからサリナ達が相当驚いている表情をしていると報告を受けているので、作戦がこれ以上ない程に効果的な威力を発揮したと勝手に思い盛り上がる。


「流石はダイヤキング殿!」


「これで万屋もこのアザヨ町で活動できます!ご主人様の威光が裏から、表から、絶え間なく降り注ぐのです!」


「フ、フハハハハ、そうだろう、そうだろう?これぞ我が主の配下の中で頭脳集団のトップを自認するダイヤキングの、一部の漏れも無い完璧な作戦だ!我が主に栄光あれ!!」


 勝手に盛り上がっているカード達の存在など知らないサリナ達は、再び日の光が差し込んだので慌てて父、夫の傍に駆け寄ると、外から見て化膿していた傷も無くなり呼吸も安定している事から安堵したのか力が抜けて座り込んでしまう。


「お母さん、万屋さんって凄いね?」


「そうね。本当にありがたいわ。シン()ロイ商会と言い、アザヨ町には良い事ばかり起きているわね。本当に・・・ありがとうございます、万屋さん」


 誰もいないはずだが、改めて感謝の気持ちを口にしていた。


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