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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(3)環境の変化

 リーンが鑑定の義を終了して国家の管理対象となってしまった時、と同時にロイがハイス子爵家に来た時から半年が経過した。


「ねぇ、ロイ君。今日の私どうかなぁ?似合っている?」


「リーン!ロイが困っているだろう?まぁ、リーンが可愛いのは事実だが・・・答え辛い質問をするなよ?」


「え~。良いじゃない、ルホーク(にぃ)!」


 食堂で、綺麗な金髪をおさげにした姿をロイに見せて感想を求めているリーン。


「す、凄く良いと思います」


 実際にルホークが言っていた通りに可愛らしいのは否定できないのだが直接的な表現は憚られて一般的な受け答えをしており、半年経過した今でも立場の違いを認識しているので敬語が抜けておらず、即座に子爵夫人のテレシアから指摘される。


「あらあら、ロイ君?お姉ちゃんに思いますって変じゃないかしら?」


 当主であるハイス子爵や長男であるルホークも、テレシアに追随する。


「そうだぞ、ロイ。リーンだって他人行儀にされては悲しむだろう?」


「あっ、因みに俺も悲しくなるので普通に話して貰えると嬉しいかな。兄として力になれる事はたくさんあると思うんだよね?」


 こんなやり取りが朝晩の食事の際に繰り返されている。


 昼は仕事の関係でリーン、ロイ、テレシアの三人での食事になる事が多くここでも同じやり取りがあるのだが、全ての食事の際に能力の話が出てくることはない。


 ロイとしては非常にありがたく感謝しているのだが、一方でここまで恩を受けた以上はハイス子爵家に恩返しがしたい一心で過去には想像もできなかったような家族との交流と言う経験をしながらも必死に収納の能力を発動させようと一人もがいている。


 同じ能力を持っているリーンにコツを聞こうかと思った時もあったのだが、どう考えてもロイ自身の為に能力についての話題を避けてくれている一家なので独学で進めるしかないと作業に没頭している。


 公的にもハイス子爵家の養子となり王族から離脱しているロイなのだが、何故か王城から能力発動に関しての進捗状況を問われた際にはハイス子爵がロイに気が付かれない様に全く能力発動の気配がないと回答しており、事実その通りである事から態度に違和感がなかったのか嘘発見器でも使われたのかは不明だが特段再鑑定やらロイとの面談を求められる事は無かった。


 国家としては無いとは思いつつも、ロイが能力発動可能になった暁には明確に管理下に置く必要があるので念のために問いかけたに過ぎない。


 リーンについては収納容積が増加したと真実を伝えているためにある意味リーンにつけられる首輪が強固になってしまう可能性があったのだが、ロイの自由を確保する為だと家族の総意でリーンについては真実を伝える事にしていた。


 更に時間が経過し・・・


「リーン。また訳の分からない依頼が来た」


 ロイのいない場所で、ハイス子爵が国家からの依頼が来たとリーンに告げている。


 国家として管理対象になる程の能力を持っているので、その能力を使う依頼を強制的に受けさせられている。


 普通の依頼であれば何も文句はないのだが、やはり元王族のロイを無許可で連れ去った過去がある以上は国家・・・王族から良い感情を持たれていないハイス子爵家なので報酬も無ければ準備期間も無く、本来は数日前に決定していた事であっても敢えて直前に知らされている。


 準備を理由に断ろうものならソシケ王国として王都にあるハイス子爵邸宅の地税やらを過剰に聴取され、挙句に領地との取引を中止するような圧を他の貴族に加えられたので止む無く指示に従っている。


 依頼内容も単純な運搬だけではなく寒暖差がとてつもない環境に出向いたり、相当な悪臭漂う品を収納させられたりと、どう考えても嫌がらせの意図が満載の仕事とも言えない作業を行っているリーン。


 一度依頼を受けると相当期間王都の邸宅に戻れず、戻った際にはとてつもない疲労から長期間寝込んでしまう事もままある。


 同様に当主であるハイスや兄であるルホーク、更には母であるテレシアに対しても社交界の場も含めて嫌がらせが続き、流石にこうなると他の敵対していない貴族達であっても巻き添えを嫌いハイス子爵家の面々と直接的な付き合いを避けるようになっている。


 だからと言ってロイを放出するような人ではないハイス子爵家の面々は、疲れていようが怪我をしていようがロイの前では笑顔でいる事を心がけて生活していた。


 一部の高位貴族はハイス子爵に同情したのかさり気なく陰ながら助力していたが・・・環境は改善される事無く日常は過ぎて行く。


「ロイ君、ごめんね。お姉ちゃん、また暫くお仕事で暫く帰ってこられないの。でも心配しないでね?お土産を買って来るから楽しみにしていてね!」


 いつもの通りに過酷な労働を無報酬で行う依頼が来たのでロイが不安にならない様に努めて笑顔で留守にする旨を告げるリーンだが、今日は同時に兄であるルホークもこの場に来ている。


「俺も依頼を受けて暫くは忙しくなりそうだ。でも家にはいるからな。明後日にこの邸宅で魔道具の発表会を兼ねたパーティーを行うんだ。少し煩くなるかもしれないが、悪いな」


 ルホークも二日後に盛大なパーティー開催をする準備をしろと無茶ぶりをされており、何故か会場は王都のハイス子爵家で全ての費用は持ち出し・・・あり得ない内容なのだが、この頃になると改善する手段はないと黙って耐えて作業する方がましだと思っている。


 当然当主であるヴァイス・ハイスやテレシアもルホークと共に準備作業を行なっており、流石にこのような状況が続けばロイも通常ではない事は嫌でもわかるのだが敢えてハイス子爵家の面々が隠しているので、ロイも気が付かないふりをしつつ申し訳ない気持ちでいっぱいになっている。


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