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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(30)ジンタ町で(4)

 ロイは、陰の中に護衛のスペードキングを携えて町を散策している。


「確かに装飾品や宝飾品の販売が多いけれど、ダイヤキングが言っていた通りに癒し手不足の影響を受けて雰囲気が暗い・・・かな?」


 現実を知る由もないロイは、とある商品の陳列の前で足を止める。


 そこには各種チョーカー、首に着ける装飾品が売られている。


「おっ、兄さん。気に入ってくれたかい?これは一応魔道具でな。大きさは自動調整で汚れない優れものだ。恋人にプレゼントかい?」


「いや、そう言うわけではないけど・・・」


 言い淀みながらもチョーカーを見ているロイ。


 実はカード部隊の見分けが全くつかないので何か目印になる物がないかと考えていた所、すぐに見える位置・・・首に着けるチョーカーであれば呼び出した存在が誰なのか、容易に判別できるのではないかと考えていた。


 チョーカーだけでは色を変えて四部隊の識別に使う程度が限界の為に個体の識別を行う必要があるので、そこに更に識別するタグを錬金術でダイヤ部隊に作ってもらえば良いのではないかと閃いた。


 恐らくダイヤ部隊が作成する物であればロイにだけ識別のタグが見えるようにすることも可能なはずと考え、チョーカーだけは記念の意味も含めて部隊人数分購入する。


 その日、再び同じ宿に宿泊してタグの作成をダイヤキングに頼んだのだが、その際にこの町の癒し手不足による現状についてとりあえずは対処できたと報告を受け、継続的な改善にはハート部隊が定住する必要があると言われるロイ。


「・・・と言うわけで、是非ともこの町にシン()ロイ商会の設立をお願いいたしたくお願い申し上げます!」


「設立は構わないけれど、何を売るの?そこで回復魔法を実施する事になるのかな?」


「販売品目は高級食材や我らダイヤ部隊が作る武具や魔道具を始めとして、必要に応じて品目を増やそうかと考えております。癒しに関しては軽傷の者まで癒しては自然治癒力が落ちますし、ましてや犯罪者を癒す謂れはありません。ですから、表立ってシン()ロイ商会では回復魔法による癒しを行いません」


「え?だとしたら、この町の継続的な改善にはならないでしょ?」


「そうなのです。そこで我が主が考えられた(・・・・・・・・・)至高の案、正に神の御業とも言える万屋の出番です」


 万屋はロイが考えたわけではなく間違いなくダイヤキングが口にしたものなのだが、いつの間にかロイ発案になっている。


 そこを突っ込めるほど心が強くないロイは、黙ってダイヤキングの話しを聞く。


「万屋は、我が主を商会長とする裏の商店。表の商店であるシン()ロイ商会に来る顧客のうち万屋の存在を知っている者、信じる者が来れば、その内容に応じて万屋が対応するのです」


「は、はぁ」


 それって表も裏も関係ないのではないか?と思っているロイだが、再び興が乗ってきたダイヤキングを止められる者はいない。


「例えば我が主の崇高なるご意思を理解できない犯罪者等が来た場合には、もちろん万屋としてもシン()ロイ商会としても対応は致しません。万屋の存在については明確な暖簾がある訳ではありませんから、聞かれても知らぬ存ぜぬで良いのです。多少噂になってもシン()ロイ商会と言う巨大な隠れ蓑がありますので押し通せますし、我が主の存在が表に出る事はございません。ご安心ください!」


「え、えぇ」


 もう何でも良いやと思い曖昧な返事をしているロイだが、この流れを切る事が出来ずになし崩し的にシン()ロイ商会が開店する事になった。


 数日宿に滞在して町を散策しているロイだが、初日と比較して明らかに町に活気が戻っている事に気が付く。


 どうやら初日にダイヤキングが言っていた癒し手不足対策が功を奏したようだと安堵しつつもブラブラ歩いていると、やがてあの場所・・・教会が視界に入る。


 ロイは初めて見るのだが何やらゴーストでも出てきそうな雰囲気を漂わせ、時折見える人影からは黒いオーラが立ち上っているように見える。


「うわっ、ここが教会?ちょっと俺のイメージと違うな。何かにとりつかれると嫌だからさっさと帰ろっと」


 教会の中を屍状態で無駄にうろうろしているのはいつの間にか消え去ってしまった財産を探し続けているスーレシアと手下の一人であり、他の面々は既にこの場から逃げている。


 あと数日もすれば身に着けていた宝飾品を売って得た金銭も底をつくので、完全に身銭が無くなる前に二人もこの町から去る事になるだろう。


 その時、この状況を作り出したダイヤキングは町長の家にいた。


「・・・であるからして、数日以内にあの教会は空き家になる事は間違いない。その跡地については、我らシン()ロイ商会が有効活用させて頂こう」


 目の前に積まれる大量の神貨を見ている町長の横には、今まで何度教会に通っても完治する事のなかった妻が笑顔で座っている。


「あなた!私達はシン()ロイ商会、いいえ、万屋に返しきれない恩があるのですよ?既に対価は頂いています。それにあの方達がこの町にいて頂けると言う事は、今後あの教会の前に罪なき人々が癒しを求めて並ぶ事もなくなるのです」


「やっ、そうだった。申し訳ない。貴殿の申し出、承知した。今後ともこの町、ジンタ町の発展に力を貸してください」


 最早表の商会と裏の商会が混ざってしまっている状態ではあるが、町の安定と明るい未来が見えているので町長側としてもその辺りを深く追求するつもりはない。


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