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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(26)宿でのダイヤキング

 ふ~、落ち着け、落ち着くのだ!ダイヤキング。


 全く。けしからん対応で非常に不快ではあるが、我が主の為!グッと堪えるのだ。


 それに、私が目指すゴールはもうすぐだ。


「最上階のお部屋になりますが、一泊金貨5枚(50万円)になります」


 確かに私が軽く調査したところでは最上階の部屋は悪くはなかったが、その程度の金額か・・・人の価値は今一つ理解できないので今後も勉強が必要だな。


「わかった。ならばコレを取っておくと良い。当然一泊分だ。それと厨房に案内してくれ。食材を提供しよう」


 懐から神貨2枚(200万円)を置くと、漸く我が主ロイ様の威光が伝わったのか感動しているように見える。


「こ、こちらでございます」


 そう言えば他の国は知らんが、収納魔法持ちはこの国では管理下に置かれるのだったな。


 今のうちに収納袋に食料を移して・・・良し。これだけ準備すれば我が主もご納得いただける上に、この宿の従業員の食事を作るにも十分な量だろう。


 宿の従業員が不健康そうでは、我が主ロイ様を迎え入れるには不適切だからな。


「ここに置くぞ」


 少量の食材がおかれている台の上に、少し前に中身を詰め込んだ収納袋から食材を出す。


「こ・・・こんなに!あ、ありがとうございます。ありがとうございます!!」


 何故か料理人も集合して拝み倒されてしまったが、拝むのは私なんかではなく我が主であるロイ様を拝め!


 とは直接的に言えないので、我が主の威光を増すべくここでも少々説明してやろう。


「皆の者、改めて良く聞いてくれ。私は今日この宿に来られるロイ様に多大な恩がある。だが、慈愛溢れるロイ様は私が恩返しをしようとしている事に気が付かれてしまうと受け取っていただけない可能性が極めて高い。そこは厳に秘匿した上で、ロイ様に最上級のおもてなしをして頂きたい。この食材もおもてなしの手段の一つして提供する。明朝の朝食分もあるが、それ以外は皆で消費してもらって構わない」


 誰もが感動しているな。


 今こそ絶好のタイミングだ!ここで最も重要な事を伝えておこう。


「私はとある組織、その名も万屋の一従業員だ。商会長は非常に優れた至高のお方であり、この町の状況を把握されれば改善に乗り出されるだろう。どうだ?良ければ今回に限り私の方から商会長に助力をお願いするが」


「あ、ありがとうございます!」


 これでロイ様が万屋の商会長とは認識されないだろうが、勢いで町を改善する必要が出てしまった。


 この部分も含めて明朝我が主に説明しよう。


 しかし私の予想に反して何と言ったら良いのか、我が主に相応しいとは思えない程に活気のない町だ。


 あの冒険者達、我が主の助力がなかった場合にこの町にギリギリ辿り着けたとしても、目的の癒し、光魔法による回復は受けられなかったのではなかろうか。


 この町の衰退の原因、教会が諸悪の根源(・・・・・)である以上は期待するような結果を得られるわけがないからな。


 フン。教会で祈る暇があれば、我が主であるロイ様を称える方がよほど有意義である事が図らずも証明されたとも言える。


 ん?今私は、再び世界の真理に辿り着いていなかったか?


 フフフ。こうなってくると、自らの知能が少々恐ろしくなってくるな。


 今回この町、何と言ったか・・・そう、ジンタ町の対策を行う事で万屋の話しが広がり、裏から我が主であるロイ様の威光が増すわけだ。


 場合によってはこの町にシン()ロイ商会の店舗を展開しても良いかもしれない!


 結果、ジンタ町はロイ様を裏と表から称える事の出来る初めての町になる!


 そうと分かれば、こうしてはいられない。


 何がどうあれこの町の対策を行う事に関しては許可を得る必要があるのだが、我が主がこの惨状を見過ごす事など有り得ない。


 つまり、今私が為すべき事は・・・主をこの場所にお連れした後、他のカード達と作戦を練る事だ。


 早速我が主を宿にご案内してカードに戻り、他の部隊の者も含めて情報を共有の上で対策を練る事にしよう。


「良く聞いてくれ。この町の教会が冒険者や民に対する回復魔法に対して必要以上の金銭を要求しているようだ。結果、怪我を恐れた冒険者は活動を自粛し、そのせいで物資が減少して活気が無くなっている。我が主がこの町にいらっしゃるのに、だ!これは許されない事態だと考える。明日にでも我が主に改善のための活動許可を得るつもりだが、各々対策を上げてもらいたい」


 必然的に我がダイヤ部隊の意見が多くなるのだが、やはり他の部隊でも我が主の為に必死に考えている。


 良きかな、良きかな。


「では決まったな。明朝、我が主が朝食を摂られた後にこの私ダイヤキングがお伺いを立てる事にするので、即動ける様に待機してくれ!」


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