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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(23)冒険者達  (第三者視点)

「あら、この距離で野営をしていたのに気が付かなかったわ。フフ、おはよう!私達、余程余裕がなかったのね」


 ロイの前に荷馬車で移動してきている冒険者が明るく挨拶をしてくれている。


 ロイが目覚めてからスペードキングが昨日の顛末を報告してくれたので一切心配はしていなかったが、しっかりと瀕死の冒険者の人が完治した事をその目で確認する事が出来ている。


 その仲間であるこの人物達は余程怪我をしていた人が心配で周囲の警戒をおろそかにしていたのか、それ程離れていないのだがロイの存在に気が付いていなかったようだ。


「おはようございます。皆さんは向こうの方向・・・と言うと、ジンタ町に向かっているのですか?」


「そうそう。昨日までは急いでいたけれどその必要もなくなったので、ノンビリ行こうかと思って。ところで君、美味しそうな匂いのする食事をしているよね?ちょっと相談。私達、急いでいたから十分な食事を持って来ていないんだ。恥ずかしいお願いだけど、食事を分けてくれたらジンタ町まで護衛を兼ねて荷馬車に乗せてあげるけど、どう?」


 実際この冒険者達は少しでも荷物を軽くして急いでジンタ町に向かっている所だったので、食料は現地調達に頼っておりかなり(ひも)じい思いをしていた。


 そこにとてつもなく良い匂いをまき散らしているロイがいるのだから、思わず交渉してしまうのは仕方がない。


 やっと復活した仲間に一刻も早く食事を与えたい事もあり、普段であれば見返り無しで行える行動も何としても食料を得たいと言う思いが先行してこのような言い方になってしまっている。


 馬車であれば一日かからずにジンタ町に到着する事はできるので、荷馬車の中にいる面々、全員合わせて五人の食事を一食分強与えれば済むのであれば儲けものだと考えたロイは快諾する。


 今出している食事だけでは不足する事はわかっているロイは、先ずはこの場の食事を食べてもらいつつ裏手に回ってダイヤ部隊を召喚して食事を作りあたかもロイが今作ったかのような体で渡そうと思っている。


「わかりました。先ずここにある物を食べていてください。きっと足りないでしょうから追加分を準備してきますので、遠慮なくどうぞ!」


「本当かよ!助かるぜ」


 荷馬車にいる男を筆頭に、御者をしている女性を除く四人全員が出てくる。


 声をかけてきたのは御者の女性だけで一応私()とは言っていたが、人数を確認することなく食料が不足するだろうと準備を始めるためにこの場所から消えて行くロイを不思議に思う者はいない。


 仲間が助かった事による喜びと、空腹が満たされる嬉しさで頭がいっぱいだったのだ。


 ガツガツ食事を口にしている冒険者達は空腹によってこれほど食事が美味しく感じているのだと勘違いしているのだが、最高級の食材を最高の腕を持つダイヤ部隊の面々が調理しているので実際に極上の食事をしている。


「これがお代わりです」


 間もなく出されていた食事が終わってしまう頃、物足りなさを感じていた冒険者達の前に追加の料理が運ばれる。


「助かる!」


「本当に嬉しいわ。ありがとう!!とっても美味しいし、昨日から良い事だらけね!」


 その後暫く食事を楽しんだ冒険者一行は、約束通りにロイをあまり荷物のない荷台に乗せてくれた。


「そう言えば(ロイ)って、万屋って知っている?」


「ブッ~、ゴホッゴホッ。い、いいえ、知りません!全く知りません!!」


 ロイは昨日の夜冒険者を助けるための行動をダイヤキングに一任した際、ダイヤキングが万屋の話しをしていた所までは思い出せている。


 だが、確か・・・“秘密裏に”とか“裏”とか言う言葉を使っていたはずで、なぜ全く秘密になっていない状態なのかと半ば混乱状態に陥る。


 そんな混乱状態のロイだが、冒険者達は嬉しそうに万屋の話しを始めつつ手紙を見せてくれる。


 ロイは恐る恐るその手紙を読んで、思わず天を仰ぐ。


『なんだよ、これ!全く秘密になってないぞ!そもそもこの(くど)い称賛、“非常に慈悲深く慈愛溢れる敬愛する我が主”って、恥ずかしいにもほどがある!』


 内心悶絶しているのだが冒険者達は口々に万屋の商会長を称賛するだけで、耳まで真っ赤になって下を向いてしまったロイの態度には気が付かない。


 まるで拷問のような時間を過ごしているロイだが、ダイヤキングには一切の悪気がない事だけはわかっているので叱るに叱れないままやがて目的地に到着する。


「着いたわよ。君の見た目は冒険者じゃなさそうだから、何か身分を証明する物は持っているかな?なければあの門で犯罪歴や収納魔法についての調査が行われているから、そこを通過すれば町に入れるわよ」


「ありがとうございます。コレがありますから大丈夫です。ではそちらもお気をつけて」


 冒険者が持っているカードに似たギルド職員のカードを見せるロイ。


 退職しても身分証として使用できるので重宝しており、新たな入国の際に一般的ではない収納魔法について根掘り葉掘り調べられた挙句に名前だけの能力と知った時に嘲笑される事は無くて済むと安堵していた。


「あっ、確かに雰囲気職員っぽいよね。食事・・・ありがとう。なんだか交換条件のような事を言ってごめんね。何かあれば頼ってね。バイバイ!」


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