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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(229)商会開店(3)

 夜間の侵入が万が一にも失敗した場合には相手が幾ら豊穣の神を称えない異分子だとしても自分の立場が悪くなるので、周囲の目が気になるのだが正攻法で日中に購入するべく翌日に再び商会を訪問している男。


「おい・・・っと、今日は別なのか」


 全く見分けがつかない双子が店員をしているのは知っており、名札を見て今日はダイヤフィフスではないと把握したので購入するには丁度良いと思っている。


 昨日は少々揉めたような形になっているので、別の店員であれば普通に対応されるだろうと言う甘い考えで購入の意思を示す。


「ハートシックスで良いのか?俺がその鉱石を購入してやろうと思う。まぁ、まがい物だったとしても文句は言わない事を約束してやろう。ホレ」


 そう言って記載されている金額の貨幣を渡そうとするのだが全ての事情を共有し、更にはこの町の人々に対して益を与えないとロイの許可を取って営業をしている以上はこの男の希望が叶う事は絶対にない。


「貴方は文字が読めませんか?当商会では合理化を実施しておりまして、購入に相応しい方には直接品が手元に現れる仕様になっております。品が手元にない以上は購入する事はできませんね」


「はぁ?あのような戯言が書いている紙の事を言っているのか?誰一人として手元に品など持っていないだろう!まぁ豊穣の神を称えないような店なので、欲しいと思っていない面々が大半だと思うがなぁ!」


 購入願望が無ければ手元に来ない以上は、排除すべき存在が運営している店の品物を購入したいと思う存在はいないはずだと思っている男は・・・自分が正に今鉱石を欲している事をすっかり棚上げしている。


「そもそも商会である以上は売り上げが無ければこの町で商売を継続する事は不可能だろう?何故かこの建屋がいつの間にか出来ていた事だけ(・・)には驚いたが、その程度では町民が品を購入する事にはつながらない」


 自らの常識で判断して提言のように告げているのだが、目の前にいるのはその常識が全く通用しない存在の一体であるハートシックス。


「煩いですね。同じ事を二度説明させるつもりですか?その程度の頭しかないので本来崇めるべき存在を認識できないのですね。はぁ~、ご主人様の素晴らしさが分からいのであればやむを得ないと言えなくもないですが、切ないですね」


 ロイを思い浮かべているので、自然と厳しい表情は霧散している。


「お、お前・・・」


 完全に相手にされていないと悟った男は怒りに震えているのだが、至近距離にいて尚全くハートシックスが意に介す様子は一切ない。


「お!こんな所にも商会があるのか?」


 そこに新たな客・・・どう見ても冒険者風の一行が店内に入り、口ぶりから他の町にある商会を知っている様子なのでハートシックスは我に返りその存在を視認すると、直にカードになっている者を介して同僚としてこの場で働いているダイヤフィフスに情報を与える。


 この場に来た冒険者は、実はロイが独立して旅を始めた時に会った人であり、同僚を教会で癒して貰う為にジンタ町に向かう途中で出会った存在で彼等を救う為に万屋が誕生した経緯がある。


 その後ジンタ町でロイとは別れる結果となったのだが、万屋誕生のきっかけになっているこの存在はカードの者達の英雄になっているので忘れられる事はなかった。


「流石は豊穣の町だな。飯も美味そうだぜ!こりゃ期待が持てるぞ?」


 この町に来る第三者の目的は、略全てと言って良い程町の名前の通りに豊かな大地の恵みによる美味しい食事を目的にしている。


 ある意味一見であり町の実情については理解する時間も無く、大多数は今回のロイの様に迫害の現場を目撃する機会が無いまま町を去るので他の町やら国やらに悪評が広まる事は今までは(・・・・)なかった。


 迫害対象が現時点でリルと宿の夫婦だけなので目撃するチャンスが極めて低い上、見かけ上寂れていたこの宿兼食堂に入ろうとしても何のかんのと周辺住民が阻害していた過去がある。


 今回は結構な住民が店に集まっていたせいで第三者である冒険者の視線を集め、更にはこの店から遠ざける事に意識が向いていなかったので今迄の行動とは真逆の成果を生み出していた。


「俺はこっちにするぜ。お前は?」


「う~ん、悩むな。店員さーん!」


 見分けがつかない店員がいる事は経験済みでその店員が息をのむほどの美貌がある事も知っているので普通にハートシックスに声をかけるが、立ち位置から名札が見えているわけではないので名称で呼ぶことはない。


「如何致しましたでしょうか?」


「できればこっちとこっち、何て言ったら良いのか、特徴?違いを教えてもらえるかな?」


 ショーケースに並んでいる食事のサンプルを見て、直には決めきれなかったのか具体的な違いを聞いている。


「おいおい、優柔不断だな。別行動の連中に告げ口するぞ?」


 この場には二人だけで来ているようで、他のメンバーに情けない様子を伝えると言われている男性なのだがどうしても決められない。


「承知いたしました。こちらは・・・・」


 ハートシックスはこの二人に対しては悪い感情などある訳もないので笑顔のまま説明を初め、やがて二人共にしっかりと購入する品を決めたようで何故かいつの間にか手に持っている札をハートシックスに手渡していた。


「うっし、じゃぁ宜しく!」


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