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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(226)そんな神は不要(5)

 宿の夫婦にしてみればこれ以上ない程に有難い話しであり、非常に恐縮している。


「本当にご心配なく。シン()ロイ商会として活動して頂くので、お二人にも本部より給金が支給されますよ?」


 経営に関しては口を出さないと万屋から言われていたのだが何故か給金だけは支給されると言うあり得ない好待遇の話しが続き、反応する事が出来なくなりつつある。


「私もリルさんについてはフォローさせて頂きますが、お二人も今迄通りに・・・いいえ、今まで以上に娘として接して頂けることが万屋の望みと聞いております。宜しいでしょうか?」


「「も、勿論!」」


 まさか町を観光して戻ってみれば、土地面積はそう大きくないのだがその分上に高くなっている立派な建屋が出来上がっているとは思いもよらないロイ。


 当然の様に相当目立つ看板によりこれ以上ない程シン()ロイ商会を主張しており、周囲の住民はあり得ない事態に驚愕しつつもここの住民である夫婦は豊穣の神を称えないばかりか同じ様な存在のリルを庇っているので、本心から言えば何故このような事態になっているのか、そして相当立派に見える建屋の中も見てみたいのだが敢えて触れないようにしている。


 そして夕方・・・ロイ、シルハ、リルが戻ってくるのだが、リルは相当困惑している。


 ロイとシルハは始めて来た町なので遠目から相当大きな建屋が見えても何も不思議に思わないのだが、この町を拠点にしているリルにしてみれば本来宿があった場所にあり得ない程の立派な建屋が出来ているのだから困惑するのは当然だ。


「リルちゃん?どうしましたか?」


 突然動きが止まったリルを心配したシルハが声をかけると、リルは不思議そうな表情のまま思った事を告げる。


「あの大きな家?私達が泊まっていた場所だよ?なんで大きな家になっているのか、不思議だなって思って」


 この一言を嫌でも耳にしたロイは、流れるように天を仰いでいる。


 どう考えてもカードの者達がしでかした以外の選択肢がないのだが、取り敢えずシン()ロイ商会設立の許可を出しているのであの場所にしたのだろうと気を取り直す。


「きっと建て替えたんだよ?行ってみようか、リルちゃん」


 一日であれ程豪華な建屋が出来上がる訳はないのだが幼いリルはその辺りの知識を得る事なく日々の生活に必死だった為にロイの言葉をそのまま素直に受け入れ、ある程度常識を持っているシルハは間違いなく万屋が動いたのだろうと思い、こちらも不思議がる様子はない。


「ウフフフ、ロイ様。早速お願いをされたのですね。流石です!」


 移動中にロイだけに聞こえるようにシルハが告げ、言われている事は間違いではないので曖昧な笑顔で返すロイ。


「うわぁ~」


 リルが建屋の近くに行くと幼いせいか首を相当上に向けなければ屋根が見えない程の高さであり、この町にはこれほどの建屋が存在しない事から感激しているように見える。


 もちろん周囲の住民からの視線を集めているのだが、誰一人として店に入る様子やリルやロイ、シルハにすら話しかける様子もない。


「ロイ様、シルハ様、リルさん。お帰りなさいませ。こちらはシン()ロイ商会、豊穣の町支店となりました。支店長は御夫婦で、私は本部から派遣されました従業員のハートシックスと申します。リルさんはこれからご夫婦の子供として、この支店で私と共に生活して頂きます。宜しくお願いしますね?」


「え?ここに住んでも良いの?」


 店の中は他の店舗同様不思議なショーケースに商品が内部に陳列されており、一部は食堂として改装されている。


 その部分だけを見ても相当豪華な建屋、内装に見えるので、リルは普段寝泊まりしている辛うじて屋根の有る家とも言えない家ではなくこの場所で生活が出来ると聞いて喜んでいる。


「もちろんです。お勉強の方は私が教えてあげますね?でも今のリルさんのお仕事は、良く食べて良く寝る事です!これから楽しく生活しましょうね?」


 シン()ロイ商会である以上は肉などを夫婦が調達せず共上質な品が手に入る事になり他の食材についても同様だが、そこについては裏庭で作業する事が気分転換にもなるだろうと必要に応じて不足分を手配する事に決定していた。


 至れり尽くせりで何が何だか分からないと言った表情の宿の夫婦も、ここで漸く我に返る。


「本当に不思議な万屋だったよ。まさか・・・どこをどうすればこんな事が出来るのかね?アンタ、わかるかい?」


「俺にわかる訳がないだろう。っと、リル。今迄大して手を貸してやれなくて済まなかった。これからはハートシックスさんの言う通りに、俺達の娘としてここで生活してくれ!」


 その日の夕食はハートシックスが準備した肉と裏庭の食材をふんだんに利用した料理が振舞われ、劣悪な素材でも相当美味し料理を作っていた主人なので素材が極上であればより味は上質になる為にロイはかつてない程大満足の食事をする事が出来た。


「ふ~、本当に美味しかったよ。でも、もうこの町では何もする事がないよね?」


 既に立派な個室に早変わりしているこの宿の一室にいるロイは、ダイヤキングと会話している。


「いいえ。我が主からご指示いただいた部分のみ完了しておりますが、周囲の有象無象に対してシン()ロイ商会の威光を示す作業が完了しておりません。ハートシックスがいる以上この家の方々の安全は確保されておりますが、仮にリル殿が町の外れに一人で行った際にどうなるのか・・・初動が遅れれば、回復させる事は可能ですが怪我を負ってしまうかもしれません。なれば事前に商会としての威光を十分に住民に周知するのが最善!」


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