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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
221/232

(220)その後(2)

 口調は相変わらず少々ツンツンしているのだがロイを心配し民や騎士も心配していた事は分かるので、一刻も早く心配事を取り除くために移動中に打ち合わせしていた通りにする。


<ふはははは!私は万屋、よろずや、よ・ろ・ず・や である。神である商会長を支えるべく存在している一従業員と言う矮小な存在だが、此度は非常に機嫌が良いのでミラーラ殿の願いも色を付けて叶えてやったぞ!>


 ロイにしてみれば今では相当慣れざるを得ない状況と言えるのだが・・・元王族であっても王女と話し続けるのは正直少々負担に感じていた事も有り、全ての説明をダイヤキングに丸投げしていた。


 打ち合わせとも言えない打ち合わせで決定した事項はこの丸投げの部分であり、説明の内容も必然的に丸投げになっている。


 ダイヤキングにしてみれば過去に類を見ない程の称賛を受けたので高揚しており、その勢いのまま万屋としてこの場を支配する。


「い、色とはどのような色でしょうか?」


 流石のミラーラも得体のしれない勢いで説明している万屋ことダイヤキングにいつもの口調で接する事は出来なかったようで、まるで両親に話しかけるようになっている。


<フム。当然そこも説明するが、先ず失踪者は全員無事に町に戻って来ている事を伝えておこう。そして色だが!ハイス子爵家の方がお持ちの剣だ!>


 今更だが万屋としての能力をあまり見せるのはどうかと言うロイの一言があったおかげで元魔剣と魔槍を合成した新たな剣はロイが収納袋に入れて持ち運んでおり、そこから取り出して机の上に置く。


<これは宝物庫から脱走した魔剣と魔槍の成れの果てだ。今は生まれ変わって悪さはしない故、王族の新たな秘宝とするが良いだろう。持ち主だけが剣に内包されている二つの人格と接触する事が出来る。武器としての性能も程よく仕上げた故、過去のように保管するのではなく帯剣して各所を回ると内包されている人格も成長する事が出来る。積極的に出歩くと良いだろう>


 “色”と聞いて貴族出身でありロイと仲良くなるようにバミュータから言われているシルハは一瞬ピクッとしてしまうのだが、この場にいる他の面々、ロイは性能に関して程良いと言うレベルじゃないだろうと呆れ、ミラーラとギルドマスターは人格の宿る剣と聞いて少々訝しんでいるのでシルハの反応には気が付かなかった。


<これにて我が万屋の作業は完了する。此度の願い、非常に有益な願いであったと付け加えておこう!>


 ダイヤキングは自らがロイから賞賛された事が嬉しすぎて思わず口にしたのだが、第三者が聞けば何が何だか分からないまま万屋としての声はかき消える。


「えっと・・・そう言ったわけで全員の無事は確認できましたし、元凶も生まれ変わって国家の益になる存在になりました。今後は王城に持ち帰って扱いを決めてください。万屋が言っていた通りに、保管するのではなく外出時には常に帯剣してあげた方が良いですね」


「人格の宿る剣・・・俄かには信じられないが」


 ギルドマスターは目の前の淡く輝く剣に目を落としながら正直な感想を述べるのだが、自分が手にするのは不敬だと分かっているので見ているだけ。


 一方で剣を手にする権利の有る王女ミラーラはギルドマスターと同じ感想を持ちながらも、仮に自分が持ち主になって二つの人格と会話をした場合、相性の問題で鬱陶しく感じてしまう可能性について思い至る。


「あの・・・ロイ?仮に、仮によ?私が所持者になった場合、二つの人格と肌が合わなかったらどうなるのかしら?」


 そんな事を言われても・・・と言うのがロイの正直な思いだが、立場上あまり無下には出来ずに曖昧な回答をする。


「そこは所持者を変更するとか、ですかね?」


「そうね。体験していない事をアレコレ不安がっても仕方がないわ。で、今回の願いに対する謝礼だけど、これで良いかしら?」


 机の上に重そうな袋が置かれ、誰がどう見ても貨幣が詰まっているのは分かる。


「う~ん。正直俺は万屋にお願いをしただけなので、もし宜しければこの国の孤児院に寄付して頂けませんか?」


 ソシケ王国でもそうだが自らの能力を把握して簡単に稼げるようになってからは匿名で寄付を続けているロイなので、今でさえ有り余るほどの金銭が収納され、必要であれば例えばダイヤ部隊の錬金術によって作成した何かを販売すれば良いし、他の部隊の力を使えば如何様にでも稼げるので金銭的な報酬にはあまり興味が無いロイ。


 それならば王族から直接寄付をしてもらう方が彼等の視線が一瞬でも孤児院に向くので、その後の対応にも変化があるのかもしれないとの期待から寄付を依頼する。


「流石はハイス子爵家のロイね。わかったわ」


 こうしてかなり強引ではあるが騒動は収束し、ロイの目論見通りなのかミラーラがロイの思惑を正確に読み取ったのか・・・王族として定期的に孤児院に対して寄付を行う流れがこの時から出来上がった。


 その後・・・王族が帯剣している剣を振るえば悪は消滅し大地は裂け、魔獣は塵も残らず消え失せると言う御伽噺が出来上がる程になるのだが、それはかなり先の話になる。


「今回は本当に助かったよ。全員有難う!」


 宿に戻ったロイは顕現しているダイヤキングを代表として改めて謝辞を伝え、かつてない程の称賛に気を良くしたカードの者達が暫く無駄に張り切り、漲る力を押し留めておくことが出来ずに何故か周辺の環境が一気に改善・・・周辺に住む人々の体調や食料事情の急激な改善だけではなく例の淀んだ魔力に関しても改善が行われていた。


「この程度は仕方がないかな?」


 この事象はカードの者達の暴走と知っているロイなのだが、注意するほど過剰ではないし良い結果をもたらしているので今回は目を瞑る事にしていた。


 そして再び旅に出る日がやって来た。


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