(21)ダイヤキング(1) (ダイヤキング視点)
私はダイヤキング。
ロイ様と言う気高いお名前をお持ちの我が主に絶対の忠誠を誓う四部隊のうちの一つ、ダイヤ部隊の筆頭であるダイヤキングと言う。
我ら四部隊はそれぞれが得意としている範囲があり、我がダイヤ部隊は戦闘よりも頭脳を活かす事が得意で錬金術もお手の物だ。
そう言ってしまうと弱いと思われるのは心外なので付け加えておくが、最も得意なのが頭脳労働や錬金と言うだけで、人族の中では大陸最強の一角と言われている古龍程度であれば一隊員でさえ無傷で勝利する事は可能だ。
話がそれた。
そんな私達がお仕えさせて頂いているお方、ロイ様は非常に欲のないお方だ。
戦闘力としても頭脳としても別格の力を持つ我ら全部隊を配下にしておきながら、少し前まではギルド職員と言う何とも言えない職務をこなされていた。
きっと、いや、間違いなく私程度では伺い知る事の出来ないお考えがあっての事だろう。
そもそもロイ様の行動に対して疑問に思う事自体が不敬だった。猛省しよう。
今のロイ様は見分を広げると言う事で旅をされているのだが、想定されていたほど距離を進めていないと悔しがっておられた。
想像になるのだが私達の同胞であるクラブの部隊がロイ様をあの町から運ぶ際に、速度が遅かったのが最大の要因だろう。
後でクラブキングに文句を言っておくべきか?
そして少し前に周囲の状況を確認されたロイ様は、完全に赤の他人である冒険者の一人が致命傷を負っている事を聞くと迷いなく救いの手を差し伸べると仰った。
流石は我が主。
取るに足らない存在であろうが等しく慈愛の手を差し伸べられるその懐の大きさに、このダイヤキングは胸がいっぱいになり過ぎて張り裂けそうだ。
だが自らの功績としたくはない上に、その全てを秘匿したいと仰る。
改めてその懐の大きさ!私程度が想像していた以上の大きさである事に喜びを感じるとともに、納得のいかない部分があるのもまた事実。
少し前、私の部隊が指示を受けて各種商品を販売する商会を運営していたのだが、今回のロイ様の旅に同行させて頂くために配置していた隊員を一部撤収する必要があるので急遽店舗を纏める事にし、その際にあまりにも多くなった店舗を一纏めにする事で有耶無耶になっていた商会の名前をつける事に成功した。
我が主であるロイ様はその名前については私に全てを一任して下さったので、もうここは迷う事なく長年温めてきた名前をつけさせて頂いた。
その名も、神に等しいロイ様を称えるべくシンロイ商会!
同僚達からは称賛、いや、大絶賛されたのだが、当のロイ様は少々渋い顔をされていた所が解せない。
そして得られた二度目のチャンス。
ロイ様が表に出たくないと言う意思は最大限尊重しなくてはならないが、やはり神と言っても過言ではないお方の偉業が誰にも知られないのは到底承服できない。
そこで私は一計を案じた。
私は頭脳派部隊最強を自負しておりそこはロイ様もご納得いただけているようで、今回ポーションを説明の手紙と共に隠密が得意なスペード部隊の者に届けさせる案を快く御了解頂いた。
フフフ、これぞ我が秘策。
何が秘策か?と言うと、今まで恐れ多くもロイ様の信頼を勝ち得ていた私は、手紙の内容も全てこの私ダイヤキングにお任せ頂けたのだ。
御理解いただけるか?内容は好き放題!書き放題!
本来は我が主であるロイ様を具体的に称賛する事を一面に認めたいのだが、それはロイ様の御意思に反する。
つまり、御意思に反する事のないギリギリの所を狙って好きに記載できると言う事だ。
表のシンロイ商会はこれからの旅先で支店を設置すれば一気に大陸を手中に収められる可能性が高いし、裏の万屋の存在も別ルート、表ではなく裏らしく謎に包まれている状態で情報を広めれば、その存在は一気に広がる上に存在価値も跳ね上がる事間違いなし。
こうすれば表と裏の両世界で、ロイ様が全ての実権を握る事になるのだ。
ハハハハハハ、明るい未来が見えて非常に楽しくなってくるな。
良し!ロイ様は私を信頼してくださっているのかもうお休みになられているので、早速手紙を認める事にしよう。
ポーションはダイヤフィフスが作っていたコレで良いだろう。
効果は・・・多少の欠損も時間をかけて修復する・・・か。
少々不満だが、この程度の効力しかなければ騒がれる事もないだろう。
良し、では手紙だ!
<この度、我ら裏の商会“万屋”の商会長である我が主の命により助太刀させて頂く。大変申し訳ないが、貴殿達の仲間である負傷者の方は町まで辿り着く事はできないだろう。その事を良しとしない、非常に慈悲深く慈愛溢れる敬愛する我が主が救いの手を差し伸べる。ここにポーションを提供しよう。多少の欠損があった場合にゆるりと治す程度のポーションではあるが、今回の負傷者には十分な効果を発揮するだろう>
フフフ、完璧・・・か?いや、もう少し万屋を強調するべきか?それとも我が主が如何に素晴らしいかをもっと具体的に記述するべきか?非常に悩みどころだ。




