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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(215)カードの動き

 間違いなく今日の依頼を受ける事は出来ないので、状況が状況だけに差し当たり一人ギルドマスターの執務室から退室するロイ。


「シルハさんは少しゆっくりしていてください。っと、言うまでもないかもしれませんが、今日の依頼は無しでお願いしますね?」


「はい。お気をつけて」


 ロイがこれから願いを伝え、場合によっては万屋と共に対策に乗り出すと知っているシルハは冷静に見送る。


 一方のカードの者達は勝手に顕現できるジョーカー二体が全力で情報収集を行いつつ残された者達で会議が開催されており、状況はどうあれロイから直接的にお願いをされる事が間違いないこの状況に歓喜している。


 ギルドマスター執務室の話しの内容は全て耳に入っているのだが、どれだけ危険があろうがその一切は関係なく唯ロイの為に動ける事が嬉しく思っている。


「では改めて会議を始めたいと思う。ご存じの通りに間もなく我が主から連絡を頂き私は顕現するだろうが、何と我が主が直接的に我らを頼ってくださるのだ。良く分からん“なんちゃら”とか言う武器に対して感謝しなくてはなるまい!」


 王族やギルドマスターですら恐れおののいている武器に対して名称すら適当に“なんちゃら”と言ってのけるダイヤキングと、同じ感性を持っているカードの者達は喜々として絶対の主であるロイからの願いをどう叶えるかを検討している。


「我が主からの御依頼。即達成する必要があるのだが・・・果たしてどのようなご依頼をなされるのだろうか?」


「武器の処理である事は間違いありませんので、聖魔法にて浄化すれば素材としては残るので有効活用できるのではないでしょうか?」


 話しを聞く限り何らかの呪いの類いの武器なのは間違いなさそうなので、ハート部隊が使用できる回復系統の光魔法の上位版、人族では御伽噺として認識されている聖魔法で浄化してしまえば良いのではないかとハートクィーンが提案する。


 そもそも対象の武器を発見すらできていないのだがそう時間がかからずにジョーカーが詳細を掴んでくることを疑っていないので、この場では対処の方法だけが検討され続けている。


 そうこうしている内に、ロイによってダイヤキングが顕現される。


「色々と聞いていたと思うけど、物騒な名前の二つの武器を何とか処理しなくてはいけなくなった。相当な危険を伴うので今回ばかりは本当に慎重に行動してほしい。必要な部隊の顕現は制限を設けないし、物資も自由に使って安全第一で対処してもらいたいんだ」


 過去にこれほどロイが真剣に、そしてカードの者達を案じてお願いをしてくれた事が無いので、これだけで感激して震えてしまい何も言えなくなってしまうダイヤキング。


「だ、大丈夫?そうだよね。本当に申し訳ないと思っているよ。近接するだけで生命力を吸われるなんて、相当危険な任務になるから・・・」


 ロイとしてもダイヤキングがこれ程の態度を見せた事が無いので既にかなりの情報を掴んでおり、正直その身を犠牲にしなくては任務を遂行できないと思っているのかと勘違いしている。


「俺にも何かできる事があるかもしれないので、現場には同行させてもらうつもりなんだ」


 自分の能力であるとは言えカードの者達には自我があるのでかなりの暴走がありつつも各自がロイの為に動いてくれている事を知っており、大切な仲間だけが危険な現場に赴くのは有り得ないと思っているロイは自らも現場に行くと明確に宣言する。


 一方のダイヤキングを始めとしたカードの者達はあり得ないが万が一にもロイに危険が及ぶ可能性は極力排除する事が必須であり、前回の魔核騒動程度であれば問題ないが未だ情報が掴み切れていない武器の対処であれば話しは別なので即断で拒否する。


「なりません!我が主の身に何かあれば、それこそ我らの存在意義が失われてしまうのです!」


「そうかもしれないけど、今回ばかりは皆にも何が起きるか分からないでしょ?今迄誰かが怪我をした状況が無いのだから対策も打ちようがないけど、一応俺が近くにいた方が色々とカバーできるかもしれないしさ?」


 未経験なので何とも言えないが仮にカードの誰かが怪我をしてしまった場合・・・カードに戻れるのか修復できるのか全てが謎なのだが、何れにしても能力者である自分が近くにいれば何かしら復活させる手立てがあるのかもしれないと考えているロイ。


「そうかもしれませんが、それでもその案だけは断じて受け入れられません。何卒再考をお願い致します!コレは我らの総意です!!」


 ダイヤキングも引けない内容なのだが、絶対の主が意見を曲げなければやがては折れざるを得ない。


 押し問答が暫く行われていたのだが、ロイの決意に圧されてダイヤキングが引きカードに戻ると緊急会議が開催される。


「お聞きの通りだ。残念ながら私では我が主の御意思は曲げられなかった。なれば我らカードの存在意義として、そのような状況になる前に解決するのが唯一の案!」


 いつもとは異なって真剣そのもので、誰もダイヤキングの話しに対して何かをかぶせるような掛け声は出ずにいる。


「戻りました」


 そこに一体のジョーカーが戻り、得られた情報を展開する。


「ふ、ふははははは!流石は我が主のお力よ!私もそのお力の一部である事を誇りに思うぞ!これで万事解決だ!」


 得られた情報はダイヤキングを筆頭としたカードの者達には非常に有益で有難い情報だったため、何時もの状態に戻っている。


「なれば、我が主のお気持ちを尊重しつつ動ける事になるのだな。流石はジョーカー殿だ。これで私も安心して作戦を立案できる!」


 その後は何時もの雰囲気で会議が進み、昼頃に再び顕現を願い出たダイヤキング。


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