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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
214/233

(213)事件

 ロイが置き忘れた魔核・・・本来あるべき場所から簡単に移動できるほどの大きさ、重さではなく、そもそもその場所に到達するまでにも命がいくつあっても足りないので長い年月定位置に置かれていた。


 難なく収納して持ち運んでしまったカードの者達は移動時にダイヤキングの指摘によって代替品の鉱石を置き魔石になった所までを確認していたのだが、今はその魔石は許容をはるかに超える周囲の魔力によって粉々になって霧散している。


 そのおかげで一時的に環境が激変して生体形が崩れた結果、高レベルの冒険者でさえ驚くような獣や魔獣や通常では見る事の出来ない存在が現れて一部怪我をしてしまったのだが、今は元の場所からは多少離れているが魔核が復活しているので状況は改善されている。


 ロイとシルハにはどのような状況でも危険が伴う事はないのだが、カードの力が無くとも危険が極めて少ない依頼を受けて経験を積んでいる。


「ちょっと・・・相談があるのだけど、良いかしら?」


 とある日、突然ギルドに現れた第一王女ミラーラがロイとシルハを待っていたようで、二人を見つけた瞬間に声をかけて有無をも言わせずにギルドマスターの執務室に連行している。


「座って頂戴」


 ギルドマスターの執務室にあるソファーなのだが我が物顔で座るように勧めているミラーラと、流石に王女なのでこの態度に苦言を呈する事も無く黙って座るロイ、シルハ、そしてギルドマスター。


「実はちょっと問題があるのよ。ギルドマスターならばある程度情報を掴んでいるのではないかしら?」


 脈絡も無く話しを始めたミラーラの言葉で、全員の視線がギルドマスターに集中する。


「日々色々な情報が集まっていますが、王女が問題にするような事と言えば・・・冒険者だけではなく騎士、民が夜な夜な失踪している事でしょうか?」


 ロイやシルハは絶対的に身の安全が確保されているしカードの者達も二人に害が無ければ周囲の事はどうでも良いので特段何か情報収集をしているわけではなく、今初めてギルドマスターからこの王都の状況を聞き驚く。


「そうよ。まさか騎士までが失踪するなんて通常じゃ考えられない事態よ!お父様やお母さまも非常に心配なさっているわ!」


「あの・・・話しの途中で申し訳ないですが、騎士の方々は王城内部で失踪してしまったのですか?」


 話題に出ていた民や冒険者は町中、依頼中、色々なパターンが考えられるのだが、騎士は通常王城にいるので、警戒態勢にある場所から失踪したのであれば大問題だと思い質問しているロイ。


「違うわね。失踪した騎士は全員、失踪者の調査や町の治安の為に巡回して戻ってこなかったのよ」


 王女は騎士だけではなく冒険者や民についてもその所在がつかめていない事も説明しつつ、本当に悲しそうな顔をしている。


「正直私の力、私達の力ではこれ以上何もできないの。ギルドマスターは何か動いているのかしら?」


「正直今のところは失踪者に対する捜索の依頼が出ていないので、申し訳ないですがギルドとしては何も動いておりません」


 依頼として失踪者捜索が出れば良いのだが、民は別として冒険者は日々命の危険を冒しながら生活しているので余程の事でない限り失踪に対する捜索依頼が出る事はない。


 民に関しても捜索期間が長ければその分費用が掛かる事に加え、この国ランカ王国では国家として民を守るべく日々活動してくれている事を知っているのでギルドに依頼が出る事は非常に稀だ。


「わかったわ。正直これ以上騎士を動員して二次被害が続くと国家として問題なの。なので、今この場で私からギルドに依頼を出すわ」


 話しが纏まりつつあるので何故自分がこの場に呼ばれたのか・・・正直少し前までは捜索に関して万屋の力を借りたいと言われるのかと思っていたロイなのだが、今の所その素振りは一切ないので不思議そうにしている。


「ロイ。貴方には別のお願いがあるの。国民の失踪も問題だけど・・・」


 やはり願いがあるのだなと思ったのだがあれ程ズバズバ自分の意見を言っていたミラーラが言い淀むのを見て、失踪以上の大事が起っている事を悟るロイ。


「あの・・・私は席を外した方が良いですか?」


 空気が読めるシルハはこう告げるのだが、ミラーラはその申し出を断ると同時に一気に勢いをつけて話す。


「いいえ、この場にいて一緒に話しを聞いてちょうだい。でも他言は無用よ?実は私達王族が管理している品が紛失・・・いいえ、盗まれたの。金銀財宝ならば痛手だけど問題ないわ。でも、今回はそうは行かないの」


 金銀財宝が盗まれた時点で大問題だろうと思っているロイなのだが、話しの腰を折ってしまうので心の中で思うだけに留める。


「本当に包み隠さず話すけど、例の勝負が終わった翌日あたりから宝物庫の内部に厳重に保管していた魔剣と魔槍が異常に振動していたようなの」


「まさか!あの伝承にある魔剣と魔槍ですか!?実在していたのですか。ひょっとして・・・」


 魔剣と魔槍と言う二つの単語に強く反応したギルドマスター。


「そう。その二つが数日後に忽然と宝物庫から消えたのよ!」


 宝物庫であれば非常に厳重な警備体制となっているはずであり、ロイが知る限りそのような状態にある場所から難なく品を盗める人材を考えるとカードの者達しか思い当たらないので少々不安になり始める。


 この流れから、ひょっとして万屋が疑われているのかと思い始める。


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