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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
213/234

(212)忘れ物

 本来は勝負開始後の早い段階でロイが魔核を持ち帰る事にしていたのだがシルハの願いの対応やらクィーン達との楽しい時間、まどろみの時間を過ごした結果、ロイがいた場所のほんの少し先に設置していた魔核を持ち帰るのを忘れていた。


 この失念によって恐怖の森では変異個体同士が潰し合った後に新たな個体は発生せず、魔核の設置場所は変わったのだが環境は元に戻りつつある。


 今は勝負の時で魔核を持ち帰るべきだったとギルドマスターの言葉を聞いて漸く思い出したロイなのだが、日も暮れているので今更戻って取りに行くのも心配をかけてしまうと思い黙っている。


「良く無事に帰って来たわね!」


 ロイとシルハよりも先にこの場に戻って来ている眼鏡の護衛対象者である第一王女のミラーラは、無事な二人を見てあからさまにほっとしたような表情ながらも言葉は少々厳しめに告げている。


 眼鏡の護衛やこの場にいる冒険者、ギルドマスターもロイが手配したカードの者達の陰ながらの庇護があるので誰一人として怪我すらしておらず、それ故か全員多少余裕があるように見える。


「あ、お待たせして申し訳ありません」


 魔核の持ち帰りを忘れていた事に気が付いて少々ボーっとしていたロイなのだが、ミラーラの言葉を聞いて普通に謝罪する。


 うがった見方をすれば自分達の方が長く恐怖の森に滞在していたと取られかねない言葉なのだが、ミラーラはロイの言葉を聞いても特段機嫌が悪くなるような事は無いままロイとシルハ両者に対して目に見える怪我があるのかを調べているように見える。


「いや、そう待っていたわけではない。見た感じ魔核は見えないので引き分けと判定するつもりだが、異論はあるか?」


 ミラーラは伺うようにロイを見ているのだが、その視線には気が付きつつも全く気にならない体でギルドマスターの提言に異論はないと明確に告げる。


「いいえ、異論はありません」


 するとミラーラの表情は少しだけホッとしたように見え、勝負が引き分けに終わった事によるものかはたまたロイやシルハに怪我がなさそうだと判断できたからかは不明だが、ミラーラ側からも異論は出てこなかった。


 これだけ大事になった決闘だが結果を見れば不完全燃焼とも言える状況ながらも、通常ではあり得ない全員が無傷と言う成果のままギルドに戻る。


「こ、今回は引き分けで納得したわ。色々と突っかかって悪かったわね。でも、私の護衛は優秀なのだけは分かってほしいの」


 王女と言う立場でありながら護衛一人だけを引き連れて恐怖の森の入り口に長時間滞在した事で緊張状態を維持していたのか、ギルドに到着して肩の力が抜けたミラーラは心の内を正直にロイに話す。


 ロイはこの国の王族が感じる日々のプレッシャーやら自由に行動できない制約やらを具体的(・・・)に知る訳も無いが、元王族、更には今でも立場は貴族なのでそう言った数々の縛りがある事は理解できており、日々の鬱憤が溜まっていたのかと思っている。


 冷静に対応すれば確かに突然決闘まで進んでしまった所は問題だがきっかけはある意味ロイの失言によって自らの護衛がバカにされたと思ってしまった所なので、根は素直で優しい人物なのだろうと笑顔で対応する。


 事実、ロイ達が食べたキノコによって色々と体が改善された国王、そのお礼を伝えに来た王妃も権力をひけらかして行動するような素振りが見られなかった事から、その血をひく王女ミラーラが悪人の訳が無い。


「確かに非常に優秀な護衛の方ですね。あの時は確かに失言してしまい、申し訳ありませんでした」


「で、でしょう?分かれば良いのよ、分かれば!」


 目に見えて機嫌が良くなっているミラーラを見てやはり素直で素敵な王女なのだろうなと思い、背後に控えている眼鏡の護衛に対しても一礼してシルハと共にギルドから去る。


 第三者が聞けば恐怖の森に長時間滞在するだけでも心身ともに極限まで疲労する事態なのだが、ロイは普通にのんびりしていただけなので大して疲れておらずに今は宿で一人寛いでいる。


「は~。結局終わってみれば俺が無駄に寛いだだけで魔核も置き忘れるし・・・でも王女とも打ち解けられた気がするから、そこは良かったかな?」


「では、今から魔核を取りに行ってまいりましょうか?」


 定例報告の為に顕現しているダイヤキングがロイの言葉に反応するが、今更魔核があってもロイとしては何も得る物はないし折角あと腐れ無く引き分けで落ち着いた所をかき回す必要も無いと思いその申し出は断るロイ。


「いや、大丈夫。今更魔核があっても仕方が無いからね」


 この時に代替品として設置した魔石がどうなっているのか、魔核がどのような状態になっているのか調査だけでも入れておけば良かったのだが、未来視などできる訳も無いのでロイの宣言通りに放置される。


 翌日、ギルドにて・・・


「あ、昨日は本当に助かった」


 シルハが手を貸した冒険者がおりロイも宿で各自の部屋へ向かう前に色々と話しを聞いていたので事情を知っている中で、彼等がシルハにお礼を伝えている。


「今朝の情報では、あの森近辺の異常は改善されたらしい」


 シルハと共に居るロイが恐怖の森に向かっていたとは知らない冒険者なので、怪我をしてしまった原因である恐怖の森近辺での高難度の依頼遂行時の異常状態が改善されたと情報を展開している。


 シルハとしては良く分からないながらも怪我も治って問題も解決したところだけは理解できたので、笑顔で対応してロイと共に依頼を受注しに受付に向かった。


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