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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(154)身の上と

 何故か流れで非常に重たい話しを聞く羽目になっているのだが、そこはやはり元職員だけあって上手く流せる能力があるロイは当たり障りのない返しをしている。


「そうですか。とても羨ましいです。私もそのような両親の元に生まれていれば違った人生があったのかもしれませんね」


 しかし話しはどんどん重たい方向に向かってしまうので何とか軌道修正をする為に話題を探そうとするロイなのだが、話しを流す方面は経験豊かでも貴族の女性に自ら話しかける能力は皆無と言って良いので何を話せば良いのかわからず、その間に女性の話しは容赦なく進んでしまう。


「本当は、私は一月前に別の貴族の元に嫁ぐはずだったのです。お相手には一度もお会いした事はありませんが何故かそこには私の妹が急遽嫁ぐ事になり、本来妹が嫁ぐべき相手の所に私が今向かっていると言うわけです」


「そ、そうですか」


「私の知る限りでは私が今嫁ごうとしている人物は黒い噂が絶えませんから、妹は私を生贄にしたのでしょうね。両親も常に妹ばかりを気にしていましたから、当初は王族に嫁げると喜んでいたのに噂を聞いた瞬間に手の平を返すのには呆れてしまいます。私が出立する際は妹も嬉しそうに家に戻って見送りに来ていましたし、少々信じられません」


「え、えぇ」


 どうやら今向かっている輿入れとは王族の誰かに嫁ぐのだな・・・と言う所だけは理解したロイなのだが、いくら身の上を話されても異国の貴族や王族にかかわるつもりはなかった。


 確かに黒い噂のある王族に嫁ぐ人物、両親にないがしろにされている人物であれば可哀相だとは思うのだが、実際に貴族とは時には家の為に政略結婚も甘んじて受けなくてはいけない立場である事もまた事実。


 一時の個人的な感情、それも一方的な人物からの情報だけを鵜呑みにして動いてしまっては全てがおかしくなってしまう。


 元王族であり貴族としての立ち振る舞いをしっかり理解しているロイだが・・・カードの者達はどうかと言うと貴族に関する知識など知るわけがない、いや、多少は知っているのだがロイが良ければそれが全てである者達の集まりなので全く意味がない。


 カッポカッポと音を立てながら護衛兼御者をしつつ街道を進んでいるロイがフラウの話しを聞いている間、カードの者達の会議が開催されている。


「皆の者。我らが主は今大変重要な護衛任務を実行しておられる。その対象はフラウ殿と言う女性なのだが、流石は我が主!護衛をしつつも対象者の気持ちを軽くしながら内情を難なく手に入れられている。当然護衛任務とは対象が無事である事が必須なのは言うまでもない。つまり・・・」


「成程!理解したぞ、ダイヤキング殿。我が主はあえて対象の女性の事情をお聞きになり、完全に安全が確保できる状況まで護衛しようと努力なさっているのだな?」


「ふふふふ、その通り。だがしかし!全て我が主のお手を煩わせる必要があろうか?否!断じて否!!確かに護衛任務をなされたいと仰り今実行されておられるがその実力は如何なく発揮されているので、少々護衛方法が一般的でない今後については我らが対処すべきだと判断した!」


 直前でロイの願望(と思っている)である護衛任務を上手くこなせていた事から、非常にテンションが高く話し方も無駄に長くなっているダイヤキング。


保護対象(フラウ)の身元もわかっているし、嫁ぎ先も既に軽く調査済み。確かに屑の臭いがしたが、もう少しそこを洗い直した上で対処する事に決定する!」


 護衛任務に関する情報を得ていただけなので今回話しに出てきた王族が悪事を行っている噂がかなり真実味を帯びている事までは把握しているのだが、本来の目的には関係ない為に具体的な調査までは入れておらず再調査を実行している。


 ロイの操る馬車とジョーカーが再調査するのでは当然再調査の方が圧倒的に所要時間は短く済む為に、未だロイは移動中ながらも短い間隔で再びカードの者達による会議が行われる。


「今上がってきた情報によれば確かに庇護対象であるフラウ殿が言っていた通りに嫁ぎ先は王族、何故か第一王子でありながら王太子ではないので噂が事実であると明らかなのだが、相当らしいぞ。人身売買、恐喝、恫喝、拉致、監禁、まぁ、我が主の真逆の存在と言えば理解が早い。この情報を得て確信したのだが、このような汚物に我が主が接触してしまう事は罪に他ならない。やはりここは万屋としてしっかりと対応すべき案件と見た!」


「「「「「異議なし!!」」」」」


 そうこうしているうちに流石のロイも王都に入る事になり、何故二台の馬車が連結されているのか調査されたのだが同乗していたフラウの服装や家紋からどの様な立場の者ななかは理解したようで直ぐに疑いの眼差しは晴れるのだが、今度はフラウが憐みの目で見られている。


「騎士達の無事も確認できました。このままお通りください!」


 何故か後方に連結している馬車の中に気絶した騎士達がいるのだが、起こさずにそのままの状態で入国しろと告げる門番なので流石に訝しむロイ。


「あ、あの・・・このままで良いのですか?」


「はいそうですね。そのまま目的地まで向かってください」


 門番はこの馬車がどこに向かうのか知っており余計な事をして目を付けられるのを避けただけなのだが、一般的に考えればあり得ない対応なのでロイはフラウを見る。


 どう考えてもフラウが御者として活動できるようには見えないので、流れでこのままフラウの目的地まで御者をせざるを得ないと思ったロイは仕方がないと思い口を開こうとするのだが、耳元にスペードキングからの声が届く。


「我が主。目的地はこの先を右に曲がる必要があります。その際にカードを一体、可能であればダイヤキング殿を顕現していただければ、万屋として我が主の代わりに御者としてフラウ殿を無事に(・・・)送り届けます」


 無事の意味にロイとカードの者達では大きな開きがあるのだが、そこに気が付かないまま言われた通りに角を曲がるとダイヤキングを顕現させる。


「おぉ、これはハイス子爵家のロイ様ではありませんか。御者はこの万屋が承ります!」


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