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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(149)ロイ出国

「・・・と言う事で、リーン様は暫く王都に留まらざるを得ないようです、我が主」


 リーンやヴァイスの陰にも護衛が潜んでいるので、そこから王城での情報が即座にロイに通達される。


「そうなんだ。大変だけど、義務である以上は仕方がない・・・かな?」


 ギルド職員として生活していたので冒険者としての義務も理解できるし、臣下である以上は王族、つまりは王都を守らなくてはならない貴族の義務も理解できるので特段不思議には思わないロイ。


 まさか一人旅の体になっている自分を狙いに来ているとは思っていない中で、それならばいつまでもこの場所に留まってリーンを待つ必要もないと旅を続ける事にした。


 どの様な手法なのかは一切不明だがリーンであればどのみち行き先を告げずとも自分を探すのは容易なはずだとわかっているので、迷う事なく行動に移すロイ。


「今日と明日だけしっかりとモバイ王国を見て、その後に出国しよう」


「仰せのままに」


 そして出立前の朝、リーンが放った使い魔が持ってきた手紙を受け取ったロイ。


 相当な愚痴と共に暫くはロイの元に戻れないという泣き言が書かれた手紙を受け取り、予想通りだと苦笑いしつつも出国する。


 見かけ上は一人でいるロイなのだが、スペードキングとの会話を楽しみつつも旅を続けている。


「でさ?今度は見て回るよりも自分で経験したいと思って、護衛任務なんかどうだろう?」


 これはロイの希望であり、ギルド受付時代に対応した冒険者達が護衛の依頼を受けた経験談を聞いて一度は経験してみたいと思ったために何の気なしに口にしている。


 正直なところカードの力を使えば圧倒的な力を有しているロイなのだが、当人だけの力を見ると普通の人であるために弱い部類に入るので護衛の仕事には全く適正が無い。


 しかしカードの者達にとってみれば自分達の力はロイの力である事は間違いないのでロイが護衛をするのであれば500%安全は確保できると思っており、同意しか返ってこない。


「それは素晴らしいと思います。では誰を護衛いたしましょうか?」


 この話しを聞いて相当広範囲の気配を察知しているスペードキングなのだが、今のところは護衛を必要としているような環境、つまり何かに襲われているような存在を発見できていない。


 いっそのこと他のカードの者達に襲わせるふりをして護衛を必要とする環境に強制的に陥れる事もありかもしれないと不埒な事を平然と考えるのも、ロイの希望を叶える為に存在していると自認している故だろうか。


「そうだよね。そこなんだよね。次の街に到着したら、冒険者としても登録して護衛の依頼を受けられると良いけどさ?」


 ロイは希望を口にしているのだが、冷静に考えれば職員の実績はあっても冒険者としての実績はないために自分に護衛を頼むような人はいないだろうと理解はできている。


 道中の会話として軽い気持ちで言っているだけなのだが、カードの者達にとってみればそう受け取れるわけもないのでいつもの定例会議の緊急議題に上ってしまう。


「皆の者。既にご承知の事と思うが、今日スペードキング殿からの情報で我が主が護衛任務を行いたいと仰っていた。護衛対象が羨ましい事この上ない・・・ゴホン。そこは置いておくが、我が主のご要望を叶える事こそ我らの存在意義。実はスペードキング殿から素晴らしい案をいただいているので、是非ともこの場で紹介させてもらいたい」


 あろうことか襲うふりをして護衛を必要と認識させると言う話しが俎上に上ってしまい、ロイの為にという思いが強すぎるので誰も止める事はなく具体化が進んでしまう。


「我が主の護衛と言うこれ以上ない程の誉を頂けるのであれば、相応の人材である事が求められるのは自明の理!道中そのような存在がいるのかをしっかりと把握する必要があるな」


 ロイの希望を叶える為に動く事を進言しては絶対に断られるのは目に見えているので、勝手に顕現できるジョーカーがダイヤキングの指示によって相当広範囲を探索する。


 後にロイは軽く世間話程度の願望であっても余計な事は絶対に口にしてはならないと固く心に誓うのだが、それが理解できるのはもう少し後になる。


 忙しなくダイヤキングを筆頭に活動しているカードの者達なのだが、既に作戦は実行しているので今のところはジョーカー以外に何かをする事はなく只管報告を聞いて修正すべき点がないのかを検討している。


「これであれば、我が主もご納得いただけるのではなかろうか?」


「流石はダイヤキング殿。しかしこの作戦の要はジョーカー殿の指導であり、極めて重要。ここをしくじれば作戦は瓦解してしまいますぞ?」


 こうしてロイが軽い気持ちで口にした願望を叶える為の作戦を遂行するのに非常に力が入った結果、周辺に神出鬼没の盗賊と恐れられていた者達が神隠しにでもあったかのように突如として消え去る事になる。


 ここだけ見れば周囲の環境に非常に良い結果をもたらしたと言えるのだが、あろう事かその面々を手駒にする等とは普通の人では思いつく事すらできない。


姉ちゃん(リーン)がいないうちに、色々経験できると良いな」


 リーンがいればロイに危険な護衛任務などさせるわけもなく何も経験できないので、仮にそのような機会があれば良いなという気持ちで口にしているロイ。


 この一言が情報共有されると、作戦を実行しているジョーカーの行動はより苛烈になった事は言うまでもない。


 逆に言えばロイが何の気なしに口にした願望・・・希望を叶える為だけに大きな被害を受けた面々が多数出てしまうのだが、そもそも世界はロイの為に存在していると心底思っているカードの者達なのでハイス子爵家の面々等の一部を除く第三者がどうなろうが深く考える事は無い。


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