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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
132/191

(131)ソシケ王国に

 ソシケ王国の国王バレントは、妾の子であり王位を継承させるつもりのバミュータの案に従ってハイス子爵家の面々を個別に行動させる時間を作ろうと画策している。


 その中である意味目の上の瘤であった聖国ロナのロマニューレからハイス子爵関連の者達への接触については無期限の延期を行うと連絡が来て、あれ程強欲な者が益の塊と言っても過言ではないハイス子爵との接触を自ら断るなど有り得ないと思いつつも情報収集等をする余力も無いので放置中だ。


「バミュータ。ハイス夫婦を個別に行動させる事は正直現状では難しい。各自の現状はルホークが領地、夫妻は王都、リーンとロイは今ムジカ王国にいるようだが・・・」


「そっ。じゃあ最強のリーンを領地か王都に戻す命令をすればロイが単独、丸裸でしょ?家族に溺愛されているみたいだから、そこを狙いに行けば丁度良いんじゃない?でも、だからこそそこに万屋の護衛がいる可能性が高いけどね」


「なればどうすれば良いのだ?」


「万屋の護衛は存在しているとして動くしかないでしょ?何とか隙を見つける他ないよ」


 敵の真の実力が把握できていないので今持ち得ている情報の中で最善策、最弱のロイを狙う事を提示しているバミュータと、その案に縋るほかない国王バレント。


 数日後に名目上は貴族の顔見せとしてリーンを王都に召集する為に会合を行う事にし、貴族の夫婦、子息も拠点が王都の邸宅にある者については強制参加とする案内を出した。


 ハイス子爵家のルホークの様に代替わりの為に自らの領地で活動させている子息も数多くいる事から、そこまで招集対象にしては将来的に国家としての税収に大きく響く可能性が高いと言う事まで考えたバミュータの指示によるもので、この命令によってルホークは対象から外れるがリーンは招集対象になってしまう。


「私は行かないからね。ロイ君と旅をするから安心して!」


 使い魔によって王都の子爵家からある意味招集命令(・・)が出ている事を知ったリーンは、開口一番この命令を完全に無視すると平然と言ってのけた。


 言われたロイもなぜこのような会合が行われるのかと言う疑問がありつつもリーンは相変わらずだなと言う感情が沸き上がるとともに、今まで共に旅をしてそれなりに楽しかった部分もあるのだがやはりリーンは相当有名で存在を認知された後は腫物を扱うようにされたために若干ながら多少の不満があったのも事実。


 ギルドに依頼の品を納品して暫くするとその実力から、又は揉め事を力技で解決した際に確実に古龍を従えているハイス子爵家のリーンと認識されてしまい、その後は必要以上に過剰な接待を受ける羽目になっていた。


 そこを改善して気ままに本当の人々の姿を見たいと思っているロイは、リーンには申し訳ないが良い機会だと招集に参加すべきだと主張する。


「えっと、姉ちゃん?参加しないと一応ハイス子爵家としての立場も悪くなるし、余計な軋轢が発生すると思うんだ。ただでさえ万屋の庇護を受けている事と、シ・・・シン()ロイ商会を手中に収めているように見えているからさ?」


 自らの商会の名前を告げる時にやはり納得いかないのか恥ずかしいのか少々言い淀むロイだが、リーンは共に旅が出来なくなる可能性が高くなっている事に意識が向いている為に不自然さに気が付かなかった。


「ロイ君・・・お姉ちゃんとの旅は、楽しくない?」


 不安そうな表情になってしまったリーンを見て良心が痛んだロイだが手紙から判断するに会合とやらはそう長い時間が必要になるとは思えず、リーンであれば時間がかからずに移動する事も出来る上に自分を見つけるのも簡単なはずだと割り切る。


「姉ちゃん。俺も凄く楽しく旅が出来ているよ?でもさ・・・俺は勝手に拠点を邸宅から移しているけど、姉ちゃんは冒険者として活動しても拠点はあの家でしょう?貴族と言う立場である以上は一応陛下の要望は聞く必要があるんじゃないかな?それに、この会合ならばそう時間がかからずにもう一度一緒に旅が出来るよ?」


「ロイ君・・・本当にもう一度一緒に旅をしてくれるの?」


「ははは。当たり前でしょ、姉ちゃん!」


 国王命令<<<<<<<<<<<<<ロイ と言う事が改めて分かって何となく嬉しいやらむず痒い気持ちになるロイだが、想定では短い期間になるが再び一人旅も経験できると思っている。


「じゃあ嫌だけど・・・本当に渋々だけど行って来るね?ロイ君は旅を続けるのでしょう?何か必要な物はあるかな?」


「大丈夫。コレにいっぱい入っているからさ?」


 ハイス子爵夫妻やらルホークやリーンからも相当な中身が入った収納袋を渡されているし、カードの部隊達も各々が相当な量の品々を収納魔法で保管している以上は必要な物資、金銭には全く心配のないロイ。


 遠慮ではなく本心からの言葉だと理解したリーンは、即座に余計な用事(・・・・・)を終わらせる為に行動する。


「じゃあ、直ぐに言って直ぐに戻ってくるね。その間、色々と気を付けてね!」


「うん。ありがとう、姉ちゃん。そっちは大丈夫だとは思うけど、気を付けて。父さん、母さん・・・兄ちゃんには会えるのか知らないけど、皆に宜しくね?」


 どの道リーンの陰にもスペードサードが潜んでいるしそもそもカードの部隊達の助力によってあり得ない程の強さを得ているので、道中の心配は全くしていないロイ。


 今まで旅をしてきた方面に向かって戻る為に、リーンと言う存在はギルドや国家間の情報網によって広まったソシケ王国の王都ギルドを拠点として活動している別格の存在のリーンその人であると認識されている場所ばかりを通過する事になるので、間違いなく道中の盗賊やら不審者やらはリーンの姿を少しでも視界に映せば即座に逃亡する事は間違いないだろう。


「うん。行ってきます!!」


 今回の招集の目的がロイを単独で行動させてソシケ王国の首輪付きとし、そこからハイス子爵家や万屋、更にはシン()ロイ商会を手に入れようとする為の行動だとはわからないので、ロイは久しぶりの一人旅を楽しむべく軽く伸びをしてムジカ王国を後にする事を即決した。


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