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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
131/183

(130)碌に行動せず終わる問題

 ロイとリーンに対する嫌がらせの様な宿泊や宿に関する制限が即座に撤廃されているムジカ王国では、第三王子と言う邪魔者が居なくなった事から冒険者やギルド職員も活発に行動できるようになっている。


 受付はギルドと言う組織に守られているので多少は問題ないのだが、冒険者は王族としての力を無駄に使って嫌がらせをされては死活問題になるので極力目立たないように行動していた。


 その制約が取れて状況が好転している為か、活動範囲も大きく広がったせいで隣接国家であるモバイ王国についての噂が流れてくる。


「おい、モバイの連中がそう遠くない内に襲ってくる可能性が高いらしいぜ?俺達も安全な内にどこかに拠点を移すか?」


「俺の情報によれば、こっち(ムジカ王国)もその程度は把握して何やらソシケ王国で有名になっている万屋に対処を頼んだらしい。実際に第三国、どうやら聖国ロナらしいが、そこから余計な行動をするなとモバイ王国が釘を刺されているらしいぞ?」


「じゃあ安全と言う事か?と言うよりもそんな事が出来るなんて、何という組織だ?」


「万屋・・・だな。俺も詳しくは知らないが、ソシケ王国では相当有名らしいぞ」


 何故ここまで情報が漏れ始めているのかと言うと、万屋の名声をロイの為に広げたいダイヤキングを筆頭としたカード部隊の総意によって聖国ロナのロマニューレからある意味聖国の傀儡になっているモバイ王国に対して強制的に命令をさせる際に万屋の名前を出させたからだ。


 流石に回復について全ての実権を握られて聖国ロナの傀儡になり果てているモバイ王国なので、ロマニューレ直々の書簡で強く命令されては異を唱える事も出来ずに不可侵の証明書まで提出している。


 この証明書はロマニューレから万屋、最終的にムジカ王国に流れるので、万屋としての依頼を完全に遂行できた証明にもなる。


 国王ムジカが生贄になる第三王子を失ってどのようにモバイ王国に対処すべきか悩み始めて僅か数日で、書面が手元に届いた。


「こ、これほどとは・・・万屋殿、恩に着る!」


<依頼を引き受けた以上は、絶対に達成するのが我ら万屋、よろずや、よ・ろ・ず・や である。ではこれにて>


 書面を国王の机の上にいつの間にか置き、姿を見せないままに消えるジョーカー。


 その頃のロイとリーンは依頼を終えてギルドで食事をしているのだが、周囲の者達がやけに万屋と連呼するのが気になっている。


 ロイはリーンと違って素の力は非常に弱いのでかろうじて万屋と言う単語が頻繁に聞こえると言う程度だが、何故何も指示を出していないこの場所で万屋の話しが一気に広がっているのか不思議で仕方がない。


 暴走機関車であるダイヤキングも暫くは大人しいし、追加で誰かを顕現させた記憶も無いのだからどうしても首を傾けてしまう。


「ロイ君、どうしたの?口に合わなかった?」


「え?いや、ごめんね、姉ちゃん。とっても美味しいけどさ・・・周りの人達がやけに万屋って連呼しているから、ちょっと気になってね」


「そうだよね。ハイス子爵家を守護してくれるって宣言した万屋だから、気になるよね?」


 実際はそんな事は無くロイの知らない間にどのような暴走したのか気になっているだけなのだが、リーンにさえも事実を伝える事が出来ない中で変な行動を取れば間違いなくリーンには丸わかりなので取りあえず同意しておく。


「そうだね。姉ちゃんは聞こえていた?」


「え?ロイ君の話し以外は興味ないから、所々単語は聞こえていたけど気にしていなかったよ。今から聞くから待っていてね!」


 特段誰かに聞きに行く必要も無く、リーンの力があれば周囲の声など簡単にこの場所から拾えるのでロイは大人しく待っている。


「うん。なんだかこの国の隣の国家のモバイ王国が攻めて来るそぶりを見せていたけど、万屋の力で防いだみたいだよ?方法は聖国ロマニューレが介入して、モバイ王国に自制を促したみたい」


 複雑な話しになっているので何故聖国ロマニューレが出てくるのか、そもそもモバイ王国にいつの間にか接触したのか、どの様に状況を把握したのか全く分からないのだが、これだけ周囲の者達が同じような話しをしているように見えるので事実なのだろうと納得したまま食事を終える。


 夜になって何故か国王の指示があったとギルド職員から案内されて豪華な宿に移動したロイとリーンは、各々が大きな部屋でゆっくりと休む事が出来ている。


 もちろんロイはダイヤキングを呼び出して詳しく事情を聞くと・・・まぁ正しい事をしたと判断できたので特段何かを自制するような指示は出さなかったのだが、何故“裏”だの“秘密裏”だのと言う組織の万屋がこれほど有名になっているのかについては未だに納得できていないまま事実として覆しようがないので泣く泣く受け入れている。


「っと、あの名も無き集落の運営はハートエースだけで大丈夫なの?最終的にはあの人(ジョロール)がそこに住む事になるのでしょ?」


「はい。ですが今の所は問題ないと連絡を受けております、我が主」


 国家間の戦争になる可能性が高かった今回の状況だが、ロイとしては何もせずにいつの間にか平和を維持する事に成功していた。


 万屋の力に恐れおののいている聖国のロマニューレと、一方で聖国を恐れているモバイ王国としては恐怖の対象でしかないロマニューレが恐れている万屋に殊更恐怖し、強い楔となって余計な行動をする事が無くなっていた。


 あり得ない規模の騒動を知らず知らずのうちに収めたロイの力であるカードの者達だが、これでも絶対の主であるロイの名声を高めるにはまだまだ不足していると考えているので今後も暴走し続ける事になる。


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