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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(128)ロイのトラブル(3)

 ジョロールは容赦なく絡んでしまった女性がソシケ王国所属のリーンでない事を祈りながらも嫌がらせの為だけに命令していた宿への宿泊拒否とギルドの依頼受注拒否を即座に撤回するが、既に宿については全て断られた上で楽しそうに野営の準備をしていると報告を受けているので今更撤回しても何も意味はない。


「そ、それで、次はどうする?先ずは本当にそのリーンかどうかの確認だ!だが、俺があいつ等に直接問いかけてもどうしようもないが・・・っと、そうだ!ギルドに行けば!」


 慌てて自らもギルドに向かい、リーンと依頼について話しをしていた受付の女性から詳しく話を聞く。


「お、おい。お前だ、お前!ちょっと来い!」


 相変らず横柄な態度なのだがこれがいつものジョロールなので一部は露骨に不快そうな表情をするが立場的には王族である為に何も言えず、指名された女性も慣れたもので表情に一切の変化がないまま移動する。


「何でしょうか?ジョロール様」


「今日この場に来た童顔の女がいたな?俺と少々もめた女だ」


「はい。良く覚えておりますよ。リーンさんですね?弟のロイさんと仲が良くって、本当に噂通りでした。見ていて癒されます」


 流石のジョロールもリーンの噂は聞き及んでいたのだが、あり得ない力を持つ女性なので所詮は噂と切り捨てていた所・・・今の受付の言葉で真っ青になって座り込んでしまう。


 リーンの実力については自分が信頼している情報源の言葉から疑いようがなく、そしてそのリーンがこのギルドにいた女性と同一人物なのかどうかについては弟の名前と仲が良いと言う言葉から確実に本人であると理解できてしまう。


 収納魔法はソシケ王国だけではなく大陸中でも貴重とされる魔法であり、更に弟と当人の名前が一致していれば似ている第三者と言う選択肢は全くない。


「お、俺は・・・なんて事をしてしまったのだ!」


 慌てて自分が泊っている高価な宿に戻って扉を厳重に閉めて布団に潜り込んで震えているのだが、リーンはロイと共に行動できる事が嬉しくて既にジョロールの一件はジョロールの容姿を含めて綺麗さっぱり忘れている。


 だが、リーンは良くともカードの者達はそうではない。


 絶対の主であるロイに頭を下げさせる事になった原因、元凶であるジョロールの姿は全て共有され、更にはカードの中では自らの判断で顕現する事が可能なジョーカーの一体が既にジョロールの宿泊している部屋にまで侵入済みだ。


 どれほど強固なセキュリティーの体制が整っていようがカードの者達にとってみれば何の障害にもならず、まして全ての能力を使えるジョーカーであれば普通の散歩と変わらずにこの部屋まで難なく侵入する事が出来る。


 もとより姿が認識し辛いジョーカーである為に特段余計に姿を隠す様な服装をせずにこの場に佇み、布団の中で丸まって震えているジョロールに声をかける。


「そこで無様に震えている王族のジョロール!我は万屋である」


「ひぃぃぃぃぃ」


 男性か女性かも分からない声である為にリーンの声でない事だけは確実なのだが、安全面に特に配慮されているこの宿の部屋の一角に何の騒動も無しに侵入できるほどの力を持つ者なのは間違いなく、震えが止まらないジョロール。


 いつの間にか声も出せなくなり震えも強制的に抑えられている感覚のまま必死に被っていた布団すらいつの間にかなくなり、表情すら全く分からない不思議な侵入者を嫌でもその目に映している。


 ここまでの蛮行については余す事なく情報を得ているジョーカーであり、例のカードの者達が集う怒りの会議で決定した事項を告げる。


「先ずは、余計な口出しをギルドで行った蛮行に対する罰は遠くの国にある広い森の中に放置する。更に宿屋や依頼について余計な事をした罰は手持ちの武器、防具、金銭を全て没収する事とする。それ以外にも多数の罰があるのだが、そこは我らの神たる商会長の慈悲と言う事で許してやる事にした。次に目覚めた時には森の奥だ。その後の行動は観察させてもらう。行動如何によっては再び森の中で単独で活動する羽目になる事、深く心に刻みつけておくと良い!」


 罰についてはロイの許可を取っているわけではない為に命を奪う事までは出来ず、実はカードの者達の管理下に置けるようにソシケ王国の名も無き集落に到着できるような位置で放置する事が決定していた。


 道中は名も無き集落の無駄に広いお風呂がある建屋を管理しているハートエースが監視する事になっており、相当苦労をさせて集落に到着させる予定であり、その後再び傲慢な姿勢が出てくれば容赦なく更に森の奥に戻す事が決定している。


 カード達の総意としては“容赦なく滅ぼす”の一択だったのだが、常にロイの足元で護衛をしているスペードキングから心情は分かるがロイの意志とは離れている可能性が高いとの指摘を受けて止む無くこの罰に決定していた。


 結論に至るまでに相当紛糾していたのは事実だが、誰よりも間近でロイの姿を見る事が出来る栄誉を賜っているスペードキングの助言である事から最終的には誰も異を唱える事が出来ずに決まっていた。


 その後言われた通りにジョロールの意識が飛び気付いた時には着の身着のままで見た事も無い様な森にいる事を把握し、知らない内にハートエースの調整を受けつつも恐る恐る移動して数日かけて名も無き集落に到着した。


 既に王族と言う地位が何も安全の保障にならない環境を思い知った影響か不遜な態度は完全に鳴りを潜め、更には自らをジョロールと名乗ると王族であるとどこからかバレて更なる罰を与えられる可能性が捨てきれないと無駄に思った事で、ジョロと若干名を変えて集落で自給自足の生活、更には周囲の者達と協力して生活をしていた。


 ジョロールに手を焼いていたムジカ王国はいつの間にか冒険者として活動していたジョロールが行方不明との連絡を受けたのだが、手を持て余している第三王子であった為に何も騒動にならず、寧ろそのまま見つからなければ良いのにと言う感情で満たされている。


 結果的にジョロールは完全に態度を改めて集落と国家共に益の有る結果となったのだが、この偶然すらカードの者達にとってみればロイの力によるものだと言う事になる。


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