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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(126)ロイのトラブル(1)

 長く旅を続けていれば何も問題が起きないと言う事はないし、寧ろダイヤキング達の暴走がある為にいらぬ騒動が起きて心労が続いているのが現実であったりするロイ。


 ダイヤキング達は人の目に触れて行動する事は略無いので、聖国ロナのギルドの様にその名前程度は知っていても具体的な容姿を知らない者やその噂すら眉唾であると思っている者、更には噂すら知らない者もいるのは当然で、ロイとリーンの二人旅と認識されてしまって絡まれる事がある。


 聖国ロナの冒険者ギルドではやはり文句を言われたり攻撃的な対応をされたりと言った事があったのだが、相当な強さの魔獣を日々納品し続けた事によって強さを認識させる事でその状態は強制的に改善されていた。


 そんな中で異国であるムジカ王国に到着すると、何時もの様に二人はギルドに入る。


「やっぱり!どこもギルドは変わらないなぁ」


「そうだよね。でもそこが冒険者にとってはありがたいんじゃないかな、ロイ君?」


 相変わらずの感想を述べつつも、未だに冒険者登録をしていないので職員のカードしか持っていないロイでは冒険者として依頼を受注する事は出来ない為にリーンが受付と話しをする。


 一歩引いた位置にロイがいるのも最近では普通の流れだが、第三者がこの状況を見れば可愛らしい女性が受付処理を行いその後ろでふんぞり返っている男と言う図になる。


「おいおい、お前・・・相当偉そうだよな?依頼受注程度は自分でやったらどうだ?その程度も出来ないのか?っと、冒険者ですらないのかよ?」


 ギルド職員のカードは身分証明としては相当信頼の有る物であり、今までどこの国家に行っても経験上それが事実だと知っているロイは敢えて冒険者が首から冒険者証を下げているのと同じようにギルド職員であった証明証書を首から下げている。


「と言う事は、お前はこのギルドの職員なのか?」


「違いますね。コレは以前ソシケ王国のギルドで勤務していた時の物です。それ以降は職員として活動はしていないですよ」


 元職員としての身分を明らかにしているので、ギルドの品格を落とさないように相応の態度で応じるロイに対して冒険者は止まらない。


「だとすると、お前はこの女性(リーン)に危険な仕事を丸投げにしている挙句に受付と言う簡単な業務まで一切手伝っていないと言う事か?」


 元職員であれば受付代行程度楽にこなせるのは常識とは言えロイが受付をする必要があるか否かは全く関係のない話しではっきり言うと余計なお世話以外の何物でもないのだが、可愛らしいリーンを近くで確認してしまった男は無駄に良い所を見せようと止まるそぶりを見せない。


 この国のギルドに来たのは初めてであり聖国ロナの時と同じようにリーンと名前を告げてもギルド間で情報共有されている古龍を従えているリーンであるとは理解していない受付なので、焦る様子はないが聖国とは異なってしっかりと男性の冒険者を止めにかかる。


「ジョロール()。人には色々な事情がありますから余計な事ですよ。誰が受付をしても全く問題はありません」


「はっ、受付風情が偉そうにするな!お前は俺が誰だか知っているだろうが!その上で俺に対して説教紛いの事を言うのか?あぁ?」


 無駄に絡まれたロイは少々嫌な気持ちになっているのだが、庇ってくれている受付が逆に絡まれ始めたので仲裁に入る。


「あの、ジョロールさんと仰いましたか?ご指摘の通り自分も受付をすれば良かったですね。今後気をつけますので、教えて頂きありがとうございました」


 過剰に下出に出て相手を無駄に持ち上げる事で怒りも霧散して気分良く帰って行くのが普通の冒険者なのだが、実はこのジョロールと言う男は普通ではなくこのムジカ王国の第三王子と言う立場ながらもあまりに身勝手な行動が多い事から王城を追い出されて冒険者活動をさせられている存在。


 つまり、王族としての立ち位置も未だ失っていない事からこの程度の遜り方では気分が良くなるわけも無く、寧ろロイが扱いやすい雑魚認定されるに至る。


「お前は立場を良く弁えているようだな。じゃあ後の事はこの俺ジョロール様がしっかりと処理をしておいてやる。お前は目障りだからさっさと立ち去・・・ブホッ」


 ロイに対してまるでコバエでも払うかのように手を振ってみせたジョロールだが、最後まで言葉を言い切る前にリーンに小突かれて吹っ飛ぶ。


 このようになる事は理解していたので事前に何とか止めたかったロイなのだが、もうこうなってしまっては止まらないので一歩引いて傍観する。


 リーンは壁際まで吹き飛ばされて未だに苦しんでいるジョロールにツカツカと近接し、髪の毛を鷲掴みにして片手で持ち上げる。


 身長差がある為に体全体が持ち上がる訳ではないのだがリーンの目の前にジョロールの苦しんでいる顔が来ており、そこにしっかり視線を合わせつつ底冷えする声でリーンは告げる。


「ねぇ、突然割り込んできて偉そうに何様のつもりかしら?私達には私達のやり方があるの。アンタ程度に私達の行動を邪魔する権利があるのかしら?」


 見た感じリーンの行動としては大人しい方だと思っているロイなのだが実はリーンの護衛として陰に潜っているスペードサードがジョロールの受ける衝撃を緩和していたおかげであり、本来の威力であればたとえ小突いた程度としても意識は無くなっている。


 事実を把握しているのはカードの者達だけなのだがそんな事はこのギルドに勤めている受付や冒険者達には関係がなく、ジョロールの存在を知っている彼等は今度の事を考えて真っ青になる。


「リ、リーンさん!しゃ、謝罪を、謝罪をお願いします!」


 特に絡まれていた受付が飛び出してリーンの元に向かい髪の毛を鷲掴みにされているジョロールに対して謝罪するように告げる中で、情けない状態になっているジョロールは痛みによって表情が歪みながらも自分優位は変わらないと強気だ。


「はっ、今更謝罪程度で許されるわけがないだろう?どうなるのか思い知ってもらおうか」


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