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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
121/134

(120)お礼と

「ギルドマスター、リーン様とロイ様をお連れしました。やはり子爵家の方々が動いて下さったのは事実です」


「そうか!入ってくれ。ささ、こっちに。っと、先ずはお礼が先だな。本当にありがとう。数多くの冒険者や作業員の命を救ってくれた事、心からお礼を言わせてくれ。このギルドでは対処できずに途方に暮れていたのが正直なところで、情けないが諦めかけていた。本当に、本当にありがとう」


 リーンとロイの手を順番に両手でしっかりと持ち、深く頭を下げるギルドマスターのシャイン。


「あの・・・万屋にお願いしたのはロイ君なので、今回私は何もしていないわよ?だからお礼ならばロイ君に伝えてくださいね?」


 ロイにもしっかりと()をつけ、更には心底尊敬するかのような態度を取っているギルドマスター達を見て機嫌の良いリーンは、名声はロイ一人の者だと殊更に主張する。


「おぉ、そうでしたか。ロイ様。本当にありがとう!」


「い、いいえ。どういたしまして。俺はお願いをしただけですから。そもそもシャインさんから橋渡しを依頼されていたわけですし・・・万屋が俺の願いをしっかりと聞いてくれて嬉しいですよ。これで願いが聞き届けられていなかったらと思うとちょっと怖いですよね?」


 ロイがお願いをする以上は絶対にそのような事にはならないのだが、一応万屋は“陰”だの“裏”だのと言う組織である以上は自分との関連性を極力薄くしておきたいロイの考えもあって、今更感は否めないが敢えてこのように伝えている。


「正直に言えば俺としてもギルドとしてもお手上げだったから、まさか突然万屋を名乗る存在から天の声が聞こえてくるとは思わなかった!正に神である商会長の素晴らしい慈悲によって大勢の命が救われたのだ!」


 ギルドマスターのはしゃぎようは所属する冒険者達が助かった事によるものだと思っていたロイなのだが、どうやらこの口ぶりではそれだけではなさそうで・・・ここにきて漸く過去のダイヤキング達の暴走具合について思い至ったロイは恐る恐るギルドマスターに状況の説明を求めた。


「あ、あの・・・その、俺が万屋に頼みごとをするときは、王都では噂になっていますが願いを口にして万屋が了解してくれれば願いが叶うのですけど、その後の経過は全く分からないのですよ。マスターの・・・シャインさんの所には、万屋はどのように接触してどのような説明をしていたのか聞いても良いですか?」


「もちろんだ。実は昨日の早朝にも未だに崩落関係の依頼を受けてくれる冒険者がいないので絶望していた。まぁ報酬が報酬とも言えないモノだから仕方がないが、そんな時に万屋を名乗る不思議な声だけが聞こえてきた。あの時の話しは一字一句覚えている。何せこの俺が気配を全く感じる事なく言葉だけを伝えられたのだからな!」


「本当ですね。その話しを私達にして下さった時にマスターは相当慌てていましたから、何が起きたのか不思議に思っていました!でも事情を把握すればソシケ王国からのギルドの情報の通り、王城に・・・王子に対して平然とオークを送り付ける事が出来るような組織の様なので納得と言えば納得ですが」


 どうやら受付から見ても、当時のギルドマスターは相当慌てていた様に見えたらしい。


「うっ、すまん。それでその時の事を説明させてもらうと、万屋の声はこう聞こえた」


<私は万屋、よろずや、よ・ろ・ず・や である。非常に慈悲深く慈愛溢れる敬愛する我が主を支える一従業員である。名前負けしている聖国ロナとやらの崩落事故の対応依頼、我ら万屋が引き受ける。本来万屋が動くべきではない所ではあるが、貴殿も知っての通りに我らはソシケ王国のハイス子爵御一家の守護を行っている関係上、その方面からの願いであれば何を置いても受ける所存である。依頼を受けた以上は閉じ込められている人々の安全は確約しよう。だが、我らはこの国に対して良い思いを抱いていない。したがって崩落を修復するような事はない。では本日の夕方に全ての人材を外に送り出しておこう。迎えはそちらで手配をしておいてくれ>


 ロイは自分が商会長の立場である事はしっかりと否定するかのような言い回しをしてくれていたカードの者、恐らく今回の万屋担当はダイヤキングであったのだろうが、そこをしっかりとしてくれた事だけは安堵しているのだが、相変らず自分を無駄に称えるフレーズや万屋をアピールするところは恥ずかしくて仕方がなかった。


 内容としては一応申し分なく、ダイヤキングの常識を考慮すれば許容範囲であると安堵したロイ。


「それで即座に数人の職員と共に崩落現場に急ぎ向かった所、何とあろう事か既に内部に閉じ込められていた人々が無事な状態で外に綺麗に並べられて寝息を立てていたのだ!信じられるか?あれほどの時間で、正直手も足も出ないと思っていた崩落現場から全員を無事に救出して見せるあの力!コレを神の御業と言わず何と言うのか!あれほどの力があれば、容赦なく聖国ロナ自体をこき下ろせるのも納得だ!」


 相当に興奮し始めているギルドマスターなのだがロイとしてもこれ以上目立たないように救出するのは無理だと思っているので、本当に今回のダイヤキングは予想の範疇に収まって行動してくれていたと安堵していた。


「マスター!使者の方がお見えになりました!」


 そこに現れた別の受付の女性は望まぬ来訪者を告げていたのだが、ギルドマスターの反応を待つ前に使者はズカズカと部屋に入って来た。


「シャイン殿!作業員が無事に戻ってきたのは良いですが、何故崩落状態が改善されていないのですか?コレは相当な手抜きではないですか?こんな事では報酬を与える事はできませんよ?一刻も早く現場が再開できるよう・・・」


「ギルドマスター!」


 勝手な言い分を展開し始めている使者の言葉を遮るように新たな訪問者が部屋になだれ込み、ギルドマスターを睨んでいる。


「おや?聖主様ではありませんか。如何致しましたか?」


 そこに現れたのはこの聖国の国主である聖主ロマニューレその人であり、一応護衛として数人の騎士を引き連れた状態でギルドになだれ込んできた。


 この事態をギルドマスターのシャインは予想していたようで非常に落ち着いており、通常ではこのように多少なりとも不敬と取られるような行動はとらない人に見えていたのでこの状況を不思議に見ているロイなのだが、嫌な予感だけはしていた。


 そう・・・間違いなくダイヤキングが何かしでかしていると言う事だ。


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