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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(118)崩落(2)

 あり得ない事を要求されてその要求を断れば更にあり得ない事を告げてきた使者を目の前にしつつも、ここで自分の怒りを使者にぶつけても長い目で見れば冒険者達に不利になる事しかされないと分かっているのでグッと堪えているギルドマスター。


 今回は度が過ぎているが日々このような訳の分からない事をしでかす国であると理解していたので、過去には最悪聖国ロナのギルド自体を閉鎖する手段も有りかと本部に掛け合った事も有ったのだが、その報復として各国に根付いている教会を閉鎖されてしまい本当に奉仕の精神で作業を行っているシスター達も強制的に撤収させかねないと言う事で立ち消えになっていた。


 聖国ロナ程の力があればその程度の情報も掴んでいるのでこのギルドマスターであるシャインに対する印象はすこぶる悪く、今日の様な無理難題を平然と吹っ掛けるようになっている。


「それで、当然受けて頂けるのですよね?早くしなければ閉じ込められている冒険者達を見殺しにする事になりますよ?」


「お前等が依頼した作業だろうが!どう考えても無理な採掘作業をさせて、調査がおざなりになっていた結果引き起こした人災だ。それをギルドに尻拭いを平然と押し付けるその汚い根性、何が聖国だ!」


「おやおや、随分な言い様ですね。それでは報酬は不要・・・と、そう言う事で宜しいですね?当然今後の一般的な回復魔法に関してもギルドマスターが非協力的であった事が理由で相当な値上げをせざるを得ませんね。コレは私達聖国の、回復魔法を持つ人々の善意に対する冒涜と言っても過言ではありませんからね」


 何を言っても暖簾に腕押し状態、いや、それ以上に訳の分からない理屈で脅してくる始末なので余計にイライラが募っているシャインの耳に、受付側からの騒動が聞こえ始める。


「おや?どうやら崩落の情報が漸く伝わったようですね。私の依頼については伝えましたから、後はギルドで上手く動いて下さい。それでは失礼しますよ」


 勝手に立ち上がって消えていく使者を睨んだまま何もできなかったシャインだが、使者が消えて行った扉から受付が飛び込んでくる。


「ギルドマスター!大変です。魔石採取場が崩落して、多数の冒険者を含む作業者が取り残されているようです!」


「あぁ、分かっている。今来た使者から聞いた」


 今のギルドの状態でこの依頼を受けたとしても作業中の怪我を回復すると言う報酬にすらならない・・・ある意味当然の義務と言っても良いレベルの対応しかされない事から、誰も受ける事はないだろうと思っている。


 そもそも冒険者達の連携も最悪の状況になりつつあるので一般的な崩落であればなんとかなる可能性はあるが、魔獣が原因による崩落である可能性が高い以上は戦闘になるのが確実であり二次被害が起きかねない。


 間違いなく聖国ロナ側としては二次被害については我関せずを貫いた挙句に寧ろギルドの不手際だと騒ぐ事は間違いなく、相当な回復が必要になった場合には報酬等完全に無視して費用を請求する可能性すらある。


「くそっ!どうすりゃ良いんだ!!」


 ギルドマスターでも対処する事が出来ずに悩んでいるが、良い案など出る訳も無く緊急依頼として救出・復旧の紙がボードに貼り出される。


 報酬は聖国側が提示した回復、残念ながら作業中の回復でその報酬は消える可能性が高いと事実を書いており、追加としてギルドに備蓄されている僅かな金銭を支払うと書いていた。


 依頼に偽りがあると今後の依頼を一切受けてもらえなくなる事からしっかりと事実を伝えた上で冒険者達の仲間を想う心に賭けたのだが、相当荒んでしまっている冒険者達なので誰からも見向きもされない状態になってその日は終わってしまう。


 ギルドマスターとしてもこの状態になる事は目に見えていたので他国のギルドに救援依頼を出しているのだが、やはり魔獣が存在している崩落した魔石採取場に向かうのには相当な危険を伴う事から何処からも色良い返事は聞こえてこない。


 流石にこれだけ騒ぎになればロイやリーンにもこの話しは伝わり、当然カードの部隊達にも伝わっている。


 そこで開かれるいつもの会議。


「皆の者、良く聞いてくれ。今回も我が主のお力によって万屋の名を広げる絶好の機会が訪れた。“我が主行くところに奇跡在り!”と言う神である我が主に相応しい格言が出来つつあるのだが、そこを盤石にすべくこのダイヤキングが一計を案じた!」


「「「「「おぉ~」」」」」


 今迄と同じような案であったとしても絶対の主であるロイの為になる事であれば賞賛以外の選択肢がないカードの部隊達なので、これまた何時もの通りに非常に盛り上がる。


「色々と実施したい事は有るのだが、一部は我が主に許可を頂く必要がある。特にこの聖国ロナ。聖国と言う名が全く似合わない真逆の国である事は明らかで、今後は神である我が主が統治する“神国ロイ”として生まれ変わるべきではなかろうか?」


「流石はダイヤキング殿。異論はない!!」


 各国に派遣されている癒し手は別にしても本山であるこの国の惨状についてはロイが見過ごす事はないだろうと言う勝手な思いもあり、正直ロイとしてはこの国の正確な状況すら把握していないので見過ごすも何もないのだが勝手に持ち上げられ、更には国を乗っ取って新たな国主にされる所まで話しが進んでいる。


 カードの者達の力があれば現実となり得る所が恐ろしいのだが、自分達基準で物事を考えるのでブレーキがないままに突っ走っている。


「では、さしあたり崩落についてはさっさと対策するにしても、その後の益をそのままあの強欲な国家に渡すのは癪に障る。従って中の魔石、鉱石を含めて余す事無く全て没収。その後については、どの様に我が主にこの聖国ロナ改め神国ロイの国主になって頂くかをご相談させて頂こうと思う!」


 その夜にダイヤキングから二つの行動を聞き、一つ目の崩落対策及び内部の魔石・鉱石没収についてはこの国の事情を聞いた以上はやむを得ないのかと判断していたロイなのだが、二つ目の国を乗っ取り神国ロイとして再度建国する部分は必死に止めており、ダイヤキング達は納得できないながらも絶対の主の指示には逆らえずに渋々諦めていた。


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