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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(113)ギルドの縛り

 正直に言ってロイとの楽しい旅を邪魔されたと言う思いもあるのだが、それ以上にロイが嫌な気持ちになってしてしまったと言う所が絶対に許せないリーンなので目の前に座っているギルドマスターに圧を加えつつ厳しい指摘を行っている。


「そ、それは・・・」


 立場上他の職員よりも他国、他地域に展開しているギルドからの情報の詳細を手に入れる事が出来るので、目の前の可愛らしい見た目の女性リーンがその見た目通りではない事は嫌でも理解しているギルドマスター。


 その上に直接的に圧を加えられているのだから言葉が続かなくなってしまい、その姿を見たロイは再び仲裁しようと口を開きかけたところに圧を受けていない受付がギルドマスターを庇うように話し始めた。


「あ、あの・・・確かにリーン様の仰る通りにあの対応は良い対応ではなく、いいえ、対応としては間違っているのは重々承知しております。ですがこちらにも皆様が理解できないような事情があるのです!」


 悔しそうにしている事から相当な事情があるのだろうと思っているロイなのだが、リーンにとってみればそんな事は関係ない。


「冒険者は結果が全て。事情なんて勘案される事があったかしら?それをギルドが言い訳にするなんて情けないわね」


 流石にこの女性には直接的な圧を加える事はなかったのだが、ロイの気分を害した事を許す様子は見られない。


「ね、姉ちゃん。確かに言っている事はその通りだけど、国が違うから俺達にはわからない何かがあるのかもしれないよ?俺も、今後の経験の為に事情を含めて聞いてみたいって思うんだけど」


「そ、そう?ロイ君がそう言うのであれば、そうしよっか!はいっ、どうぞ!説明してくださいね」


 突然ニコニコとした表情になって圧も霧散したので聞いてはいたがこれほどの変わり様か!と思いつつも助かったと言う所が大きいので、ここぞとばかりにギルドマスターが再び口を開く。


「事情は俺の方から説明させてもらいたい。確かに二人に対する冒険者達の対応、そしてギルドとして制御できていないこの状況は非常に好ましくないのは理解している。ある意味特殊なギルドになっている事はリーン様ならば、いや、職員であったロイ様も理解できているとは思うが、そこを説明するには先ず依頼について話しをさせていただきたい。このギルドでは薬草採取の依頼が圧倒的に少ない」


 リーンとしては目の前のギルドマスターに思う所があったのだが、ロイ()と呼んだ事で機嫌がよくなる。


「貴方・・・ギルドマスターだけあって見た目以上に話しが分かるようね。ウフフフ、良いわ。私も真剣に依頼の内容を聞いてあげる」


 ギルドと言う組織に属しているリーンなので拠点ではない異国のギルドとは言えそこを統括するギルドマスターの方が上の立場であるはずなのだが、気分の良いリーンは全く意識する事は出来ないしするつもりもない。


 常日頃からロイだけを見て、職員であったロイの為だけに依頼を達成していたのだから仕方がないのだが、少し前に伝えられているギルドマスターの名前すら興味がないので憶えていないのはお約束だ。


「そ、それは助かる。早速話しを進めさせてもらうが・・・実は知っての通りに薬草は回復薬の原料になるが、この聖国ロナでは薬ではなく魔法による回復手段が推奨と言う名の強制状態になっている。依頼の数を見てもらえばわかったと思うのだが」


「そうですね。ソシケ王国のギルドと比較すると依頼自体が無いのと同義でした。想像通りに町中で回復薬を販売している様子も無いので、回復魔法、光魔法でしょうか?魔法に頼り切っているのは良く分かります」


 リーンがソシケ王国で活動していた際にはロイが依頼を見繕って渡していたのでその辺りは知る由もないだろうと思っており、対応はロイが積極的に行う。


 ギルドに到着する道中にも町中を良く観察していただけあって、どう考えても回復薬を販売しているべき場所(店頭)に並んでいない事は気になっており、ギルドマスターの説明で全てを理解している。


「その通りだ。そこに大きな問題があって、光魔法で癒せない者達でも多少は癒せる回復薬は他国ではあるが既に開発されている。聖国ロナでは相応の魔法となると光魔法の相当な熟練度か上位版である聖魔法になるのだが、これを行使した実績が無い」


 聖魔法となれば最早あり得ない程の力を有している御伽噺レベルの魔法と認識されているのだが、ハート部隊は全員簡単に使っているなと思いつつも自らの力を公開するつもりがないロイは一般的な話しをする。


「一国家の方針ですからね。回復手段がなければ文句を言いたい所ですが、そうでなければ飲み込むしかないと思います。ですが仮に回復薬が必要ならば、ギルドの内部だけで仕入れて販売すれば良いのではないですか?」


「いや。そうしたいのは山々だが、そうすると国家から相当な圧力がかかる。実際に一度試したのだが、販売に至る前に潰されたからな」


「それは相当ですね。それならば薬草採取の依頼が全くない訳ではないのは何故でしょうか?結局回復魔法に頼ると言う国家方針、それに第三者機関のギルドにまで圧力をかけるほどであればその依頼は完全に無くなっていると思いますが?」


「本来は全て無くなっているはずだった。だが本当に新人の冒険者達の食い扶持が無くなるから、そこは死守した結果だ。所詮国家とは関係ないとは言っても、強大な国の中に設置されている以上は抗える事は限られている。その相手がこの大陸の回復魔法を一手に担っている聖国ロナであれば、猶更・・・な」


 少々悔しそうな顔をするギルドマスターシャインの説明を聞いて、ロイはこの国の悲惨な状態を理解した。


「全てではないですが、凡そこの国の事は理解できました。で、今回姉ちゃ・・・リーンに依頼したい案件とはどのような依頼でしょうか?」


 ギルド側としては恥を晒した上でしっかりと依頼についても話しを聞いてくれると言ってくれたロイに感謝しつつ、実際に行動するはずであるリーンの機嫌を損ねないように注意した上で核心部分を説明する事にした。


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