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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(107)パーティー(3)

 国王バレントの言葉を聞き、床を見続けていた貴族達もハイス一家に改めて視線を向ける。


 ある程度の地位にいる者であれば知識として持っている宝飾品の中でも、幻とも言える品について国王が口にしたのだから思わず目が向いてしまった。


 国王バレントはヴァイス・ハイスに名指しで問いかけていたのだが、貴族達の目にはロイを含めたハイス子爵家一家が漏れなく龍の涙に見える品を付けている事に気が付く。


 正直な所、貴族と言っても宝飾品・装飾品にあまり興味が無いハイス一家なので、名前だけは知っているが実物かと問いかけられても回答する術を持っておらず曖昧に回答する。


「そうかもしれません、陛下」


 その言葉を聞いた周囲の貴族はその欲望から龍の涙については良く知っており、ハイス一家が身に着けている品は本物だと断定している。


 常に七色に淡く発光している宝石であり、微弱ではあるが装備している人物を癒す効果があると言われている。


 貴族、王族でも実物を持っておらずに書物からの情報になるのだが、未だ且つて淡く七色に光る宝飾品など見た事も無いので間違いなく本物だと確信している。


 立場のある人々でさえ現物を見た事も無い為に高価と言う言葉で表現できない程になるはずで、癒しの効果が永続的にあるので天文学的な価値があり、場合によっては王城だけではなく王都を龍の涙一つで手に入れられる可能性すらある。


 その名の通りに龍の涙かと言えばそのような事はないのだが、伝説の生物とも言える龍がこれまたあり得ない涙と比喩される程に貴重だと言う事だ。


 実はこの品、王族や貴族に対して格上だと明確に知らしめると共に過剰ではないと思われる装飾品についてダイヤキングを筆頭にカードの者達が人々の知識から検討した結果選択され、あっという間に作成された品だったりする。


「す、素晴らしい品ではありませんか!流石はハイス子爵ですわ。その品、この邸宅にある商会で購入されたのでしょうか?」


 あまりの品をその目で見た為に不敬でありつつも平然と国王をはねのける勢いで貴族が群がり、何とか自分もその品を手中に入れておきたいと言う思いで口々に勝手に称賛して購入先について問いかけている。


 正直ロイからの贈り物に対しての称賛は嬉しいのだが、出所を正直に伝えるわけには行かないので曖昧に回答するハイス一家。


「そうかもしれませんね」


 手を変え品を変え問いかけるのだがロイを含めて曖昧な回答しか得られないので、何を思ったのか貴族達はハイス子爵家の面々を孤立させて個人的に攻める事にした。


「リーンさん。ウチは公爵家ではあるけれど、リーンさん程の美貌があれば例え子爵令嬢であったとしても正妻として迎え入れたいと思っているよ?」


 とある公爵家の嫡男が、父親の指示でリーンを陥落しにかかっている。


「テレシアさん?以前の事は水に流してこれから仲良くしましょうね。早速お茶会でも開催しようかと思うので、その際には是非とも龍の涙を見せてほしいわ」


 以前の嫌がらせをなかった事にし、時間をかけて仲を深める事で場合によっては自らが持つ宝飾品の一部と交換できるかもしれないと思っている公爵夫人。


 何故か加害者側から過去の事を水に流すと言い切れるのも、極めて浅い人柄を明確に表している。


「ハイス殿。我が公爵家の援助が必要であれば何時でも言ってもらいたい。今後は家族そろって懇意にできる事を期待しているよ?」


 公爵家当主が、近くでワナワナしている国家元首を完全に無視する形でヴァイス・ハイスに語り掛けている。


 残されたロイは元王族であると知られているので流石にこの場でロイに対して積極的に話しかける人はおらず完全に孤立しているのだが、ハイス子爵家の三人は話しかけられている人々を完全に無視してロイの元に急ぎ向かう。


「ロイ、こっちにロイの好物を準備したんだぞ?折角だから一緒に食べよう」


「そうですよ。一応挨拶は終わりましたし後は各人が好きにするでしょうから、私達は家族で楽しみましょう!」


「あ~、何だか知らない人に話しかけられて心底気持ち悪かった!寒気がするわ!ロイ君、お姉ちゃんを慰めて!」


 どう考えてもこの場に来ている立場が上の面々をこき下ろしているのだが強引に力で押さえつけるにはあまりにも強大なリーンと言う存在がこの場におり、更には姿も形も見えないながら万屋が潜んでいる事も推測できるので、国王や貴族は厳しい視線をハイス一家に向けるしかできない。


 結局のところ国王側はハイス一家の調査やシン()ロイ商会の調査すらできず、挙句の果てには自らの結束の綻びを確認するだけの最悪な結果だけを手に入れてスゴスゴとハイス子爵家を後にするほかなかった。


 なぜならばロイに一時でも疎外感を与えてしまい、更にその後非常に不快になる視線をハイス一家に向けたので万屋として厳しい警告をしたからだ。


 ついでにダイヤキング作成の龍の涙と呼ばれている宝飾品だが、その出所を探ろうとしていた事に対しても釘を刺しておく必要があると判断してロイの許可を直前でとりジョーカーが対応する。


<我は万屋、よろずや、よ・ろ・ず・や です。あまりにも不敬故に我慢が出来ず一言申し上げようと思います。そこの王族崩れ、そして貴族崩れの面々!あろう事かハイス御一家に対しての無礼な態度、非常に許し難い。我ら万屋が守護する子爵御一家に対し万屋として龍の涙を献上したのですが、万が一にもその品を手に入れようと画策した場合にどうなるのかは言わずとも理解できますね?これ以上の警告はハイス御一家に対してご迷惑でしょうからこの辺りにしておきますが、忘れる事の無いようにお願いしますよ?>


 口調としては非常に優しいのだが、内容は間違いなく警告である以上は黙るほかなかった王家や貴族だった。


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