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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(105)パーティー(1)

「クソッ、忌々しい。ハイスめ・・・子爵程度がふざけた奴だ」


「いちいちそんな事を言っても改善なんてしないって。愚痴を漏らす暇があるのならば、少しでも敵の視察をするとか行動に移すべきじゃないの?」


 いつもの通りにハイス子爵家側の情報を聞いてイライラしている国王と、いい加減に愚痴ばかりで碌に行動もしない姿しか見ていないので嫌気がさしているバミュータ。


 敵情視察・・・つまり王都内にあるハイス子爵邸に侵入しろと言っているのだが、過去とは異なりシン()ロイ商会がある以上は不法侵入になる訳も無く、単純に商会の視察を行う体で侵入する事が出来る。


「む・・・確かにその通りかもしれんな。だがそれなりに準備が必要だ」


 提言を素直に受け入れた様に聞こえるのでこれで少しは余計な愚痴を聞かなくて済むと思っていたバミュータだが、本人の意図とは異なり国王は別の手段でハイス子爵邸宅に入り込む手段を整え始める。


「ロイ君!久しぶりにウチでパーティーがあるみたい。何でも、商会移設の披露も兼ねて国王から命令があったらしいよ?」


「え?パーティー・・・大丈夫かな?」


 王都の邸宅でパーティーが行われるのは良くある話だが、ハイス子爵家のパーティーに限って言えばロイを受け入れた後で実施された際には完全に嫌がらせとしか思えない行動しかとられなかったため、何となく拒否反応を示してしまうロイ。


「ウフフフ。大丈夫だよ、ロイ君!私もいるし、お父さんやお母さんも絶対にロイ君を守れるから。後、不思議な万屋もいるのでしょう?それでも心配なら、龍に言って今すぐにでも王城を吹き飛ばして貰おうか?」


 何故話しが飛躍して王城を吹き飛ばす事になるのか理解するのに時間が必要になってしまったロイだが、黙り続けていては本当に実行されかねないので何とか意識を戻す。


「ね、姉ちゃん。それはちょっと・・・でも、本当に父さんと母さんは大丈夫かな?」


 元王族の自分を引き取った後には相当な苦労をしており、それを自分に気づかせない様にしながらも明るく振舞ってくれていた家族・・・既にリーンは別格の力があるのだが、父であるヴァイスと母であるテレシアは過去と力は変わっていない。


 どうしてもその二人が心配になってしまい、リーンが王城を破壊する行動については止めなくてはならないが本当にこのままパーティー開催を受け入れるべきなのかは判断できずに不安そうにしているロイ。


「ロイ君・・・やっぱり王城を吹き飛ばしてくるね!ちょっと待っていてね?直だから!」


 ロイの不安は何を置いても取り除く必要があると考えているリーンなので、恐ろしい事を平然と口にして行動を始めてしまう。


「ね、姉ちゃん!ちょっと待って!大丈夫だから。あの、父さんと母さんはパーティーについて何か言っているの?」


 何を置いてもロイ優先なので、ロイ本人から待てと言われれば直に止まる事が出来るリーンは優しい笑顔でこう告げる。


「大丈夫よ、ロイ君。実はあの二人も今回のパーティーについては今迄とは違って楽しみにしているみたい。だってそうでしょ?過去とは言っても散々色々してくれた貴族も招待されているのよ?あの連中って見栄の塊じゃない?他のパーティーでシン()ロイ商会で販売していた装飾品とかドレスを自慢していたようだから、その商会から何も手に入らなかったらどうするのか楽しみなんだって!」


 過去とは異なりシン()ロイ商会が王都に出現してからは確かに貴族達がこぞって色々と購入していると報告を受けており、その中には宝飾品やドレスも含まれていた事を思い出したロイ。


 貴族の中にはハイス子爵家に悪意しかない存在もいたのだが、当時はそこだけ差別をしては勘の良い人物が事情を把握してハイス子爵家に敵意が向きかねないと思い制限をかける事はしなかったロイ。


「でも、既に購入した品を使えば良いんじゃない?」


「あははははは、そうだよね。普通はそう考えるけどあの連中は違うのよ!いちいち他の人達が使った品を覚えていて、同じ品を使おうものなら鬼の首を取ったように陰湿に攻撃してくるんだって。それも自分の品が如何に素晴らしいか付け加えながら。お母さんが言っていたから間違いないよ。本当に信じられないよね?」


 これ以上ない程にドロドロした戦いの場なのかと思いつつも、そうなると余計に今の母であるテレシアが同じように他の面々から攻められないのか心配になるロイ。


 どうしても表情に出てしまったのか、リーンは優しい微笑と共にロイを抱きしめて諭すように語り掛ける。


「大丈夫よ、ロイ君。お父さんもお母さんも以前とは違うの。全部ロイ君のおかげだよ?大丈夫!あの二人は強いし私もいる。それに過去は乗り越えるものでしょう?」


 これ以上この場で弱い姿を見せ続けては後でこっそりリーンが王城を破壊しかねないと確信したので、多少の不安はあるが受け入れる事を決意したロイ。


「そうだよね。うん。俺も参加させてもらって、何かあったら全力で家族を守るよ!」


「うふふふ。その意気だよ、ロイ君!」


 決死の覚悟のロイだが、その会話を拾われてカードの者達が緊急会合を開き・・・その日の夜にダイヤキングからの定例報告を受ける為に顕現させると、突然いくつかの品を提示される。


「我が主。こちらは各種宝飾品とテレシア様向けのドレスになります。ハート部隊、更には我がダイヤ部隊の力作でございますので、何卒お納めください!」


 元王族とは言ってもドレスや宝飾品についての知識がある訳でもなく、目の前の品が結構綺麗だな・・・と言う感想しかないながらも、カードの者達の優しさに触れて感動しつつ有難く受け取るロイ。


「ありがとう。俺からのプレゼントと言う事で渡しても良いかな?」


「もちろんでございます!」


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