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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(104)子爵邸の商会

「うわっ、本当にいるぜ!これが古龍かよ?」


「本当に大丈夫なのよね?」


 王都のハイス子爵邸前には相当な列が出来ておりその目的は当然敷地内部にあるシン()ロイ商会なのだが、中に入れば今迄は壁のおかげで見えなかった存在まで嫌でも目に入り、どう見ても別格の存在である龍が大人しく鎮座しているのがわかる。


 普通の冒険者、実際には王都最強の冒険者と言われている今のリーンの実力でも勝てる相手ではないので誰しも腰が引けてしまうのだが、万屋の不思議な啓示があったおかげもあって程よい牽制になっているのか、冒険者達が集まった際に起こりがちな余計な騒動も無く順調に商売が出来ている。


 列の中には事前に直接的な万屋からの啓示と言う情報がなかった王侯貴族や騎士達の姿は見えずに、民、冒険者、商人と言った所がひしめいており、貴族達は今迄の質の良い贅沢品を欲しているので翌日にでも自ら並ぶか配下の者を使って商品を購入するための行動を開始するだろう。


「お、リーンさんだぜ?って、そうか!きっとあの龍はリーンさんが手懐けたと言っていた古龍なんだ!確かにこれだけ有名な商会が自分の実家にできたのであれば、安全の為に召喚するだろうな」


「ロイ君も一緒だ。って、リーンさんがいるのであれば当然一緒に行動するよね」


 長蛇の列を尻目に、領地から戻って来たリーンとロイが冒険者達の視線を受けて色々な事を言われながら門の中に入って行く。 


「父さん、ただいま。兄ちゃんも元気だったよ」


「フフフ、そう言えば敷地に商会が出来るって言っていたような気がしたけど、事実だったのね。ロイ君、後で見に行こう?」


 リーンはいつも通りであり龍についてはどうでもよく商会移設に関する情報も本当に適当に聞いていたので、実際に王都の邸宅に帰って商会を確認した所に出てきた感想がロイと一緒に見てみたいと言うモノだった。


「そ、そうだね。でも、今日って凄く混んでいるみたいだから迷惑になりそうだし、少し落ち着いてからにしない?」


 王都の邸宅とは言え帰宅直後に自らの商会に乗り込むのはどうかと思ったロイは、少し延期するようにリーンに伝えてみる。


「じゃあ、また王都を散歩しない?」


 結局ロイと共に行動できれば何でも良いリーンは、戻って来たばかりの邸宅からロイを連れ出して出かけて行く。


 両親、特にハイス子爵も重要な情報は直接ルホークから聞いているので、ロイの元気な姿が見られればそれで良かった為に何も言う事はない。


 こうして王都ではハイス子爵邸宅周辺が非常に賑わい、徐々に明暗が分かれ始めている。


 ハイス子爵家の邸宅はその爵位からか王城からは若干離れており民の住む一般的な居住区に近く、中央部分、王城に近いほどに高位の貴族の邸宅があるのだが、そちらの方の活気がなくなり始めている。


 以前第二王子のミラージュが食糧調達に行っていた貴族御用達の市場も同様で活気がなくなり商売として成り立たなくなっており、出店する者が徐々に減少し当然購入しようとする者も減少しているのだが完全に無くならないのには理由がある。


 この期に及んでハイス子爵関連、そしてシン()ロイ商会を認める事が出来ない国王一族、更にはハイス子爵家に対して悪意があると自動判定されて例のショーケースから品が転移される事の無かった貴族、騎士達の需要があったからだ。


 需要があったとしてもシン()ロイ商会が準備するレベルの品がある訳でもなく、また価格も高いので納得は出来ないのだが、最早そこしか購入先がないので諦めている。


「ふ~ん。嗜好品の販売を止めているみたいだね、ロイ君。つまり冒険者や民の為に新たに店舗を改修したと言う事かな?」


「そうみたいだね、姉ちゃん。俺には良く分からないけど、俺としてはあの場所をもっと有効活用できれば良いと思うけど」


 日中王都中を連れまわされたロイは、夜も営業している敷地内の商会に強引に拉致された状態でリーンと二人で見て回っている。


 敷地面積の関係でリーンの言う通りに嗜好品の販売を止めている様なのだが、ロイとしてはあの無駄な自分の銅像をどかせばもっと多品種を販売できるのではないかと思っている。


「え?ダメダメ。あれって何となくロイ君に見えるから、その銅像を無くすなんて絶対にダメだよ。むしろここの商会長はお店の名前も含めて凄くセンスがあると思うんだよね」


 これは何を言っても駄目だと理解したロイは、逆にこの話題を続けるといたたまれなくなるほど自分を持ち上げにかかるので露骨に話題を変える。


「そう言えばさ?コレって不思議だよね。欲しいとか見たいとか思っただけで品物が現れるんだから凄い技術だね」


「本当よね。やっぱりこの商会は素晴らしいわ。ロイ君を称える名前、ロイ君を崇める銅像。文句の付け所がないわね」


 結局ショーケースの事については何も触れずにロイの称賛になってしまったので、苦笑いのままリーンが行きたい方向になすがままに連れられているロイだ。


 当然客の中には悪意があると判断されてダイヤ部隊特性のショーケースに品の転送を弾かれてしまう者もいるのだが、流石に龍がいる上に最強と言われているリーンもいるこの場で暴れるような事も出来る訳がなく大人しく店を後にしている。


 その日の深夜、再び自らの意志でダイヤキングを顕現させたロイは素直に感謝の意を伝え、その感謝を受け取ったダイヤキングはカードに戻り同僚達と喜びを爆発させていた。


「ダイヤキング、助かったよ。流石に龍がいる以上は王城も余計な事をしてこないようだから、これで旅が続けられるよ!」


「も、もったいないお言葉です!」


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