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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
104/118

(103)継続した激震と収まった激震

 王都に再び激震が走る。


「何?ハイスの所に店舗が移動するだと?その話しは真実か?」


 王城で相当慌てている国王バレントと、この後に何を言われるのか戦々恐々としている情報を報告している騎士。


「は、はい。どこで誰に聞いても同じ事を言うのです。何やら万屋の啓示があったとの事で、残念ながら我ら騎士は誰も聞いておりませんが民には余す事なく声が聞こえたようで、町中が閉鎖では無かった事に対して喜びの声に溢れております」


「ぐぬぬ・・・我が臣下でありながら、頂点である国王の所に報告が無いように調整したのか?ハイスめ!!」


 誰がどう見ても万屋がハイス子爵家の後ろにいるのは明らかなので、敢えて主である自分をないがしろにしたと国王バレントが思ってしまうのも仕方がない事ではある。


「それともう一つ情報があり、何やら新店舗で営業を再開する際には一つイベントがあると告知があったようです」


 イライラしつつも打開策がある訳でもない中、更に騎士は情報を開示する。


「何だ、そのイベントとは!」


「それにつきましては何も開示されておりませんが相当インパクトのあるイベントだそうで、強い刺激に耐えられない心の弱い者は宅内にいるようにと言われているらしいのです」


 これだけでは何も分からないし、そもそもいつハイス子爵家で新たに商会が活動をするのかも不明である事から様子見しか選択肢がない国王バレント。


 その横で略全ての事情を知っている・・・そもそも自らが龍についての提案をした宰相ブライアンは、リーンが古龍にしっかりと交渉した上で情報がハイス子爵を通して万屋に伝わったのだと思っているのだが、事実は少々異なっている。


 万屋としてリーンに古龍が王都のハイス子爵邸に守護の為に移動すると連絡をしていたのだが、リーンとしては今冒険者としての依頼を受けているわけでもないしロイと共にどこに旅をしようかで頭がいっぱいでどうでも良いと思っているので、生返事しかしていなかった。


 古龍が王都に襲来すると言う結果だけは変わらないが、その過程について色々と齟齬がある中で徐々にその日は近づいて来る。


「陛下!何やら万屋から新たな啓示があったようで、凡そ一週間後にハイス子爵家でシン()ロイ商会が開店し、その日に重大イベントがあるとの事です」


「わかった。で、万屋とシン()ロイ商会の繋がりは分かったか?」


「いいえ。ですが今回のこの状況を見ても、そして過去あの巨大な商会の休憩所での銅像に対する万屋に関する願いの件もありますので、どこまで太いパイプがあるのかはわかりませんが相互協力関係にあるのは明らかです」


「そんな事は分かっておる!そこに綻びがないのかを知りたいのだ!!」


 言われた騎士は、そんな事を言われても・・・と言う気持ちでいるのだが、とりあえず聞かれた事には回答してこの場から消えていく。


「ブライアン!お前はこの状況をどう見る?」


「国家の税収としては痛手ですが商会として王都に残ると言う事は冒険者達の活動が阻害される訳ではありませんから、やがて税収も上向くのではないでしょうか?」


 当たり障りの無い事しか返さない宰相ブライアンの答えを聞いて、これ以上は何を言っても無駄だと思ったのかバミュータにも同じような事を聞く。


「え?何時も良く分からないのに突然聞かれるのは困るんだけどな。今迄の情報を精査すると、きっとハイス子爵は万屋とか言う組織とリーンだっけ?相当な力と巨大な商会を取り込んだと考えるのが普通でしょ?そう考えると、王家としては相当厳しいよね?」


 容赦なく厳しい現実を改めて突き付けられてしまった国王バレント。


「バミュータ。何を悠長な事を言っているのだ!次期国王のお前が苦労する事になるのだぞ?リーンに今更首輪をつける事も出来んし、我が首輪付きもあの大会でハイスの所の者に手も足も出なかった。何か対策はないのか?」


「だ・か・ら、突然言われてもわかる訳がないって。相手の戦力がどの程度かわからないのに、案なんて出る訳ないじゃん?そこを無視して良いのであればハイス子爵の領地の領民、家族、使用人、その辺りに首輪をつけるのが安易ではあるけど効果的な作戦かな。でも、もう一度言っておくけど、相手の戦力を無視した案だからね?」


 頭脳としては別格の息子バミュータの案を聞き、最も対処が簡単な領地の民、最悪でもルホーク程度はと思ってしまった国王バレントだが、そんな事をされてはたまらないと思った宰相ブライアンの一言でその思いは霧散する。


「陛下。良く考えられた方が宜しいかと思いますよ?あの万屋の力、ご子息の妃の件で嫌と言う程感じていたのではないですか?」


 第一王子ハンブルの妃として平然と本物の魔獣であるオークを王城に届けた程の荒業が出来てしまうので、余計な事をしようものなら我が身も相当危険になると大人しくなる。


 大会前までは自らの首輪を使えば多少の事は対処できると思っていた国王バレントなのだが、得体のしれないハイス子爵家の者に圧倒的な力を見せつけられた結果、物理的な戦闘力では絶対に敵わないと思い知ってしまった。


 そして開店当日・・・


「へ、陛下!!龍です!明らかに相当な力を持っていると思われます!」


 少し前に万屋から民に対しては完全に制御できている龍がハイス子爵邸と敷地内にあるシン()ロイ商会の守護者として降臨するとお触れがあったので驚きつつも受け入れていたのだが、その情報が回ってこない王族達にとってみれば脅威以外の何物でもない。


 相当怯えている国王を見て、事情を知っている宰相ブライアンは改めて釘を刺す。


「陛下。これでハイス子爵の力、万屋の力は嫌と言う程理解したのではないですか?今の所ハイス子爵はソシケ王国に益をもたらしていますので、今後子爵家に対する対応をお間違えなきようにお願いしますよ?」


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