第3部プロローグ〜世界の終わりに右往左往する俺の未来はどっちだ
俺の名は真島樹。23歳のプログラマーだ。
今から1週間前、俺は一つの決断を迫られていた。エターナル・ソサエティの総帥である黒川彰は俺のプログラミング能力を高く評価し、国内治安維持法で拘束されていた仲間たちの釈放と引き換えに、エターナル・ソサエティへの参加を持ちかけてきた。
長い葛藤の末、俺は黒川の誘いを断る決意を固めた。しかし、そのためには、エターナル・ソサエティと真っ向から対峙し、ライフコードに縛られた世界を救うための確実な戦略が必要だった。それを見つけ出すため、伝説の技術者・御厨博士が開発したSDOにより、俺は15歳の人格を持つAIのAudreyを伴って仮想世界へと旅立った。
仮想世界の中で吉岡結月の体を借りた「吉岡リン」となったAudreyとともに、俺は20年分の時間を生き、12の異なる世界線を渡り歩いた。その果てしない旅路の中で、俺は数えきれないほどの経験を重ね、現実世界を救う戦略を組み上げるためのピースを一つ一つ集めていった。
そして今、俺は現実世界に戻ろうとしている。共にエターナル・ソサエティと戦い、今なお拘束されている仲間たち——橘澪、吉岡結月、西村さん、齋藤さん。まずは彼らを救い出し、その力を借りて、仮想世界で集めた戦略の断片を一つの形に組み上げ、実行に移す。勝算は、確かにある。
ただし、仮想世界と違って現実世界では、当然ながらチャンスは1度きりしかない。国家権力と一体化しつつあるエターナル・ソサエティとの対決は、限りなく険しい道のりとなるだろう。しかし、俺は必ずこのチャンスをものにし、ライフコードを完全に停止させ、人々をそのくびきから解き放つ。その先には、俺が仮想世界で最後にリンと交わした約束の世界——AIと人間が真の意味で調和して暮らせる社会が待っているはずだ。俺はそう信じている。




