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夜の戦い②
地面の土がまるで弾けるように吹き飛んだ。浮浪者は空に飛び上がる。
「神崎冬斗を知ってるか?」
浮浪者は押し黙った。
夏葉は言葉を続けた。
「私の兄だ。お前たちの仲間に成り下がった」
浮浪者は頑なに言葉を飲み込む。
夏葉は刀で浮浪者の右手を斬り裂いた。
喋らないならもういい。
そのまま首を撥ねた。私の話をしよう。
私は母と兄、そして母の愛人と過ごしていた。
ボロボロの腐臭がする部屋に私は閉じ込められていた。外から鍵をされてるため私は耐えるしかなかった。
寝る前に渡される腐りかけのパンで私の命は繋がれていたのだ。兄は毎日、愛人のサンドバッグになっていた。
地獄だ。世界は私達に優しくない。そしてある冬の夜に部屋の鍵が開いた。
私は恐る恐る扉を開いた。