表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリック・ファンタジー ~私の連打はすべてを滅ぼす~  作者: C-Low
第二章 人、街、冒険者! ~異世界社会でのし上がれ!~
32/46

お肉の為なら魔法の一つや二つ

 世の中は思ったより上手くいかないものだ。私の持ってる中では狩りにぴったりなスキルは存外少なかった。


 まぁ索敵スキルだけでも十分っしょ! 気を取り直して早速お肉をゲットしにいくぞー!



 

 よしと意気込んだ私は早速【狩人の直感LV3】と【商人の嗅覚を鍛える特製鼻薬】を意識して周囲を探る。周囲の『価値』、つまり換金金額がわかる【商人の嗅覚を鍛える特製鼻薬】、実は【見習い商人】のレベル×1m半径までわかるため35LVの今は【狩人の直感LV3】と遜色ないどころか5m範囲が広かったりする。


 強弱の気配と『価値』を判断して美味しそうな生き物を探す。30m先からでも野生動物は人の存在がわかるのかな?


 気をつけてそろりそろりと移動する。そういえば風上がダメな理由は微かな匂いでも動物は感知できるからだったっけ。

 匂いをシャットアウトするために『エアスラスト』の応用で微風の防護フィールドを自分の周りに展開してみよう。


「『ウィンドオーラ』」


 イメージは某騎士王様。透明になる機能はまだ難しいみたいだ。

 でも微風が私の身体の表面を覆って風の防護服を形成できた。成功成功。


 完全に密閉すると酸素不足になったりニオイが充満する気がしたので、定期的にボンベ代わりの空気玉を作って取り込み&排出して換気することにした。

 ニオイ……うら若きJKだぞ、臭いはずないだろ……ないよね……?

 

 悩んだ末、私の痕跡を封入したボンベ玉は【存在因子(リソース)保管術】で封印処理しました。

 行けるかなと思ったらいけた。直感は大事だね。



 【存在因子(リソース)保管術】、空きさえあれば生きてる生物でも入るし結構むちゃくちゃだなぁ。ラノベ標準のアイテムボックスより使い勝手がいいかもしれない。

 容量を決める総獲得存在因子(レコードリソース)も激増し割合補正のLVも2になって膨大な量の物資が【存在因子(リソース)保管術】に入るようになった。


 現時点でも結構入ってるけどまだまだ入る。クリッカーのインフレ率的に最終的にこの宇宙まで入るのかな? 割りと冗談じゃなくなりそうだから考えるのはやめとこう。



 ついでに足音とか服のこすれる音とかも吸収しちゃおう。


「『サイレントミスト』」 


 霧をイメージして『ウィンドオーラ』の外に水の微粒子を展開する。

 しんしんと、という言葉で表現されるように、実際に雨や雪は音を吸収する。


 液体は効率良く音=振動を伝播するらしいけれど、まとまった液体状ではなく粒子状態で大量に存在すると振動が乱反射して逆にかき消えてしまうそうだ。

 雨や雪を纏う訳にはいかないので、粒子は小さくなっちゃうけど霧で代用した。サイレントな丘も霧で覆われてたしいけるいける!



 属性は水の魔術になる。上手く組み合わせれば光の屈折で透明になれるんじゃ!? と『ウィンドオーラ』と合体させようとしたら拒絶反応が出たんだよね。


 今までの魔術でもそうだけど、どうやら火や水と言った大まかな属性として分類できる状態では複数系統の属性を混ぜた魔術は使えないみたいだ。


 単なる燃焼でも風に分類されそうな酸素とか結合すれば水になる水素とか土か木になりそうな炭素とか、色んな要素が組み合わさってできているはずなんだけど……。

 主とした現象、一番象徴的な要素がその魔術の属性として割り当てられるのかな。主役は一人だけでいい派か。



 私が使う魔術の起点となっている【魔術魂基(マジック・デザイア)】は、【属性魔術の使い方 初級編】という『アップグレード』で手に入ったものだ。

 イメージとMPさえ十分なら今のところなんでもできちゃうというあまりに便利すぎるスキルだったのでどこが初級じゃい! って突っ込んでたんだけど、この辺りが理由なのかもしれない。


 初級は単体属性、中級以降で複合属性とか派生属性とか色々複雑化していくのかも。勉強はそんなに好きじゃないけれど、こういう創意工夫っていうのはワクワクするね!


 中級編以降の取得が今から楽しみだ。




 魔術で完全防備した私はゆっくりと森を歩いて行く。

 流石に使い慣れてない魔術を2つも併用しながらアクロバティックな動きはできない。と思う。


 足音もニオイも自分ではよくわからないけれど、索敵スキルでは徐々に生き物の気配が捉えられるようになってきた。

 やっぱり結構距離があっても逃げてたのか……野生ってすごい!


 などと感心していたら大きい獲物がヒットした。

 この距離から鑑定できないかな……【簡易鑑定】! あっ、できちゃうんだ……しっかり認識しているからかな。スキルコンボってやつだね!


 どうやらこいつはイノシシのようだ。現地名アングルホーン。ハーギモースとか現地語っぽいのと違って英語なんだ。そう訳されてるだけなのかな? 基準がわからない。

 特徴はエグい角度の角みたいな牙。これで敵をドスッと突き上げて串刺しにするらしい。『能力値』的にはゴブリンの5倍くらい強い。ほんとに動物か?



 まぁ今の私にとってはゴブの5倍も10倍も大差ない。40倍でやっと怖いくらいだ。

 まだ奴は私に気付いてないみたいだし、このままサクッといっちゃおう!


 背後を取れる位置までゆっくり木陰に隠れて移動。もちろん草木の出す音も吸収する。

 まだイノシシはフゴフゴ地面を嗅いでいるね。


 ゆっくりと必中の間合いにまで近づいたら、足を狙って……『飛斬光』!



「ブモォァ!?」


 高速で飛翔した光の曲刃が巨大なイノシシの足に食い込む。

 勢いが止まるかと思ったらそのまますっぱりと切断して飛び去っていった。こわっ!


 HPはともかくハーギモースと同程度の防御力のこいつではもはや切れ味に抵抗すらない。

 魔力200もなかったあの頃ですらハーギモースに傷付けれたのだから、更に魔力が上がった今なら一発なのだ。


「ブゥゥゥゥモッ」


 即座に側面を取り首を2発目の『飛斬光』で落とし苦痛から解き放ってあげる。無意味に苦しめるのも可哀想だからね。サイコパス思考ではない。



 沈黙した4mほどの巨体を見下ろす。

 うーん、これはお肉がいっぱい取れそうだね!


 バーベキューの予感に胸が高鳴るけど首の切断面がちょっとグロい。精肉店の肉塊とはまた違ったエグさだ。

 ゴブリンの時は灰になるのも一瞬だったし生理的嫌悪感はなかったけれど、これは流石に酸っぱいものがこみ上げてきそうになる。


 解体とかもちょっとづつ慣れていかないとなぁ。でもしばらくは冒険者ギルド任せにしよう。きっと解体屋もいるはずだ。



 さて、それじゃあ一旦帰ろうかな。

 せっかくなら肉の種類を増やしたくはあるけれど、みんなお腹空かせてるだろうしね。


 帰り道の道中、『価値』が高めだったり鑑定結果が良さげだったりする素材や食材もガンガン回収していく。

 肉は一種類だけどサラダやソースは色々できそう!


 ちなみにこのアングルホーンのお肉は美味しいらしい。帰りの足取りも軽くなっちゃうね!


 私はこの世界で初めての(葉っぱ丸齧り以上の)マトモな料理を期待して最高潮の気分で仮設拠点へと帰還したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ