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“魔術雑用課”の三角関係  作者: 桐城シロウ
第一章 彼と彼女の始まり
5/122

4.一等級国家魔術師の正しい使われ方

 







「あらぁ~、本当にごめんなさいね、ハルフォードさん! ええ、ええ、私としてもまさかこんなに排水溝も庭先のポンプも、はてにはうちの前の道路がひび割れてて、まさかそれまでも直して貰えるだなんて! ごめんなさいね、本当に! でもね、うちのお義父さんが去年に関節の、膝の手術をしてから、やれここの段差が目障りだのなんだの、その道路のほんの()()()()したひび割れだって躓いて大怪我でもしたら大変だとか、ええ、それはもう、この世の終わりみたいに騒ぐんですよ!」




 レイラは恰幅の良いご婦人の声に、曖昧な微笑みを返していた。本日は戦争の英雄“火炎の悪魔”こと、エディ・ハルフォードと共に実務に当たっている。私としてはリオルネ都民の反応が怖かったのだが、どうも今のところ、そんな心配も不要らしい。




 なにせ彼は戦争の英雄。エオストール王国に味方していたとは言えども、元敵国の王族である。旧ルートルード王国の国王、その実の甥に当たるのが彼で。長年険しい雰囲気を漂わせていた両国がついに戦争へと幕開けしたのが、今からおよそ九年前のこと。



 エディの母親はルートルード国王の異母妹で、両国の関係改善の為にエオストール王国に嫁いできた。エオストール王国の前国王陛下は、齢八十を越える老齢だったうえに王子も存在せず、つまるところ、エオストール王国の現女王陛下しかいなかった。



 しかしルートルード王国の方でも姫しかおらず、ならば代わりにと、国王の異母妹が嫁いできたのだ。エオストール王国で最も王室と血が近い、ハルフォード公爵家の現当主にシンシア姫殿下が嫁いできたのである。




 その結婚は今から二十八年前のこと。その当時レイラはまだ生まれておらず、勿論、実の息子であるエディも生まれてはいない。当時は両国の関係改善のためにと、鮮やかな赤髪のお姫様がハルフォード公爵家に嫁いできたと、国を挙げての結婚式とパレードが開催され、その祝宴は何日にも渡って続けられた。あの当時はどちらの国の国民も、この結婚にお祭り騒ぎだったそう。



 そんな華やかな祝賀ムードとは裏腹に、ハルフォード公爵家の当主、つまりエディの父親はとんでもない女好きで、あまり結婚に乗り気ではなかったらしい。シンシア姫殿下のことも最初は大切にしていたそうだが、情熱的な彼女の激しい束縛によって彼はすっかり、屋敷から足が遠のいてしまった。



 シンシア姫殿下は夫の冷たい態度に、どんどん衰弱していってしまう。やがて跡継ぎでもある、()()の男の子を産んでも彼の態度は変わらなかった。哀れ美しいお姫様は自分の人生を悲観して、とうとう誤った選択肢を選んでしまった。シンシア姫殿下は自ら命を絶ってしまったのである。それが神への冒涜だと、理解してはいても。



 今目の前にいる彼女の息子が十六歳か十七歳の時に、自らの命を絶ってしまった。それが両国の関係悪化に繋がると理解していただろうに。それともこれが、彼女の国を巻き込んだ復讐劇だったのか。何はともあれ、戦いの火蓋は切って落とされた。



 シンシア姫殿下が連れてきた従者が、ハルフォード公爵家の現当主を殺したことも手伝って。従者としては大事な主人の敵討ちだったのかもしれないが、両国の戦争の引き金となってしまった。



 そこからどうして、憎い筈のエオストール王国の味方をして彼が、自国の民を戦場で焼き払うことになったのかなんてよく知らない。



 ただ、一つだけ言えるのは。彼がレイラと同じく、おぞましい罪を犯した犯罪者ということだ。彼は戦争の英雄“火炎の悪魔”、冷酷非道の売国奴と呼ばれているひとだから。



(本当にそんな人が一体どうして、家の前の道路を補修しているんだろう……)




「はい! これでもうすっかり直りましたよ~! あと俺にして欲しいことって、何かありますか? どうせ暇ですし、奥さんの為なら何だってしますよ?」

「あらぁ~、だめよ、そんな! こんな草臥れたおばちゃんにもそんなことは言っちゃだめよ、つい()()()()()()()()()()()を色々お願いしたくなっちゃうじゃない、もう! 私にね~、夫がね~、いなかったらね~!」



 隣には、愛想の良い笑顔でご婦人を蕩けさせているエディがいた。紺碧色の制服を着た彼は、元王族ならではの優雅さも手伝ってまるで、寂れた住宅街に王宮の近衛兵が出現したかのようだった。



 背中までの長く鮮やかな赤髪に、淡い琥珀色の瞳。その穏やかな顔立ちは精悍に整っていて、ひとたび笑えば夏の向日葵のように明るい。どうも目の前のご婦人は彼が何人殺していようとも、自分の祖国を売っていようとも、若くて男前で、庭先のポンプやらキッチンの排水溝掃除をしてくれれば特に何の問題も無いらしい。



 エディを見てたじろいだのはほんの一瞬だった。後はもう、楽しそうに彼と話しているだけで。



「本当にいいのかしら! こんなに格安で! それもハルフォードさんは、一等級国家魔術師なんでしょう?」



 ご婦人がちらりと、彼の胸元で輝いている金色のバッチを見つめた。一等級国家魔術師の証である、金色と赤と青の入り混じった三色の星型バッチを。それは紺碧色の制服に映えてとても美しい。



「いいんですよ、奥さん。これが俺たち日常魔術相談課の仕事なんですから! 全然大丈夫です。むしろ、お姉さんのお役に立てて嬉しいです!」

「やっだ、お姉さんだなんて! も~、こんなおばさんを喜ばせちゃだめよ!?」

「いでっ!?」



 照れ隠しなのか笑顔のご婦人が、エディの背中をばしんと叩いた。流石の彼も少しだけ痛そうにしていたものの、愛想の良い笑顔は崩しもしなかった。



「でもねぇ、本当にいいのかしら? これだけ散々こき使った挙句、三日分の食料も買えやしない、こんなお値段で済ませちゃって……本当に申し訳ないわ、天下の一等級国家魔術師様を、こんなおばさんの雑用係にしてしまって」



 ふっくらとした丸い頬に太い指を添えて、ご婦人が溜め息を吐く。その片手には、茶色の長財布が握り締められていた。最初に“魔術雑用課”が設立された当初は、都民の為に無償で魔術を使っていたのだ。そうなると一般都民の皆様は際限なく、こちらに色々と頼んでくる。



 やれ祖父の車椅子を魔術で作ってくれだの、子供が学校で熱を出して倒れたから代わりに迎えに行ってくれだの、一般都民の要求は多岐に渡った。そんな訳で日常魔術相談課は泣く泣く、()()()一般都民の皆様からお金をほんのちょっぴり頂くことにしたのだ。



 職務規定によると業者に頼んで支払う金額の半分、つまりは相場の半分を目安に、金を請求しろとあるが。皆面倒で、恐ろしく適当に金額を設定している。元々品物を売る訳でも何でも無いので、相手が調子に乗らない程度の金額を提示すればそれでいい。



 国が徴収した税金で回っている公的機関なので、特に何の問題も無かった。



「いいんですよ、本当に! これこそが正しい、一等級国家魔術師の使い方ですから! もうね、誰かを傷付けたり何かを焼き払ったり、魔術はそんなことに使う物じゃないんです、()()()



 彼が穏やかな声で笑う。鮮やかな赤髪に隠されて、その表情はあまり見えなかった。ただそれまで和やかに笑っていたご婦人がはっと、栗色の瞳を瞠っていた。



「誰かを、傷付けるような力は必要無いと思います。そんなことよりも俺はこうやって、誰かの助けになるような、日常の何でもないような困り事を、魔術でのんびり解決して行きたいです」



 その声は明るかったものの、絶望を知った人ならではの穏やかさが滲んでいた。あまりも穏やかな低い声に、胸が締め付けられる。彼はどんな苦しみを経験したんだろう。



「だからね、これこそが一等級国家魔術師の正しい使()()()()なんですよ! また困ったことがあったら、いつでも呼び止めて俺に言ってください! なんだってぱぱっと、魔術で解決してみせますよ!」



 心配させないように、明るく笑ったのだと理解した。彼を見上げていたご婦人もつられて、嬉しそうに笑う。その栗色の瞳には、痛ましげな色が浮かんでいた。



「ああ、なんだ? そこにいるのはあれか? レイラちゃんか?」



 その酒に焼けたような声に、エディと二人で同時に振り返ると。そこには昼間から酒瓶を握りしめて飲んでいる男性、つまりはご婦人の気難しいとされている、年老いた舅が立っていた。草臥れた白いシャツにサイズの合っていない、だぼだぼの黒いズボンを身に付けていて、白髪混じりの黒髪と青い瞳を持った男性である。



 以前にも何度かアーノルドと共に、彼からの依頼をこなしたことがあるので知り合いだった。レイラには孫娘と年齢が近いからと言って、にこにこと笑顔でお菓子をくれるような、気さくなおじさんだ。



「あっ、こんにちは! ジムおじさん、今、私の新しいバディと一緒におじさんの家の、」

「ありゃ、なんだ!? なんでお前みたいな売国奴の“火炎の悪魔”がここにいんだ!?」

「あっと、ジムおじさん、彼は私の新しいバディで、」

「やめとけ、やめとけ! こんな自分の国を滅ぼしたような売国奴なんぞ、バディにするもんじゃねぇや! 何を考えてんだか、後ろからグサッと刺されても知らねぇぞ!?」



 その言葉に、流石の私もむっとして言い返す。



「っあの、お言葉ですが、彼はそんな人じゃなくて、」

「何でそんなことが言い切れる!? あんたの所の兄さんも、何でこんな男を雇ったんだ!? 悪りぃことは言わんから、こいつだけはやめておけ! おい、クソ悪魔! 俺っちの家の前で何してたんだ!?」

「ちょっと、やめてよ、お義父さん! 私が頼んだのよ、庭先のポンプだって壊れかけてたし、」

「それは俺が直すって言ってただろうがよ、なんで勝手にこんな悪魔に頼んだんだ!?」



 昼間から酒に酔っているのか、止まることがなかった。あまりの豹変ぷりに息を飲み込み、怯えてしまう。いつも陽気で優しいと思っていた人が怒鳴っている姿は、ただただひたすらに怖いものだった。



「おい! このクソ悪魔!! 息子の嫁に何もするなよ!? “火炎の悪魔”、お前が何を企んでんだかは知らねぇけどよ、俺の家族や、俺の家に何かしたらタダじゃおかねぇからな!?」



 エディはただ穏やかに微笑んで、ジムを見つめているだけだった。いつもの淡い琥珀色の瞳が、凪いだ海のように静まり返っている。青ざめるご婦人とレイラをよそに、エディが穏やかな声を発する。



「大丈夫ですよ、おじさん。貴方の家にも、大事なご家族にも何もしません。何もするつもりはありません。ですからどうぞ落ち着いて、俺の話を聞いて────……」

「っそんな言葉、信用できる訳がないだろ!? 帰れ帰れ、“火炎の悪魔”! お前の母さんもあの世で泣いていることだろうよ!? 血も涙も無い、売国奴の“火炎の悪魔”め!」



 そこでとうとう、我慢が出来なくなったのか。ご婦人が辛抱たまらないといった様子で、エディとレイラを押しのけて、自分の舅の腕を強く掴んだ。



「いい加減にしてくださいよ、お義父さん! ごめんね、ハルフォード君、レイラちゃん! 私がお義父さんの代わりに謝るわ、これ、少ないけど追加で持って行って!」



 ぐしゃりと、レイラの手に紙幣を捻じ込む。彼女が体を揺らして、酒に酔った舅の背中を押して家の中に入るよう、促している。



「ああ!? そんな奴に金を渡すんじゃあねぇや、いいか!? お前は知らねぇのかもしんねぇけどよ、あの“火炎の悪魔”ってのは本当に酷い奴でな、自分の祖国を滅ばしたような、」

「もういいから! やめてくださいよ、お義父さん! あんだけお義母さんからもお医者さんからも酒は飲むなって言われているのに、またこんなに飲んだりなんかして!」



 彼女が舅の背中を押して、黒い門を開けて家の中へと入ってゆく。青白い顔をしている私に、彼がふんわりと穏やかに話しかけてきた。



「大丈夫? レイラちゃん。これ以上はあのおじさんを刺激するだけみたいだから。もう、俺たちも移動しよっか? 歩ける? 俺の腕でも貸そうか?」



 その言葉は、私が一番始めにかけるべきだった言葉だ。情けない顔で見上げると、彼がふっと面白そうに微笑む。「君がそんなことを気にしなくてもいいのに」と淡い琥珀色の瞳だけで、優しく言われたような気がした。



「っエディさん、あの……」

「行こうか、レイラちゃん。話ならまた、ここを離れた後でね?」



 癖のあるシナモンのように甘くて低い声が、耳に心地良かった。エディがこちらの背中に手を添えて、さりげなく歩みを促してくれる。流石の私も手を振り払う気にはなれなかった、ひたすらに。ひたすらにその手の温度に、胸が詰まって泣き出してしまいそうだった。私が言われた訳でも何でもないのに、ただただ、涙が滲み出る。



「帰れ、帰れ! “火炎の悪魔”! 二度と俺の家に来るんじゃねぇよ、帰れ帰れ!」

「ちょっと! お義父さん、もういいから早く家に入って! ご近所迷惑でしょ!?」



 どうしようもない虚しさと悲しい現実に、息を鋭く飲み込んだ。硝子の欠片を飲み込んだような、鋭い悲しみは。自分が何も出来なかったからだ。それが悔しくて仕方が無い。三日前に会ったばかりの彼を、私はよく知らないから。過去に踏み込むことも、()()について聞いたことすらなかった。



 エディを擁護するのにも慰めるのにも、圧倒的に時間と距離が足りなかった。手を伸ばせば隣にいる筈なのに、酷く離れているように感じる。ただひたすらに、背中に添えられた彼の手が温かい。



 あの時、自分はどうすれば良かったのだろう? そして何よりも、傷付いている筈の彼になんて声をかけたらいいんだろう? 鬱陶しがられたりしないだろうか? 彼は明るくて陽気な人だから、湿った空気を嫌うかもしれない。それよりも何よりも、このことについて踏み込まれたくないかもしれない。



 ただ笑って終わらせたくはない、それなのに。それなのに私は黙り込んでしまっている。あの小さな家はもうとっくに見えないのに。私は暫くの間、何の音も発せなかった。



 十分か十五分か、もしかするとたったの五分ぐらいかもしれない。とにかくも、長く感じる程の時間が経過してしまった。告げるべき言葉も何も、ただひたすらに思い浮かばず。自分はとんだ臆病者だと心の中で責め始めた瞬間、不意に背中から手が外される。



 つられて彼を見上げると、ただただ優しく微笑みかけられる。辺りは長閑に静まり返っていた、なにせ平日の昼下がりである。気が付けばレイラ達は、薄紫色の花びらが美しい、ライラックの咲き誇る遊歩道に辿りついていた。



 先程の現実から引き離されて、ようやく息を深く吸い込む。春の柔らかな風が頬を撫で、薄紫色の花びらをどこまでも舞い上げてゆく。きらきらと水面が美しく輝く、穏やかなリーヌ川沿いの遊歩道を歩いて、灰色の石畳を眺めていた。



 ひらりと薄紫色の花びらが、こちらの黒髪に舞い降りて、そのまま張り付いてしまって。何の言葉も必要無かった、そっとエディを見上げてみる。薄紫色の花影で、微笑んでいる彼の鮮やかな赤髪が美しかった。エディが手を伸ばしてふっと、頭に影が落ちる。



「俺のこと。気にかけてくれるの、レイラちゃん?」



 エディが穏やかに笑う。まるでそれは、今までの沈黙が無かったかのように。彼が「頭に花びらが付いてたよ、天使みたいで可愛い」と呟いて、ライラックの花びらを摘まんで取り除いてくれた。まだ知り合って三日程しか経っていないが、彼は物怖じしない人だった。



 厚かましい都民からの電話での要求にも、はっきりと「無理です! 申し訳ありません!」と伝えて「失礼します! 今日は何かと忙しいので!」と何のためらいもなく、がちゃんと切れる人だった。だから私も、自然とかけるべき言葉が見つかった。もう何も怖くなどなかった。彼に否定されるかもしれないだとか、そんな考えは浮かんでこなかった。



「それは勿論、気にかけるに決まってます。貴方は私の大切なバディですから」

「えぇ~、バディとしてなんだ? 俺、ちょっとがっかり」



 その割には嬉しそうな顔をして笑う、素直で底抜けに明るい人だった。見ているこちらが、不安に思うくらいに。



「嫌だったでしょう、あんな事を言われて。……あんな風に罵られて」



 言葉もくちびるも震えた、もう少し柔らかい表現を選ぶべきだったかもしれない。鋭い現実に酷く傷付いているのは、自分一人のような気がした。おそらくだが彼はこんなことをもう、とっくの昔に乗り越えている。



「うーん、確かに嫌だったけどさ? あのおじさんの気持ちも分かるような気がするし、それに」



 昼食に出てきたミートパイが美味しくなかった、とでも話すような口調だった。強がりでも何でもなく、あるがままの現実を受け入れている。強くてしなやかな人だと、ふとそう感じる。



「俺は俺のすべきことをしただけだからね。とやかく言われる筋合いは無いよ。そんな覚悟もして人を沢山殺してきたから」



 穏やかな口調に低くて甘い声。それなのに、ぞっとするような重たさがあった。こんなにも青空が美しい、それなのに絶望していた。空の青さと舞い落ちる薄紫色の花びらに、きらきらと、春の陽射しに輝くリーヌ川が見える。



「始めから知ってたよ、こうなるって。……俺は最初から全部理解していたよ」



 隣を歩く彼が微笑んで、こちらを振り返った。ざぁっと風に揺れてライラックの、薄紫色の花びらが舞い上がる。



「だからね、レイラちゃん。君は何も気にしなくてもいいよ? これは俺だけの苦しみだから。これは俺が自分で何とかすべきものだから。だから君が、そんな風に思い悩まなくても大丈夫」



 薄紫色の花弁が舞い落ちる中で、エディが淡い琥珀色の瞳を細めて、蕩けるような微笑みを浮かべていた。風にたなびく鮮やかな赤髪に見惚れていると、彼がこちらまでやって来て覗き込んでくる。



「それに俺を励ますのならさ? 君が俺のほっぺたにキスしてくれたら、それで十分なんだけど?」



 エディが淡い琥珀色の瞳を煌かせて、悪戯っぽく微笑んでいた。ふっと、その言葉につられて笑ってしまう。



「する訳ないじゃないですか、馬鹿馬鹿しい! ほらっ、もうもう戻りますよ? 仕事へ!」

「え~? そんなぁ、がっかりだなぁ~、ほっぺたにくらいなら、キスしてくれると思ってたのになぁ」

「そんな無意味な事はしたくありません! エディさんの元気が出て何よりです」

「え? 全然元気なんかじゃないよ、俺すっごく悲しいよ? お昼ごはんも食べられないくらい!」

「ついさっき、食べたばっかりじゃないですか……しかも追加でアップルパイを頼んでたし」



 たぶん、今はこれでいいのだろう。彼とレイラは知り合って間も無いのだし、これ以上関係を深める気も無い。



(それにしても、私はエディさんに甘やかされている気がするなぁ……)



 彼は立派な大人だ。常にふざけているように見えるが、自分のことで誰かを煩わせることが全く無い。誰とでも仲良くできるし、仕事のことでミスをしても迷うことなく、部長のアーノルドを頼っている。これはただ単に、レイラの婚約者である彼への嫌がらせかもしれないが。



 私も見習わなくてはと密かに落ち込んでいた。流石に私も、彼のような愛想の良さはない。


















「あら? レイラちゃん? 何だか随分と久しぶりね~、とは言っても毎回そう言っているような気もするわね、あら、そちらの男性は……」



 ちりちりの短い黒髪に緑色の瞳を持った女性が、黒いチェック柄エプロンを身に付けて声をかけてきた。買い物帰りなのかその手には、大きな白い紙袋が提げられている。住宅街の道端で突然声をかけられ、振り返った瞬間に固まってしまった。先程の出来事が頭を過ぎり、まともに挨拶が出来ない。ここで真っ先に動いたのは、何を隠そう、強靭なメンタルの持ち主のエディだった。


 彼はいまだに、人前でプロポーズしてくる。



「っどうも、初めまして、こんにちは~! 俺はエディ・ハルフォードっていいます! 実はここの彼女に一目惚れをして、振り向いて貰うために今、彼女のバディとして頑張っている最中なんですよ~」




 にっこりと爽やかな笑顔を浮かべたエディを見て、おばさんの目つきがさっと変わった。決して面白い話題を逃すまいと、瞬時に距離を詰めてくる。



「あらあら、でもねぇ~、レイラちゃんにはアーノルド様っていう、男前な婚約者がいるのよ?」

「ええ。それは勿論分かっています。彼って本当にカッコイイですよね。俺なんだか、すっかり自信を失くしちゃって……」



 エディがしょんぼりと顔を伏せると、途端に哀れっぽい顔つきになった。ちなみにレイラは、あまりの展開に硬直していた。停止した思考の中で、いつもアーノルドの美貌を「歩く猥褻物顔面野郎」と散々に罵っているくせにどの口が言ってるんだかと、エディを批判していた。



「あらあら、ダメよ、そんなんじゃ! そんな風に弱気になってたら、レイラちゃんだって振り向いてくれないわよ? 貴方だってそこそこ男前なんだから、もっと自信を持って! ねっ?」

「ありがとうございます。いやぁ~、こんな綺麗なお姉さんに褒めて貰ってすっごく嬉しいです!」

「何よもう、そんな可愛いこと言っちゃって~! おばさん、お菓子あげちゃう。ほら、これでも食べて元気を出しなさいな!」



 がさごそと白い紙袋を漁って、おばさんが彼の手に個包装のフィナンシェを押し付ける。明らかにケーキ屋で購入したような、お高そうなものだった。



「わっ、いいんですか!? こんなに美味しそうなお菓子を貰っちゃって」

「いいのよ、いいのよ! あたしのね、娘がね、なんかお世話になった学校の先輩だかなんだか、とにかく友達を、ぞろぞろ引き連れてやって来るかもしれないとか何とか言うからね」



 そこで女性がすうっと深く息を吸い込んで、続ける。



「慌てて用意したのに、ついさっき電話があって。家には寄らずに、どっかそこら辺で遊んで晩御飯も適当に食べてくるって言うから、買ったのがすっかり無駄になっちゃって! いやぁね、本当にも~、困っちゃう!」



 早口で捲くし立てるおばさんに、彼が何のためらいもなく返した。



「それは大変でしたね。でも、いいんですか? 本当に貰っちゃって」

「いいのよ、いいのよ、どうせあたしが食べても太るだけだし! うちのね、主人も糖尿病で甘いものは控えないとダメだし、若い男の子に美味しく食べて貰った方が断然いいから!」

「わ~、それならそれで有難く頂きます! 実はですね、つい先程。見知らぬおじさんから売国奴の人殺しって罵られてしまって、それで今、余計に落ち込んでしまってて」

(こいつ、今、さらっと告げ口しやがったな……)



 わざとらしく口元に手を添えて、悲しそうにするエディを見て、おばさんも盛大に悲しげな表情となる。



「まぁ~、可哀想に!! なにもねぇ、貴方だって色々と事情があるでしょうにねぇ、何もそんな」

「ええ、ええ、本当にそうなんですよ、お姉さん! ほらね、色々と思惑が絡む話ですから、俺としても()()()不本意な結果になってしまって……でもねぇ、俺としてもきつく口止めされている部分もあるから、何も言い返せなくってですね」



 エディが悲痛な表情となって、おばさんが顔を顰める。私は一体、何のお芝居を見せられているんだろう。目が虚ろになってしまいそうだった。



「可哀想に~! 一体誰なの、貴方にそんな酷いことを言ったのは?」

「何て名前だっけ、レイラちゃん?」



 そこでようやく初めて、エディがこちらを振り向いた。事態の展開に追いつけない私は呆然として、夢遊病患者のように返事をしてしまう。



「へっ? ああ、ジムおじさんです……」

「だそうです、本当に俺の話はなんにも聞いて貰えなくって」

「ああ、ああ、あの人ね! 二軒隣にうちの実家があるから、よくよく知っているわ! あの人はね、本当に何かと酷い人なのよ、あの家の奥さんも何かと大変みたいで……」



 水を得た魚のように喋り出したご婦人を見つめて、エディが弱々しく微笑んだ。しかしあの表情は絶対に演技が入っている、間違いない。



「そうなんですね? でも、俺にも何か悪い所があったんじゃないかってそう思ってて、」

「いいのよ、いいのよ、大丈夫! 貴方はなんにも悪くなんてないわ! あの人はね、いっつも誰に対しても()()なのよ! この間なんてね、外で子供が遊んでいたら、突然窓をがらっと開けてね、近所中に響き渡るみたいな大声でうるさい、あっちに行けって怒鳴ってね、本当にもうね、自分だってそうやってうるさく遊んでた癖にってねぇ~、よっぽどそう言ってやろうかと思ったわ!」



 憤慨したように話すおばさんを見て、彼が力無く笑った。




「それは確かにその通りですね……でも、それを聞いて何だかほっとしました。ほら、俺は売国奴の“火炎の悪魔”だなんて呼ばれている身ですし、どんなに頑張っても所詮は無意味なのかなと」

「そんなことは無いわよ、絶対に! ああ、可哀想に、あんな人の言葉でなんかへこたれちゃダメよ? きちんと頑張ってたら分かってくれる人はちゃんといるからね? ほら、このお菓子を好きなだけ持って行きなさい! レイラちゃんも一つどう?」



 それまでぺらぺらと話していたおばさんが、くるりとこちらを振り向いた。反応が遅れたものの、おばさんが紙袋からお菓子の箱を取り出して、その蓋を開けてずずいっと、色とりどりのお菓子を見せつけてきたので、なんとか頭を再起動させる。



「えっと、いや、あの、それはちょっと流石に申し訳ないので、」

「いいのよ、そんなに遠慮しなくって! レイラちゃんだって魔力を使ったらお腹が減るでしょう? 魔術を使うには気力も体力も必要なんだって聞くし、遠慮なく食べてちょうだい! いつも何かと頼んじゃってるし、これはほんのお礼の気持ちだから! ねっ?」



 彼女は一体どこで息継ぎをしているのだろうと、軽く慄いてしまった。きらきらとした緑色の瞳には、何が何でもお菓子を握らせるという強い意思が込められている。


 これはどうしよう、どうするのが正解なのか。いやでも、この綺麗な焼き菓子の詰め合わせはそこそこ値の張るものではないのか? でも、あんまりお断りするのも失礼に値するのでは────……。



 またもや混乱を救ったのは、戦争の英雄“火炎の悪魔”だった。彼がこちらの肩にぽんと手を置いて、にこやかに話しかけてくる。



「折角だから貰おうよ、レイラちゃん! ほら、俺もとっくの昔に貰っちゃったしさ。これって綺麗な赤色なんですけど、一体何味なんですか?」

「ええっとね、それは確か苺フィナンシェよ。ここのお店はつい先日オープンしたばかりなんだけど、色々と種類も豊富でほんっとうに美味しくて! 果物や野菜をふんだんに使った、ヘルシー志向のピュアなお菓子だとかなんだとか言って……」

「へぇ~、そうなんですね! どこにオープンしたんですか? 俺もその店に行ってみたいです!」



 さりげなく肩を抱き寄せられ、ぐっと息を詰める。二の腕を包み込んだ手が温かい、耳元で髪が揺れ動く音がする、逞しい胸元が呼吸で上下している。ふわりと男性らしい匂いと、スパイスと柑橘系が織り交ざったような香りが漂って、途端に心臓がばくばくとしてしまう。



 どうしよう、今すぐ逃げ出したい。



「えぇっとね、確か……あったあった! この紙袋に入っていたパンフレットをあげるわ、どうせうちにも何枚かあるし! そこにお店の住所も、商品ラインナップも載っている筈よ?」

「わっと、ありがとうございます! 申し訳ありません、何から何まで面倒をおかけしてしまって」



 おばさんもエディも、会話に夢中で気が付きもしなかった。その事に安堵してる自分がいる、彼を振りほどこうにも距離が近い。あとお菓子の箱も、胸元にあってぶつかってしまいそうだった。今すぐ振りほどきたいのは確かだったが、そうすると、おばさんとお菓子を盛大に巻き込んでしまう。




 気が付いているのかいないのか、おばさんはぺらぺらと喋り続けていて。おそらくおばさんは、若い男前の愛想の良い笑顔しか見ていない。




「ねっ、レイラちゃんはどれにする? すみません、俺、お腹が空いたんでこの場で食べちゃっても大丈夫ですか? ちょっとお行儀が悪いですけど……」



 ぱっと肩から手を離され、彼への敵意が高まっていた私は歯噛みしていた。つらつらと報復メニューを考えていたのに、この男もこの男で案外抜け目がない。これでは、後でちくちくと文句を言うことしか出来ない。




「うふふ、いいわよ、大丈夫大丈夫! やっぱり育ち盛りなのね~、燃費が悪そうだものね~」

「あはは、育ち盛りって年齢でも何でもないんですけどね~、魔力を使ったら無限に腹が空くタイプなんですよ、俺って!」



 にこやかに会話しながらも言葉通り、ぱりぱりと包装紙を破いてゆく。私も少し迷った末に、綺麗な赤色の苺フィナンシェを手に取った。



「んぐ、美味しいれふね、これ! 割と好みの味でふきかもしれない……」



 もふもふと、エディが口だけでフィナンシェを食べ進めてゆく。その愛らしい姿に、おばさんが慈愛に満ちた微笑みを浮かべていた。



「れいらひゃんも、んぐ、食べたら? 美味しいよ?」

「えっ、いや、私はまた家に帰ってからでも食べるので、今は別にいいです……」



 その言葉におばさんが、がっかりとした表情を見せたので、お行儀が悪くても食べるべきだったのかもしれないと、かなり申し訳なく思った。



「でも、気に入って貰えてすごく嬉しいわ! ほら、もう、この紙袋ごと持ってって!」

「えっ!? いや、それは俺としても流石に申し訳がな、」

「いいのよ、いいのよ、これ食べて元気を出して! ねっ? 貴方にはまたこれからも色々と頼むだろうから、その分だけ働いて体で払ってくれれば、それでもういいから!」



 ぐいぐいと押し付けてくる紙袋を受け取って、彼が申し訳無さそうに笑う。



「え~、すみません、何から何までほんっとうに! それじゃあ、これを食べて元気を出しますね! そんでいつか頑張って、レイラちゃんに振り向いて貰います!」

「頑張って、エディ君! アーノルド様はね、手強いからね~! でもあらあら、うふふ! レイラちゃんもレイラちゃんで罪作りな女ね~! こんな男前ふたりに言い寄られてるだなんて、おばさん、つい羨ましくなっちゃうわ~!」



 にこにこと好奇心丸出しな笑顔で話しかけられ、乾いた笑顔でそれに応じる。罪作りも何もこの悪魔とあの色男は、私のことが本当に好きな訳じゃない。アーノルドだって私に執着しているだけだし、何の臆面もなく好き好き言ってくるエディだって、悪質な冗談を言っているようにしか見えない。




「あはは! そうなんですよ、レイラちゃんは罪作りな女なんですよ~! それじゃあ、本当にありがとうございます! 今度お会いした時は特別価格で、何でも請け負いますんで! また街中で俺を見かけたら、いつでも声をかけてください!」

「それじゃあ、その時はその時でまたお願いするわね! ごめんなさいね、レイラちゃんもお仕事の最中なのに、こんなに長く引き止めてしまって~」

「だ、大丈夫ですよ、こちらこそすみません、何かとお忙しい所を引き止めてしまって」

「いいのよ、いいのよ~、大丈夫! それも美味しく食べてくれると嬉しいわ! それじゃあね?」

「あっ、はい! それじゃあ、また! この辺で失礼します~!」













(うーん、愛想の良さって最強だなぁ……)




 おばさんが立ち去った後、エディが紙袋からお菓子を取り出して、ぱりぱりと包装紙を破いた。美味しそうな黄色のガレットを、ぽいっと口の中に放り投げる。そして自分のポケットにゴミを詰め込むと、空いた方の手で、先程貰ったパンフレットを持って、ふぅんとでも言いたげに眉毛を上げていた。



「あれなんだって、ここ、喫茶もやってるんだって。何か色々と美味しそうなのが沢山載ってる……」

「どれどれ、私にも見せて下さい! あっ、珍しい、コーディアルも販売してるんだ」

「珍しいよね。レイラちゃんもコーディアル好き? 何か普通にケーキとかも食べれるみたいだね~。俺、ここの特大苺パフェ食べたい、生クリームじゃなくてカスタードクリームオンリーみたいであっさり食べれそう……」



 エディの腕に手をかけて、そのパンフレットを覗き込むと、美味しそうな写真とメニューが沢山載っていて目が彷徨ってしまう。



「ああ、本当だ、私も食べてみたい……あっ、でも、この苺クリームのミルフィーユも食べたい、ええ~、でも苺尽くしのタルトも美味しそう、全部春限定メニューか~」

「それじゃあ、二人でいくつか頼んで食べてみようよ。食べ切れなかった分は持ち帰るか、俺が食べるかするし。俺は冷たいもん食べ過ぎると腹を壊すから、温かいハーブティーでも合わせて頼もうかな~」



 エディの言葉に笑って頷いて、気になっていた赤いドリンクを指し示してみる。



「そうですね。私はこの柘榴ソーダが気になる、苺タルトと合わせて頼みたい……」

「あはは、いいね! 美味しそうな組み合わせで。次の休みっていつだっけ? レイラちゃん空いてる?」

「勿論空いてますよ、特にすることも無いんで……って!!」



 はっと正気に戻って、いつの間にか近かった距離に愕然とする。エディが不思議そうに首を傾げて、こちらを見下ろしてきた。



「なんでさらっと、私がエディさんとデートに行くことになっているんですか!?」

「えっ? いや、だって、レイラちゃんも乗り気だったじゃん……」



 俺は悪くないし、とでも言いたげな淡い琥珀色の瞳で見つめられる。エディの不思議な所はこういった所だった、人に警戒心を抱かせない。



「絶対に行ったりなんかしませんからね!? 私はアーノルド様と一緒に行きます!!」

「それじゃあ三人で行こうか、あいつもあいつで意外と甘いもん好きみたいだし……」

「いや、だから、さりげなくデートに割り込んでこないで下さいよ……」



 もう一つの不思議な所は、こちらの激情を受け流してしまう所だった。穏やかで飄々とした雰囲気がそうさせるのか、エディは常に自分のペースを乱さない。乱される時があるとすれば唯一、レイラのことだけである。



「えーっ!? あんなアホノルドなんかとデートしないで欲しい、俺として!?」

「しません!! 絶対にエディさんなんかとデートなんてしません!!」

「え~、さっきはあんなに乗り気だったのに?」

「のっ、乗り気なんかじゃありませんよ。あれはついその場の雰囲気に流されて、言ってしまっただけで……」



 エディは酷くつまらなさそうにふんと鼻を鳴らして、持っていたガレットを口に放った。そういった顔をすると一転して、酷く冷たそうな人に見える。



「ふぅん? まぁ、そういうことにしておいてあげるよ。あーあ、がっかりだなぁ」

「そっ、そういうことって、最初からそういう意味だし……!!」



 意味が無い抗議だったかもしれないとは、口に出した瞬間よく理解出来た。エディがこちらを見つめて、ふっと余裕のある微笑みを浮かべる。



「顔が赤くて可愛い。君は素直じゃない女の子だね?」



 ぽんぽんと、頭を弾むように叩かれる。エディの手のひらが離れた時についうっかり、その体温を恋しく思ってしまったのはどうしてなのか。



(ああ、明日もまた。エディさんがこうやって私の隣にいて、プロポーズしてくるのか……)



 それが何だか、とても残酷な現実のように思えた。瞳に映るエディ・ハルフォードも、いつもとは違って残酷な人に見えた。







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