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“魔術雑用課”の三角関係  作者: 桐城シロウ
第一章 彼と彼女の始まり
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番外編 “魔術雑用課”のこぼれ話

 





<とある昼下がりの告白>





「ジーンさん。実はですね、私。アーノルド様の幼少期の写真を売り払ってしまったことがあるんですよ」

「おおっと、これはこれは……出し抜けに一体何の告白かな、レイラ嬢?」

「ジーンさんなら、私の事を責めずに聞いてくれると思ってですね」

「まぁ、確かに俺は、いつだって可愛いレイラ嬢の味方だけどね!」

「それはさておき、私はその日、あまりの罪悪感からか、六時間ほどしか眠れなくって」

「結構眠っているね、レイラ嬢……」

「アーノルド様が二歳の頃の写真で、ソフトクリームを食べているやつなんですよ。あと、お腹を出してお昼寝をしているやつ。それをどうしても売って欲しいと、ファンの方々に頼まれまして」

「ははぁ、なるほどね。ちなみに、それをレイラ嬢はいくらで売ったのかな?」

「それは流石の私でも、ちょっと言えないお値段ですね! かなりお高く売れたとだけ言っておきますね!」

「俺にも言えない値段なんだね……レイラ嬢もレイラ嬢で、闇が深いなぁ~」







<本日の犠牲者 ジェラルド・オースティン>




「俺はレイラちゃんと同じブーツが履きたい!」

「はぁ。一体何の話なんですかね、エディ君?」

「いいから聞いて下さいよ、ジェラルドさん。それなのに、レディースしか扱っていなくて」

「わざわざ探したんだ?」

「まさか! そんな変態的なことはしませんよ、流石の俺も……ただ、レイラちゃんが履いている編み上げブーツを魔術で解析して、どこの店のものか突き止めただけです」

「それ、警察レベルの高度な魔術じゃん……そっちの方がよっぽど変態的だよ」

「そうですかね~、ここはもういっそのこと、同じブーツを作り上げるしかないのかなって」

「絶対にやめろ。レイラ嬢に嫌われんぞ、エディ君」

「やっぱりそうですかね~、ばれないようにこっそり作れば、」

「ばれないようにこっそりって、一体何? 履いて出勤した時点でばれんじゃん、それ」

「そっ、それも確かにそうですね!? じゃあ、その俺が作ったブーツに幻覚魔術をかけて、」

「絶対にやめろ!! あと俺のメンタルが割と限界だから、この話はここで終了! はい、終わり!」

「え~、そんなぁ。今ここには、俺とジェラルドさんの二人しかいないのに?」

「それなら黙って仕事をしてくれよ、頼むからさぁ……誰でもいいから、誰か早く部署に帰ってきて欲しい!」





<帰ってきたのはエマでした>



「レイラちゃんと同じブーツが履きたいんですよ、俺!」

「その気持ちはよく分かりますよ、エディ君!」

「よく分かっちゃうんだ~……」

「エマも今、レイラちゃんと同じブーツを履いていますからね!」

「えっ、嘘っ!? 羨ましい! 俺も履きたい!」

「えっ、ちょっと待てよ、エマ!? お前のそれ、同じやつだったの!?」

「ふふん、当然でしょう? レイラちゃんと一緒に買いに行ったやつでぇ~すっ!」

「ぎゃー!! 死ぬほど羨ましい、いいなぁ! いいなー!! 俺もレイラちゃんとデートしたい!」

「はー、何かもう、余計に事態が悪化しただけだったなぁ、はー……」





<バディが急に休んだ場合は、他のバディについていって実務をこなします>




「レーイラちゃん、レーイラちゃん、レーイラちゃんちゃん~♪」

「……あの、一体何すか? その歌は?」

「これ? 俺の自作ソングですよ? 二番までありますから、トムさんとマーカスさんも一緒に歌います?」

「いや、いい……それよりも、何で歌ってんの?」

「レイラちゃんが急にお休みを取ったもんだから、淋しくって! その代わりにこうして、レイラちゃんの歌を歌って、淋しさを紛らわせている最中です!」

「へー、そうだったんだぁ……」

(レイラ嬢、お願いだから早く帰ってきて……!!)





<その後日談>




「いや~、私の祖父がですねぇ、祖父とは言っても、義理の祖父母に当たるんですけどね? 頭の血管が切れたとか何とかで、お葬式も覚悟して行って来たんですけど、幸いなことに持ち直して元気になったので帰ってきました~。はいこれ、お土産です。エディさんにも」

「レイラちゃーん!! 君がいなくてとっても淋しかったよー!」

「良かった、レイラ嬢が帰ってきてくれて……!!」

「もう今後は出来るだけ、休まないで欲しいっす……!!」

「えっ!?」




<レイラの髪形について>



「レイラちゃん、今日は編みこみなんだ? 凝ってて可愛いね~」

「ありがとうございます、エディさん。これはアーノルド様がしてくれたやつなんですよ」

「くっそ!! 聞くんじゃなかったよ、真相をさぁ! というか何で髪型くらい、自分でしないの!?」

「おおっと、まさかの、エディさんから正論が飛んでくるとは……面倒臭いからです。何なら、お風呂上りに髪の毛も乾かして貰っていますよ?」

「羨ましい!! 俺、あいつが羨ましい! レイラちゃんのドライヤーになりたい!!」

「無機物とは結婚出来ませんけど……?」

「俺、やっぱり人間でいい! そんでもって、いつか絶対にレイラちゃんと結婚する!」

「エディさんが人間でも無機物でも、私は結婚しませんけどね」

「それじゃあ、何だったら結婚してくれる!?」

「エディさんが、アーノルド様だったら結婚します」

「俺、あいつが死ぬほど羨ましいよ、レイラちゃん……」

「まぁ、そうでしょうね」





<アーノルドとレイラについて>




「アーノルド様。ここ、寝癖が付いていますよ?」

「あー、今朝は何か、厄介な寝癖が付いていてだな……お前がぱぱっと直しておいてくれないか?」

「も~、仕方が無いですねぇ。ほら、屈んで下さい」

「ん、悪いな。助かるよ、レイラ」

「ちょっとミリーさん!? あれ見てどう思いますか、ねぇ!?」

「どうってエディ君。あの二人はエディ君が来る前から、あんな感じだから」

「そうっすよ、エディ君。大体いつもああして、無意識にイチャついているから……」

「ええっ!? そんな!?」

「だからいっつも、アーノルド様に惚れた新人の子はみんな、あっという間にやめていっちゃうのよね~」

「大体みーんな、エディ君と同じ反応だったよなぁ~。あれ見て心が折れちゃうやつ。まぁ俺も俺である意味、彼女がいないから心が折れそうだけどな……」








次話からアーノルドの頭がおかしいので注意して下さい。ダークな恋愛物が好き!って方には「余裕、全然いける」といった感じの展開です。ほのぼのが好きな方は「おえっ」となるかもしれません。

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