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“魔術雑用課”の三角関係  作者: 桐城シロウ
第四章 絡まった糸をみんなで解いて
110/122

5. 死者と生者の境界線

 





「心配だ。あの子はこうと決めたら動かないから」

「じゃあ、どうするの。お前は病に浸された身。……ジョージ」



 低く笑って、皺の入った顔を綻ばせる。年老いて病に浸されてもなお、その顔立ちは美しかった。秋の陽射しが射し込む部屋の中にて、ジョージがゆっくりと起き上がる。枕元には水差しと、読みかけの本が置いてあった。節くれだった指で眼鏡を探して、それを掴んでかける。



 白髪混じりの黒髪はぱさついていた。昔は光沢のある黒髪と紫色の瞳を持った、若くて美しい男だった。それでも、今の方が魅力的に見えるのだから。



 私も人間の男に恋した、馬鹿な人外者だなと思う。この男が私に色んなことを教えてくれた。いたずらに人を惑わせてはいけないと、誰彼構わず殺してはいけないのだと。深い紫色の瞳を細めて、優しい声で教えてくれた。泣き出しそうになる。その体から、命の砂がぼろぼろと零れ落ちているから。



「フィーフィー、頼めるかい? ……あんなにね、可愛いレイラを見たあとでは死ねないんだよ」

「じゃあ、生きていたらいいのに。ジョージ」

「君らは契約者にしか興味を寄せない。でも、私の孫同然のレイラを守ってくれないか?」



 エドモンを、と言い出さなかったのは知っているからだろう。何だかんだ言ってこの男は状況をよく理解しているし、そのことを言い出すことで、私が機嫌を損ねることを知っている。泣きながら頷くと、嬉しそうに笑って「ありがとう、フィーフィー。私の大事な奥さん」と呟く。ああ、ずるいなと思った。秋の枯野のような優しさで、いつだって私の悲しみを溶かしてゆく。



「じゃあ、私……レイラが死にそうになった時だけ助けるわ。それでいいでしょう? ジョージ」

「もちろんだよ。ああ、私は可愛いあの子が大人になった姿を見れずに、死ぬんだろうな……」



 いずれ忘れ去られるというのに、それでも愛おしいのか。それでもお前はなお、レイラを守るというの? ジョージ。そんなことを聞けば苦く笑って、「じいさんなんてそんなもんだよ。私の祖父もかつてはそうだった」なんて言って笑う。ばぶばぶの、生まれたてほやほやのレイラを見て、だらしのない顔をしていた時のことを思い出す。



「……でも。私もあの子のことは好きだわ。ジョージ。だって、私を見て笑ってくれるもの」

「じゃあ、いつかお前が私のことを話してくれたらいい。エドモンとメルーディスの子だからな。きっと、優しくて真面目な子に育つだろう……」















 ふっと、意識が浮上する。頭が痛い。気持ち悪い。おそるおそる目を開けてみると、真っ暗闇が広がっていた。何も見えない。びくりと怯えて後退ると、どこからか不気味な笑い声が響いてくる。



「っ誰? なに……?」

「覚えていないの? レイラ・ハミルトン。私に浚われたことを」



 ゆっくりと顔を上げて見てみると、そこには顔を歪めた女が立っていた。ぐらりと視界が揺れる。ふわふわしていて気持ち悪い。耐え切れずに口元を押さえていると、私を見下ろしてまた笑った。



「ここで私と一緒に死にましょうね、レイラ。大体おかしいと思ったのよ、色々と」

「何を……」



 駄目だ、狂っている。きっと話も通じない。アーノルドの熱狂的な信者か。そう言えば、随分前にも似たようなことがあった。最近は悪名高いエディと一緒だったから、まるで気にしてなかったけど。



(忘れてた……馬鹿だ。吐きそう。どこ? ここ。誰か……)



 ああ、でも、今更助けて欲しいだなんて我が儘かな。私、もうここで死んだ方がいいんじゃないかな? 弱気になってそんな考えが浮かぶ。でも、そうだ。お父様とお母様に会いたい。ここで頑張って、生きたからって何だろう。自分の罪とエディへの罪悪感と。でも、私が死ねば彼も楽になるんじゃないのかな?



 真っ暗闇で冷たい空間だからか、そんな悪い考えばかり浮かんでしまう。ふと、気が付いた。そうだ、こんなに暗いのに、顔が見えるのは一体どうしてだろう?



 ぞっとするような、嫌な顔で私を睨みつけてくる女がよく見える。淡くぼんやりと発光していた。また気持ち悪くなってくる。ここ、どこだろう? 辛い、死にたいと思ってしまうのもこのせいなのかな。体が重たくて、衣服が水で濡れているかのよう。



「……殺せばどうですか? じゃあ」

「は? 何を……」

「意気地が無いですね。だから、貴女は誰からも選ばれないんです」



 どうして私はこんなことを言っているんだろう。よく分からない、気持ち悪い。でも、もう死にたいのかもしれない。お父様、お母様。もういいでしょう? 疲れた、何もかもに。女がぴくりと形の良い眉を動かして、私の腹をがっと蹴った。容赦が無い。冷たい大理石のような地面に転がると、また吐き気がしてきた。ざりっと、地面を手で触る。不思議な感触だ。砂のような紙のような。



「いいわ。そんなに死にたいのなら殺してあげる。ちゃんとナイフも持って来たから。この空間で死ねるかどうかなんて分からないし」

「ここは一体……」

「終わった世界の狭間。人外者の生まれる場所とも言われてるけど。まぁ、十五分もいれば精神的におかしくなって死ぬところね」



 ぐいっと、後ろから髪を引っ張られる。もういいや、これで。エディさんもきっと、私がいない方が楽になれる。きっと偽物の恋心だから、私のことなんてすぐに忘れる。会いたいな、会いたいな。エディさん。好きになって欲しかった。私が死んだら何て言う? 友達を弔うみたいに、お墓に花を供えてくれる? 泣きはしないかな、どうだろう? よく分からない────……。



「ごめんなさいね。その子は私の可愛い子なの。エドモンとメルーディスによく似た」

「なっ……誰が、」

「えっ」



 ふっと、手が掻き消える。女の気配が一瞬にして消えた。驚いて振り返ってみると、闇の中でぼんやりと、白い両翼が浮かび上がっている。天使だ。いや、人外者だ。それもきっと、銀等級の。



 驚いて見上げると、青い瞳を細めて優しく笑う。綺麗な顔立ちだった。優しげな雰囲気に、柔らかそうな金髪。それを後ろで纏めて、おくれ毛を出している。天使のような格好をした彼女が、その白い両腕を伸ばした。



「レイラ、可愛い子。駄目じゃない、諦めたら」

「あの、貴女は……? どうして私を助けて、」

「その前にこの世界の干渉を消さなくっちゃ。貴女が正気を失わないようにね?」

「あ……」



 その手が頬に触れた瞬間、一気に体が軽くなった。息が深く吸い込める。手足もじんわりと温かくなってゆく。心地良さに目を閉じていると、優しく笑ってまた「可愛い子」と囁いてくれる。



「お腹、大丈夫? 治した方がいいんじゃない?」

「あっ、でも、貴女は」

「大丈夫よ、何も取ったりしないから。……ジョージのこと、覚えていて?」

「私の大叔父さん? ええっと、優しそうな顔をしたおじさん……」



 父に写真を見せて貰ったことがある。私が生まれてすぐに亡くなった大叔父さんで、ハミルトン子爵家の当主だった人。父の養父で、一等級国家魔術師。私の答えに彼女がふんわりと、嬉しそうな微笑みを浮かべる。そっか、もしかして。



「貴女がフィーフィーさん? お父様から聞いたことがある。私のお祖母様みたいな存在だって」

「そうね、エドモンは私の息子だったから。……何もかもが遅いけれど、レイラ」

「フィーフィーさん」

「遅いということは無いだろう、フィーフィー。いつだって欲しい物は手にしてきた。俺に出来なかったことなんてあるか? まぁ、お前に先を越されちゃったけどな!」

「……その傲慢さは死んでも治らないのね、エドモン」

「え」



 懐かしいにも程がある声に、驚いて顔を上げてみると。そこには、父のエドモンが立っていた。振り返っているフィーフィーの後ろに、いつものツイードのスーツを着た父が立っている。夢だ、夢。これは夢。でも、今日は十七年に一度のおぞましい日だから。父がにっと、深い紫色の瞳を細めて笑う。



「……お父様? 嘘だ」

「嘘じゃないよ、レイラ。さぁ、行こう。近くにハーヴェイとエディ君が来ている」

「エディさんが……?」

「ここは不安定だからね。あまりいるべきじゃないよ。フィーフィー、道を照らしてくれるかい?」

「ええ、もちろん。エドモン」



 ふわりと光る金色の小鳥となって、フィーフィーが空を飛び、細く続く道を照らし出す。辺りがふんわりと、優しい金色の光に包まれた。気が付けば私は立ち上がって、お父様と手を繋いで歩いていた。でも、温度が無い。ざらりとしている。



「……お父様?」

「うん、お父様だよ。ごめんよ、レイラ。死ぬ前にあんなことを言って。俺はただ、何も考えずに、幸せに生きて行って欲しいだけだったんだけどなぁ……」

「うら、恨んでない? 私のこと。もっと生きていたかったってそう、」

「おっと、レイラ。生者が死者の声を代弁しちゃいけない。色々と歪んじまうぞ、真実が見えなくなっちまう」

「でも、私」

「お前を恨むような、駄目な父親になり下がった覚えは無い。ああ、そうだ。ハーヴェイを殴りに行かなくっちゃな! お前を抱き締めたいと思うのと同じぐらい強く、ボコボコに殴ってやりたかったんだよ。俺」

「えっ、えええええ……」



 記憶の中で微笑む父は、いつだって優しくて。そうか、こんな人だったのか。手をぎゅっと強く握り締めると、こちらを振り返って笑った。少年のような、悪戯っぽい笑顔だった。



「レイラ。殴ってやれば良かったんだよ、あの時にさ。馬鹿親父! って」

「む、無理だよ! そんなこと出来ないよ……」

「じゃあ、お父様が代わりにしてあげよう。でも、ハーヴェイのこと、許してやってくれ。酷かったんだ、あいつの両親は……ああなって当然なんだよ。まぁ、昔はもっと酷かったんだけど」

「あれ以上? ええ~……」

「っぶふ! レイラもレイラで毒舌だなぁ。お母様、メルーディスもそんなところがあったよ」

「あっ、そうだ。お母様は……?」

「レイラ。何故死のうとした? さっき」



 その鋭い言葉に押し黙る。怒ってるんだ、お父様。でも、それよりも何よりも話したいことがある。伝えたいことがある。



「お父様、私」

「うん。消えてしまわないから、ゆっくり話すといい」

「産まれてきて良かったのかな? 国が滅んじゃったの、私のせいで。エディさんも」

「お前が手をかけずとも、あの国はいずれ滅んでいたさ。あったかもしれない未来を考えたって、仕方が無いだろう? それにだ、レイラ。あの国王だってお前のことを恨んじゃいない。どんなに予測不能なことが起こったって、国を存続していくのが役目だしな。あいつが無能だったってだけの話で」

「む、無能……」

「そりゃあな。国を存続させていくのが有能な王。途絶えさせるのが無能な王。俺は過程よりも結果を重視する」

(よ、容赦の無い考え方だな……)



 もしかして私、かなりお父様を美化していた? ほんのりと明るい中を、父のエドモンと一緒に歩く。憤慨して「ハーヴェイを殴る! 殴る!!」と言ってるけど。思わず笑みが零れ落ちる。伝えたいな、伝えたい。



「お父様、私もそっちに行きたい。一緒に死にたいの。あのね? 彷徨える呪いの木に飲み込まれた時も、」

「ああ、あれはショックだったなぁ。俺だったら生きろ、レイラ! って怒って肩を揺さぶっていた。何が何でも生きていて欲しいからな」

「どうして? 私、もう死にたいの。ねぇ、いいでしょう? 頑張ってきたの、私。色んな人を助けてきたよ。欲しい物だって買わずに我慢した! 寄付したの、私……お給料の大半を。頑張ったよ。でも、まだそれでも頑張らなきゃ駄目なの? お父様……」

「お前が死ねば、エディ君は一体どうなる?」



 ぼろぼろと、熱い涙が零れ落ちる。でも、エディさんだって別に、私のこと好きでも何でもないし。



「いいよ、もう。いらない。だって私のこと、本当に好きじゃないから……それに私、ずっと会いたかったの。ずっとずっと死にたかったの!! あの時、お父様とお母様を殺した日からずっとそう願ってきて、」

「でもな? いずれ、母親と父親なんて不要になってくるんだ。お前だって、俺達が生きていても家を出て行って、エディ君と一緒に暮らし始めるだろう?」

「だ、だけど……」

「それに、エディ君は本当にお前のことが好きだよ。あの時一目惚れしたんだって、そう言ってたじゃないか」

「でも、本人の口からは聞いてないもん……セシリア様から聞いただけだもん」

「頑固だなぁ! そういうところはメルーディスにそっくりだ」

「お父様……」

「ああ、もうじきハーヴェイ達がやってくる。あの銀色の光はダイアナかな……」

「ダイアナさん」



 涙で前が見えないけど。お父様の手を握り締めていると、「おーい、ハーヴェイ」と言って手を振っていた。でも、殴る気なんじゃ……?



「ハーヴェイ! 久しぶり~」

「……エドモン?」



 目を疑った。俺はレイラを助けに来た筈なのに。何故かそこには、かつての親友が立っていた。俺の腕の中で死んでいったエドモン。「さようなら、大事な親友」と言って死んでいった。あの青白い顔がフラッシュバックする。嘘だ、何でここに。いつものスーツを着て立っているエドモンが、笑って後ろを振り返る。「ほら、レイラ。帰りなさい」と、そう呑気に笑って問いかけている。



「お父様、でも!」

「ああ、エディ君。娘のことをよろしく頼むよ」

「お、おおおおお義父様!? はい、お任せください! 俺が一生大事にします!!」

「エディさん……」

「エドモン? なぁ」

「あ? 何だよ。……殴ってやろうと思ったのになぁ。そんな顔をされると殴りにくいじゃないか。ハーヴェイ?」



 やれやれとでも言うかのように、肩を竦めて笑う。がちゃんと、手からランプが滑り落ちた。銀色の粉となって、しゅわりと溶けて消えてゆく。



「エドモン。俺、お前に言いたいことがいっぱいあってさ……」

「おう。俺もあったよ。まぁ、いい。それはどうでも。じゃあ、レイラ? 俺はもう行くから……」

「待って、お父様! 私も連れてって、お願い! 消えちゃわないで!!」

「レイラちゃん! 駄目だよ、会えたことが奇跡的なんだ! もうそういうことはしちゃいけない、早く帰らないと……」



 がっと、エディに両肩を掴まれる。手を伸ばした先で、お父様が困ったように微笑んでいた。嫌だ、嫌だ。行かないで、消えちゃわないで。私、もう何もかもを投げ捨ててお父様とお母様の下へ行きたい。問題も山積みだし、もう、何をどうすればいいのかよく分からない。



「嫌だ! 放して、エディさん! お父様!!」

「レイラ、エディ君とどうか幸せに」



 ぎゅっと、力強く抱き締められる。ああ、偽者じゃない。本物だ。本物のお父様がここにいる。涙がまた、ぼろぼろと零れ落ちてきた。私を抱き締めながら、耳元で「いずれ嫌でも会うことになる。それまでどうか生きていてくれよ、レイラ……」と呟く。お父様、お父様。強く強く、抱き締め返した。もうこのまま死んでしまいたい。どんなに願っても得られなかったものが、今ここにあるから。



「お父様……!! 死にたい、連れてって! お母様にも会いたいの、私を連れて行って!!」

「駄目だよ、レイラちゃん! お願いだ、ごめん! 生きていて……」

「っ嫌だ! 死にたいの! もうこのままお父様と一緒に死ぬの!!」



 泣いて頼み込んだのに、父が私をぐいっと引き離して、淋しそうな微笑みを浮かべる。もう一度手を伸ばしたら、エディが私の両肩を掴んだ。後ろを振り返って、エディの腕に縋って懇願する。



「お願い! エディさん! 死なせて!? 止めないで!?」

「嫌だよ! 生きていて欲しいんだよ、レイラちゃん! ごめん! 本当にこれは俺の我が儘なのかもしれないけど、」

「嫌だ! エディさんなんか嫌い! 大嫌い! 私はお父様と一緒に死ぬの! もう死にたいの!!」

「ごめん、レイラちゃん。俺のことを恨んでもいいよ」

「お願い、エディさん! 私とお父様を引き離したりなんかしないで────……」



 ぐらりと、彼女が崩れ落ちる。緩やかに気絶する魔術をかけたからか、「エディさん、お父様」と泣きながら呟く。重たくなった体を支えて、きつく両目を閉じていると、お義父様が話しかけてきた。



「悪いな、エディ君。……嫌な役目を引き受けてくれてありがとう」

「いいえ、彼女に恨まれるのには慣れていますから……」

「ハーヴェイ? 本来ならお前がこうするべきだったんだぞ?」

「エドモン。なぁ、俺」



 何をどうしていいかよく分からず、呆然と呟く。いつもと同じ調子で笑って、「じゃあ、俺はもう行くから。イザベラによろしく」と言って、くるりと背を向けた。「またな」とは言ってくれないんだな、エドモン。もう俺達に明日は来ない。会える日は二度と来ない。手を伸ばして、その手をがっと掴む。蝋燭みたいだった、冷たい。



「待てよ、エドモン! それは無いだろ!? 俺は、俺は」

「ハーヴェイ。お前はもう、御伽話が必要な年齢でも何でも無いだろう? じゃあな」



 そう言って、あっさりと消えてしまった。何も残らなかった。いつの間にか、飛んでいた金色の鳥も消えている。背後でダイアナが「ハーヴェイ」とだけ呟いた。返事をする気力は無かった。膝から崩れ落ちて、咽び泣く。ああ、お前はいつだってそうなんだな。エドモン。



「いつだってそうだよ、エドモン。いつだってお前は自分勝手で……俺の気も知らないでさぁ!」

「行きましょう、ロード・キャンベル。ここが死者と生者の境界線なんです。越えちゃいけない、帰らなくては」

「ああ、そうだな。帰るか……エドモン」



 レイラを抱えたエディに促され、立ち上がる。誰もいない。あるのはただ、白く輝く一本道だけで。銀色に煌く月の道を辿って、歩いて帰る。誰も何も言わなかった。すうすうと、レイラの健やかな寝息だけが響き渡っていた。







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