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“魔術雑用課”の三角関係  作者: 桐城シロウ
第四章 絡まった糸をみんなで解いて
106/122

1.揺れる思いと二人の絶望

 





「えっ? レイラちゃんに話したの!? 一体何で!? えっ!? 俺から話すって言ってたのに、」

「エディお兄様は絶対に話さないでしょう!? そもそもの話、私は戦争から帰ってきたら、全てを話すべきだと、そう考えていたんです! それをお兄様が、いずれ俺の方から話すからちょっと待ってと、何度も何度も私に嘘を吐いて、」

「ご、ごめんって! シシィちゃん、俺、耳が痛いからもうちょい声量を下げて、」

「分かっています、お兄様に一生話す気が無かったってこと。でも、そろそろ我慢の限界です。なので、私から話しました!!」

「えっ、ええ~……?」



 呪いから目覚めてあれから、すぐレイラちゃんに会いに行ったんだけど。追い返された、アーノルドに……。色々あって疲れたし、とにかくデートのお礼と明日も会えるの楽しみにしてるねって、そうメッセージを送ってみたものの。濡れた赤髪をがしがしと拭きつつ、魔術手帳を見下ろす。



「……来てないなぁ~、返事。えっ? 本当に話したの? 無反応なんだけど?」

「今日、お姉様と会うんでしょう? その時に話すつもりなんじゃないかって……でも、その、お姉様が今朝、酷い顔色をしていて……」

「そりゃそうだよ! シシィちゃんが話すからだよ!! 俺、一生黙ってようと思ってたのに、」

「ほら、またすぐにそういうことを言う!! 駄目でしょう!? 私達の気持ちを考えたことは!?」

「ごっ、ごめんごめん、俺が悪かったから許して……?」



 義妹だけど、本物の妹みたいだな。耳が痛い、色んな意味で。髪から水が滴り落ちてきたので、魔術でふわりと乾かす。本当はちゃんと、ドライヤーで乾かした方がいいんだけどな……。その方が艶も出るし、ぱさつかない。でも、時間も無いし仕方ない。



「あー、切ってもいーい? シシィちゃん。あっ、でも、ちょっと待てよ? もしかして今日、レイラちゃんからのプロポーズがあるんじゃ……?」

「きっとありますよ、お兄様! お姉様だって、エディさんと結婚すると言ってましたし!」

「えっ!? 本当!? マジで!? そんなこと言ってた!? レイラちゃん!」

「言ってました! エディお兄様のこと、好きだってそう言ってましたよ!」

「それは知ってるんだよな~。告白されたもん、俺~」

「聞いてませんわ、それ! えっ!? お姉様、酷い~……」

「まぁ、シシィちゃん、騒ぎそうだもんな……」

「恋バナですもの、当然ですわ」



 手帳の向こうから、偉そうな声が聞こえてくる。はは、相変わらずだな。本当。笑って髪を梳かしつつ、これからのことを考える。



「でもさ~。ようやくかぁ~……長かったなぁ、この半年。いや、半年以上か。戦争中のことも含めると、かなりの年数が……」

「お疲れ様でした、エディお兄様! レイラお姉様と一緒に、ウェディングドレスを選びに行きましょうね!」

「行こう、行こう~。ちょっとだけ、アーノルドの反応が怖いけどな~」

「あら、連れて行くなんて発想、まるで無かったのに」

「だろうね! 相変わらず、当たりが強いな~」

「だってイラつくんですもの。お姉様はエディ様のものなのに……」

「ありがとう~。でも、どっちかと言えば、俺がレイラちゃんのものなんだよな~。自由とかまるで利かないし」

「お兄様、それは」

「あっ、ごめん。失言だった、今の」



 嫌味を言うつもりは無かったんだけどな。それにしても。



「俺から話すつもりだったんだけど? シシィちゃん?」

「一生話すつもりはないと言ったのは、どこのどなたですか?」

「うっ、うーん……俺! ごめん! でも、振られないか心配だなぁ……」

「大丈夫ですわ、だってお姉様はそんな性格じゃないもの。どうぞ安心なさって」

「ん、まぁ、話してくるよ……はー。あっ、きた。返事が。ごめん、切る。俺」

「はい! では、また」

「ん、ありがとう~。行ってらっしゃい、気をつけて」

「お兄様も。ではでは~」

「ん、はーい」



 一度魔術手帳を閉じて、通話を切る。それから光り輝くドラゴンに触れて、何となく「ありがとう」と呟いてから、レイラちゃんのページを開く。そこにはただ簡潔に“仕事が始まる前に会えませんか?”と、そう書かれていた。何だろう、ちょっとだけ嫌な予感がする。



(ん~……でもまぁ、俺のこと好きだって言ってくれてるし)



 昨日のレイラちゃんも可愛かった。呪いをぶつけてきた何とかさんのせいで、台無しになったけど。でも。



「あーっ、可愛かった……!! 伸び上がってキスしてきたの、本当可愛かったな~……!! 好き。早く会いたい」



 このまま結婚してくれるといいんだけど、俺と。でも、レイラちゃんのことだから、俺を見る度、戦争に行かせたことを思い出して、後悔するんじゃないかって。結婚してもずっと俺の顔を見て、ごめんなさいって言ってくるんじゃないかって。そんなことを考えつつ、寒くなってきたので、黒いニットを出して着替える。



(だから本当は、言いたくなかったのに。笑っていて欲しかったのに)



 俺を見て悲しそうな顔をしないで、レイラちゃん。「ごめんなさい」もいらない、「ありがとう」だけが欲しい。この身は縛られていて、彼女のことばかりを考えてしまう。ただひたすら、彼女のことだけを考えてしまう。



「……さぁ、行くか。まぁ、振られることはないだろ……」



 そんな性格じゃない、彼女は。会って謝ろう、今まで話せなくてごめんって。ああ、駄目だ。考えただけでちょっと泣けてきた。いいよ、笑っていて。何も気にせず笑っていて。断頭台で首を切り落とした瞬間、死体から転がり落ちてきたロケットペンダント。粉塵に火薬の匂いに、民衆が泣き叫ぶ声。それらが全部全部再生されて、最後に一つ。



『エディ。お前は王家の恥さらしだ』



 叔父上、叔母上。ごめんなさい、ごめんなさい。でも、貴方達が言っていた「幸せになって、罪を償え」と。その言葉を守ろうかと思います、俺。どんなに穏やかな生活をしていても、ふっと血腥い記憶が蘇る。まだ幸せを求めている自分が浅ましくてならない、この手で多くの人命を奪ったというのに。



(でも、これこそが贖罪(しょくざい)だ……)



 幸せになるべきではない。そのことを理解して、歯を食い縛って覚悟を決めて、この手で彼女を大事にして生きていこう。俺に残された道はたった一つだけ。



 黒いコートを羽織って、屋敷を出る。あっ、駄目だ。顔がにやけてしまう。何をしようかな、これから。結婚準備にデートに、色々やることがあるな。ポケットに両手を突っ込み、木々を見上げてみると、鳥がピチピチと鳴いていた。もうすぐ冬が到来する。空気がきんと冷えていて、吐く息が僅かに白い。雪が降る、もうすぐ。あの白い雪が。



『ねぇ、アンバー? ほら、見て見て────……』



 思い出すのは、真っ白な雪景色の中で笑う彼女の姿。それを見ているのが好きだった。いつかは終わってしまう時間だからこそ、愛おしくて悲しかった。どんなに穏やかに暮らしていても、戦争の影が付き纏う。



 俺はルートルードの王族で、エオストールの女王に忠誠を誓った元軍人。苦い思いを噛み締め、庭園を歩く。ほのかに暖かい陽射しが、この頭と刈り込まれた芝生を照らしていた。レイラちゃん、レイラちゃん。



 深い紫色のマフラーを上げて、考え込む。やっとなのかな、ようやくなのかな。彼女は何て言うんだろう。泣くのかな。嫌だな、でも。



(ようやく堂々と、触れることが出来る……やっとだ、やっと報われる)



 どこに行こう、彼女と。いや、それよりも「ありがとう」って言って欲しいかもしれない。君のために殺したんだ、全部全部。人もプライドも恐怖も、何もかも。ただ、君の命令を遂行するためだけに。レイラちゃん、レイラちゃん。愛おしい、早く会いたい。会って「ごめんね、よく頑張ったね」と言って欲しい。全部君のためだったんだよ。君はもう、忘れてしまったけど。



「さっ、急げ!! 走ろうっと! あっ、俺、魔術使えたな!? そういや魔術師だった、飛ぼう!」











 急いでドアを開けてみると、彼女が背を向けて立っていた。緩やかな黒髪が流れ落ち、こちらを振り向く。深い紫色の瞳に見つめられた瞬間、心臓がどくんと跳ね上がった。そうだ、知ったんだ。彼女は全部。ごくりと唾を飲み込んでいると、淡く微笑んで「おはようございます、エディさん」と言ってくれた。



 何だろう、嫌な予感がする。それに、いつもとは雰囲気が違うような気がする。いつもと同じ、紺碧色制服を着ているのに、一体どうしてだろう。まるで違う女性に見える。とりあえずリュックを背負ったまま、ドアをぱたんと閉めて、彼女に向き直る。酷く疲れていた。それに、拒絶と疲弊が流れ込んでくる。「何があったの、レイラちゃん?」とも聞けずに、覚束無い足取りで、彼女の方へと向かう。



 ガイルが心配しているのか、低く唸った。静かな部署には、秋の陽光が射し込んでいる。彼女と二人きり。それなのに、嫌な予感しかしない。



「……レイラちゃん? おはよう」

「おはようございます、エディさん……いきなりですけど。はっきり言っておきますね、私」

「うん」



 どうしてだろう、続きを聞きたくない。彼女の真正面に立って、その決意に満ちた顔を見つめる。レイラちゃん、レイラちゃん。遠いよ、君が遠い。レイラちゃん。今すぐ腕を伸ばして、抱き締めたかった。泣きたかった。



 俺、頑張ってきたよってそう言いたかった。あと、何て言おうとしてたんだと思う? レイラちゃん。叔母上がね、死ぬ前に口を動かそうとしていたんだ。ああ、息子同然に可愛がって貰っていたのに。どうして、俺はああするしかなかったんだろう。



 レイラちゃん、君の意見が聞きたい。俺の話を聞いて欲しい。それなのに、彼女は口を動かしてこう言い放った。



「私、エディさんと結婚するつもりはありません。だって」

「何で? 俺……聞いたよね? シシィちゃんから全部」

「聞きましたよ。全部聞きました。私がやったこと、過去にあったこと」



 耐えろ耐えろ、耐えろ。アーノルド様と結婚するって決めたんだから、耐えろ。ぐっと、拳を握り締めて俯く。駄目だ、この感情もエディさんに伝わってる。耐えろ、私。好きな気持ちも全部隠して、拒絶の感情だけを浮かべて。



(知られたくない、知られたくない。だって、知られたら)



 貴方は優しいからきっと、何とかしようとする。いつだって、私のことを一番分かってくれているから。今だけは、そのことを恨めしく思う。エディさん、エディさん。



(でも、死んで欲しくない。死んで欲しくないよ。生きていて欲しいよ……)



 生きていて欲しいから、嘘を吐こう。もう契約を交わしてしまった、ハーヴェイおじ様と。あの人が死ねば、何とかなるのかもしれないけど。


 きっと、死なないと思う。それに昨日話して確信した。アーノルド様は私のことが好きだ。諦めてくれないんだろうな、弱くて繊細な人だから。黙り込んでいると、エディが淡い琥珀色の瞳を瞠って、こちらを食い入るように見つめてきた。それに絶望的な顔をしている。当然か。



「でも、エディさんとは結婚出来ません。私、ハーヴェイおじ様の傍にいたいんです。それに、」

「レイラちゃん……嘘だと言って欲しいんだけどな。それに何か、」

「嫌なんです。エディさんといると、過去を思い出してしまいそうで。私、無邪気にエディさんに、好きだなんて言ってたけど。色々考えると、結婚なんて到底出来無いなって、」

「俺、魅了にかかってるのに? ……君以外の女性に、何の魅力を感じないのに?」



 限界まで押し殺した声に、胸がずきりと痛む。駄目だ、この感情も伝わっちゃうから。「レイラちゃん」とまた、エディが死にそうな声で呟く。好きだけど、駄目だ。



 今すぐ昨日あったことも、ルドルフ・バーンズからの気持ち悪い手紙も何もかも、話して泣いて縋ってしまいたい。でも、駄目だ。ハーヴェイおじ様には、きっと敵わない。性格も考えていることも、何もかもが違う。身の毛のよだつことを平気で思いついて、実行するような人だから。



「……それでも無理です、ごめんなさい……色んなその、血腥いことを考えると、好きだとか格好良いだとか、そういう純粋な気持ちも萎んでしまって」

「だから俺、話したくなかったんだよね……ごめん、レイラちゃん。それって絶対? 俺にチャンスは無いの? これから先、ずっとずっと?」

「はい。それに私、今まで傍にいてくれたアーノルド様といる方が落ち着くし、楽しい」

「ごめん、ちょっと整理させて欲しい。いや」

「はい」



 見たくなかったけど、真っ直ぐその顔を見つめる。顔が白かった。ごめんなさい。でも、罪悪感も痛みも全て消す。伝わってしまうから、エディさんに。その代わりに、嫌悪感と拒絶を思い浮かべておく。そうだ、ルドルフの手紙のことでも思い出そう。気持ち悪かった、本当に。髪の毛まで入ってたし。



 エディが絶望的な顔をして、くちびるを動かす。でも、言葉にならなかった。何度か試みてから、ぐっと拳を握り締め、俯いた。多分泣いている。ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさい、エディさん。



 好きなのに、こんなにも遠い。今すぐ抱き締めて「ごめんなさい、ありがとう」と言いたいのに。遠い、遠い。エディさん。



「俺、帰るね。ちょっと今日はもう、休もうかな……」

「はい、そうしてください……ああ、それからもう、退職した方がいいですよ。来年の春に私、アーノルド様と結婚式を挙げようと思っているので」

「ああ、じゃあ、そっか」



 エディが背を向け、ドアに手をかける。今すぐ引き止めたかった。今すぐ引き止めて、泣き叫びたかった。そんな激情に蓋をして、雪景色を思い浮かべる。守ろう、この人を。守ろう、もう傷付けたくない。きっと、死ぬよりはいいだろうから。誰にも殺されず、生きて幸せになって欲しい。



「俺はそれまでに、自殺でもすべきなんだろうね……君を殺してしまう前に」

「エディさん」

「ほら? 死ねば魅了は解けるからさ……死に顔も可愛いんだろうな、レイラちゃんのことだからきっと。でも、どうなんだろう? 死ねば解けるから、何とも思わないのかな……」



 ぱたんと、部署のドアが閉まる。ああ、そっか。私のことを好きだと言ってくれるのも、可愛いと言ってくれるのも。全部全部、魅了にかかってるから。本物じゃない、偽物だ。そのことに気が付いて、虚しくなってしまう。自然と零れ落ちた涙を拭き、笑う。どうしてだろう、昨日から変な笑いが止まらない。くちびるが歪んで、頬が緩む。



「そっか。好きなのは、私だけかぁ~……はははは。あーあ、もう」















 信じられなかった、何もかも。早足で廊下を歩いていると、影の中からガイルが出てくる。顔を見ずとも分かる、怒っている。こちらを振り向こうとしない、俺の肩をがっと掴んできた。



「おい! 聞いてるか!? 今すぐ戻って問い詰めた方が、」

「飛ぶ。力を貸してくれ、ガイル。もう何もしたくない、何も考えたくなんかない」

「っエディ坊や。はー……あいつが聞いたら、一体何て言うか」



 キースのことだろうな、きっと。何だかんだ言って、俺よりもキースのことを大事にしている。まぁ、当然だけど。契約していたんだし、元々。ガイルが黙って俺の肩に手を置き、魔術を発動する。一瞬だけ、ふわりと胃が浮いた。でも、ガイルは上手い。魔術移動する時特有の気持ち悪さもなく、ついさっきまでいた、俺の部屋に到着する。背負ったリュックサックが重たい、もう何もしたくない。



「バカ食いでもしようかな……あーあ、疲れた」

「エディ坊や……なぁ」

「久しぶりに狼の姿に戻ってくれないか? ガイル。泣きたい気分なんだよ。あーあ、どうしよ。何分か前の自分を殴ってやりたい……」



 浮かれていた、完全に。彼女が俺と結婚してくれるんだって、そう思い込んでいたから。今までの苦労も全部全部、報われると思っていたのに。涙が出てきた、辛い。どうしたらいいんだろう、俺。これ以上もう、頑張れる気がしない。



 重たいリュックサックを下ろして、黒いコートを脱ぎ捨てて、寝台に寝転がる。枕を抱えて突っ伏していると、何かふわふわしたものがやってきた。狼姿のガイルだった。ふんふんと、冷たい鼻先を押し付けてくる。



「くすぐったいって、もう……ガイル」

「エディ坊や。辛いのなら、俺が代わりに聞いてこようか……?」

「いい。もう、あれが答えなんだろうから……あーあ、全部無駄だった。全部。なぁ、ガイル。彼女の気持ちがどうであれ、俺さ」

「おう、どうした?」

「あんなこと、言われたのが辛かった。アーノルドの方がいいって言われたのもそうだし、それにさ」

「……うん」

「ありがとうもごめんなさいも無しでさ? 俺、何のために頑張ってきたんだろうって。面倒臭い肌の手入れとかさ、他にも色々頑張ったのに……」



 そうだ、全部否定された。何か深い事情があって、ああ言ったのかもしれない。やけに顔も強張っていたし。でも、それよりも何よりも。腕を伸ばして、ガイルの黒い毛皮にもふんと顔を埋める。



「俺のこと、気持ち悪いって思ってた……!! ずっと、ずっと冷たくってさ、レイラちゃん」

「いや、まさかそんなことは」

「っあるんだよ!! レイラちゃん……もう駄目だ。嫌われた。何で? 俺、何かした? デート中何かしたっけ……忘れた。もう嫌だ、全部忘れたい。全部、何もかも……」



 ああ、嫌だな。昨日まで、あんなに楽しかったのに。そのまま泣いて泣いて、ガイルの毛皮に顔を埋めて、両目を閉じる。こうすると、いつも落ち着くんだ。とくとくとくと、心臓の音が聞こえる。柔らかくて温かい毛皮に指を埋め、そのまま眠った。いいや、もう。とりあえず、泣いて眠って忘れよう。起きた時にまた、ましになっているだろうから。メンタルも考えも。








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