ありがとうの言葉
今回はR15でお願いしますm(__)m
湖岡町の遊郭の一室。
辻がソファに座って心臓をバクバクさせながら待っていると、ドアが開き女の子が入ってきた。
「初めまして、コノハです、よろしく、、、え?」
女の子は挨拶の途中でソファに座っている辻を見て固まる。
「あ、、」
辻も女の子を見て唖然としていた。
女子高生の制服にツインテール、服装や髪型が違うので印象は変わっているが、製薬会社の夜勤のバイトで一緒だった本多早苗だった。
「本多さん?」
「コノハです。」
「本多さ、、」
「コノハです。」
「・・・」
「・・・」
「こ、コノハさん、どこかでお会いし、、」
「お客様、プライベートの話はご遠慮ください。」
早苗は辻の質問を強引にシャットアウトすると、無表情のままテーブルを挟んで床に座る。そして手に持ったバッグからローション、消毒液、うがい薬のボトルを取り出し、トントンとテーブルに置いていく。
「そ、その制服、似合ってますね。」
辻が早苗の制服姿を褒めると、彼女はゴミを見るような目で辻を見返してきた。
辻は胸を押さえる。
い、イタイ、痛くないけど、胸がイタイ
早苗はバッグからタイマーを取り出すと、
「時間は60分でいいですか?」
と聞く。
「は、はい。」
辻が答えると、早苗は、ピッピッとタイマーをセットして立ち上がった。
「シャワーを浴びるので服を脱いでいただけますか?」
早苗はそう言うと自分も服を脱ぎ始めた。
「え!? もう? 」
「衛生的にシャワーを浴びてからのプレイとなります。」
早苗はブレザー、スカート、シャツと脱いでいき下着だけの姿になった。
「あ、あの、心の準備が、、」
辻の言葉に、早苗はチッと短く舌打ちする。
「では、私がお手伝いします。」
と言って、ずいっと近寄ると辻の上着を剥ぎ取りシャツに手を掛ける。辻は早苗の胸元を上から覗く形になりゴクリと唾をのみ込んだ。
早苗が辻のシャツを脱がせているとき、辻は彼女の手首にリストカットの痕があるのに気付いた。
「その手首の傷痕、どうしたの?」
「気にしないでください。」
早苗は構わず辻のベルトを外してズボンを下ろそうとする。
「いや、気になるよ! もしかしてこの仕事つらいの? 」
早苗は、はあ、と大きく溜息をつく。大抵の客はリストカットの痕など見て見ぬふりをするのだが、どうして問い詰めてきたりするのだろう。この人は空気を読めないのだろうか。
「そういうのはいいですから、仕事させてください。」
早苗がズボンに手を掛けると、辻は彼女に尋ねた。
「何でこんな仕事してるの?」
早苗はズボンに掛けた手を止めて辻をキッと睨んだ。そしてドンと辻を手で押した。
「お金のために決まってるでしょ!」
語気を荒げる早苗に、辻はソファにへたり込む。
「ごめん、僕なんかとするの嫌だよね。」
「平気です。」
「嫌なら無理しなくていいよ。服を着て、僕は何もしないから。」
早苗は辻の前で仁王立ちになる。
「別にあんたよりキモイ客の相手何回もしてるから全然平気、 ってか、リスカしてる子なんていっぱいいるし何でいちいち聞いてくるの? うざいし、キモイ! そんな風にいい人ぶって私があんたのこと好きになると思ってるの? あんたみたいに何もしないって言う客前にもいたけど結局あとで自分はこんなに尽くしたんだって勘違いして付きまとってきて本当に迷惑だったし怖かった、やめてよ、ほんとに!」
辻は呆然として早苗を見つめた。
「ぼ、僕は、、どうしたらいいの?」
早苗は目から溢れた涙を手で拭うと力が抜けたようにペタリと床に座り、
「シャワー浴びてきて。」
と言う。
「わかった。」
辻はよろよろと立ち上がってズボンを脱ぐとシャワールームに向かった。
本多さん、大丈夫かな、、、
彼女がどんな境遇にあってきたのか辻には分からない。
辻が早苗に「なんでこんな仕事を」と言ったとき彼女は激高した。
自分の仕事をあんな風に言われたら、そりゃ怒るよね、、、
辻は自分の浅はかさに腹が立った。
辻がシャワーを浴びていると、扉が開いて早苗が入って来た。
「うわっ!?」
辻が驚いて思わず手で下半身を隠す。
「お客さんの体、私が洗うことになってるから。」
早苗はそう言ってボディソープを手に付け、辻の体の隅々を洗っていく。辻は眼鏡を外していたので視界がぼんやりしていたが、早苗の体のなめらかな曲線に思わず見とれてしまった。
早苗は持ってきたボトルから消毒液を出してボディーソープに混ぜると手に付けた。
「消毒するから手をどけてくれますか?」
と辻の下半身を見る。
「は、はい、どうぞ。」
辻が手をどけると、早苗は消毒液をつけた手で辻のあそこを丹念に洗う。
「痛くないですか?」
「だ、大丈夫、、、」
早苗の手の感触のあまりの気持ちよさに辻はうっと呻く。
「えっ、もう出しちゃったの!?」
早苗は辻の精液をシャワーで洗い流す。辻は真っ赤になると、
「ご、ごめん、我慢できなくて、、」
と謝る。
「もしかしてこういう店、初めてですか?」
と聞く。
「はい、恥ずかしながら。」
辻は恥ずかしそうにもじもじとする。
早苗はフフッと笑った。それはこれまで辻が見てきた中で早苗が見せた初めての自然な笑顔だった。
「じゃあ、イソジンでうがいします。」
と言い、コップにうがい薬を入れてシャワーで薄めると辻に渡し、自分も別のコップでうがいをした。
辻がうがいを済ませると、早苗は辻の首に腕を回してキスをしてきた。辻は舌が絡められてくるのを感じながら真っ白になった頭の中でシャワーが流れる音を聞いていた。早苗は唇を離すと、
「キスも初めてですか? 」
と聞いてきた。
「はい、すごく良かったです。」
辻が感激してそう答えると、早苗はまたフフッと笑う。
「私のこと好きにならないでくださいね?」
辻は無茶言わないでと思いながらも、
「わかった、、、好きにならないよ。」
と答える。二人はシャワーを終えるとベッドに向かった。
早苗はローションとコンドームを枕元に置く。
「横になってください。」
「は、はい、お願いします。」
辻はただ早苗のされるがままになる。
ど、どうなるの、、え? そんなことを、わ、そんなところまで、、あああ、、
、、、、、
そして辻は無事初体験を終えたのだった。
ピピッ、ピピッ、ピピッ
タイマーの音が鳴る。
「10分前です、シャワーを浴びましょう。」
早苗は辻を連れてシャワールームに入った。彼女は辻の体を洗いながらふと尋ねてきた。
「まだあのバイトやってるの?」
「うん、シフトの回数は減らしてもらったけど、まだやっているよ。」
「私のこと他の人に言う?」
「言う訳ないよ!」
辻は思わず大きな声を上げる。早苗はそれを聞いて、
「そう。」
とただ短く呟いた。
服を着て、帰り際に辻は早苗に尋ねた。
「本多さ、、コノハさん、また来てもいい?」
「別にお客さんなんだから私に断らなくてもいいです。」
「それもそうだね。」
辻は早苗に手を差し出す。
「今日はありがとう。」
早苗はその手に軽く触れると、
「ありがとうございました。」
と言って礼をした。
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辻が部屋を出て店の入り口の待合室に行くと、隆一が椅子に座って雑誌を読みながら待っていた。ちょうどそこへ、孝之もやってきた。
「おっ、辻ッチ、孝さん、楽しんできたか?」
隆一が親指を立ててニカッと笑う。
「隆一君、なんや女の子が僕のこと、お兄ちゃん、お兄ちゃん、言いよったけど何か心あたりある?」
孝之がジト目で隆一を見る。 隆一は孝之からスッと目をそらした。
孝さんの方に妹プレイオプション付けたのは余計だったか、、、
「あー、まあ、何だ、たまたまじゃないっすか? ははははは、、」
そして、辻の方を向くと、
「辻ッチはどうだった?」
と尋ねた。辻は眼鏡をキランと輝かせると、
「隆一さん、女の子ってすごいですね。 僕は感動しました。」
と答える。
「そーか、そーか、それは良かった、一皮むけたって感じか?」
隆一がそう尋ねると、
「僕は遊郭で働く女性を尊敬します。」
辻は真顔でそう言った。隆一は優しく微笑むと、
「咲がそれ聞いたら喜ぶぜ。」
と言う。孝之も辻の肩に手を置き、
「辻君、ええ子に当たったみたいでえかったな。」
と言う。
「はい!」
三人は支部の生活棟に戻ると、食堂でビールを飲みながら2次会を始めた。
「隆一さん、遊郭で働く女性はやっぱり経済的な理由から始めたんですかね?」
「ん? まあ、政府公認の遊郭だと自分から望んで遊女になる子もいるけど、やっぱり金に困ってしかたなくなる子の方が多いんじゃねえか?」
和皇国では歴史的に性的サービスをする女性を遊郭街という特定の場所で働かせることで管理していた。性病の蔓延や人身売買を抑制するためである。
「僕、思ったんですけど、遊郭の女性を自給生活協会に勧誘するのって駄目ですかね?」
辻のそんな提案に孝之が顎に手を当てて考え込む。
「確かに協会なら衣食住に困ることはないし、借金ちゃらにするために自己破産するっちゅう手も使えんでもないな。」
隆一は、
「まあ普通の店は遊女を遊郭の外に出すなんて許さねえけど、咲のいた店なら店長に顔が利くから何とかなるかもしんねぇぜ。」
と言う。
「ありがとうございます、お願いします!」
それから、数日後、咲さんが店長に交渉して条件付きで店の子たちを協会員にしても良いことになった。その条件とは彼女たちの身元を明かさないこと、店からの出勤要請があれば応じることである。店側としては遊女に提供していた寮費と食費を節約できるのでこの条件なら悪い話ではなかったのだ。
隆一は咲さんに、
「協会員になっても遊女を続けさせることになるけど、遊郭街に閉じ込められている子たちが外に出られるのは嬉しいんじゃねえのか?」
と聞く。咲さんはコクリと頷く。
「うん、すごく嬉しいと思う、それに将来稼げなくなっても居場所があるのはいいことだよ?」
和皇国ではその昔、遊郭で稼げなくなった遊女が山に捨てられるということがよくあった。現代ではそのような非人道的なことはないが、経済的に自立することのできなかった遊女は貧困生活者として不遇な末路を終えることが多かったのだ。
咲さんは店の女の子を協会員にしようと提案した辻のことを考えていた。
辻ちゃん、好きな子ができたのかな?
そんな咲さんの思いを隆一は言葉にした。
「辻ッチは店の子に惚れちまったのかね。」
咲さんは栗色の瞳を潤ませて隆一を見た。
「うん、うまくいくといいね。」
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店との交渉が成立した夜、孝之はシェンとオンライン会議を行っていた。
「っちゅう訳で、遊郭の女の子ら、協会員にすることになったんや。」
「そうですか、大山先生は何と?」
「協会に危害を加える者でなければ構わん言うて、了承してもろううたわ。」
孝之はパソコンの画面に映るシェンの表情を伺いながら、
「シェン君はええ思う?」
と聞く。シェンは特に表情を変えることもなく、
「俺も別に構いません。でもその店もよく了承してくれましたね。」
と言う。
「それなんやけどな、、」
と孝之は、店側が出した二つの条件、女の子の身元を明かさないこと、協会員になっても店の出勤要請に応じることについて説明した。
シェンは会員を匿名にすることに関しては、RMSのニックネーム機能を使えば対応できると言った。PSチップによる個人認証において内部に保存されているDNAチェックサムと誕生日時が重要で本名は飾りにすぎないということだった。タイムスタンプに関しては一卵性双生児などを区別するためミリ秒単位で記録してある。
「せやけど、女の子らのレベルどないして上げればええんやろ? ずっとレベル1のまんま言うのもかわいそうやしな。」
孝之はそう言うと、パソコンの横に置いてあった湯呑みを取りお茶を飲む。
「RMSの職種にセックススキルがあるのでレベルは性的サービスで上げることも可能です。」
シェンは平然としてそう答えた。孝之は驚いて飲んでいたお茶を思わず噴き出す。
「な、なんやて!?」
シェンによるとRMSで性的サービスを提供する場合、予約する者はレベルの制限だけでなく性病検査なども必要で、利用者のDNAチェックサムの履歴は暗号化されて保存されるとのことだった。
「いやはや君も大山会長も、よう思いついたな。どういった名目でCP付与すんの?」
「貢献の名目としては、コミュニティ内の性病の管理、性犯罪の抑制ですかね。」
「なるほど、LSUスコアにも関連づけとんの?」
「ええ、性病の中には致命的なものもあるので管理が必要ですし、性の捌け口がなければレイプで人が殺されることもありますから。」
「ポイント加算レートは?」
「初期値は遊郭の利用料金を参考にしています。」
「ちゅうことはかなり高いレートやな。」
長期的には、大山は婚姻制度自体を見直す考えでいた。養育に不適格な親の元に生まれた子供たちを救済するためである。家庭内暴力、育児放棄、そのような理不尽に晒される子供たちが出てくる原因はセックスパートナーと養育者が同一であるべきという拘束条件があるからだ。子を育てるのは養育スキルを持った者でなければならない。生まれた子供は原則的に託児所に預け、自分で育てたい親は養育スキルを取得して託児所で働くしくみにするのだ。もちろん大多数の親は自分の子供を育てるために養育スキルを持つだろう。しかし養育スキルを持たない不適格の親は子から隔離されるだろう。そのような親の存在に対応するために遺伝子の管理ができるセックススキルをRMSに入れることは必須であった。宗教的には冒涜的なこの考えも将来では当たり前になると大山は考えていた。
「他にはどんなスキル考えとんの?」
と孝之は尋ねる。シェンは、
「あとは格闘スキルですかね。暴力は職業として管理した方が効率的です。将来、協会内部に限らず、外部からの攻撃に対しても治安維持活動が必要になるでしょうから。」
と答えた。
「それは僕も考えっとったわ。 自給生活協会は性善説が基本になる思うんやけど、世の中、ええ人ばっかりやないしな。」
格闘スキルは柔道、空手、レスリング、剣道など、道徳教育を受けた有段者に高いQPが加算される。協会内の警備や護衛、違反行為の取締りなどの治安維持活動をすることでCPが加算される。ただしモラルに反した行動をした場合、QP、CPともに大きく減算される。
格闘スキルが必要にならんのが一番ええんやけどな
と孝之は思いながら静かに茶を啜った。
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数日後、湖岡町の支部の生活棟に華やかな集団がやってきた。
「こんにちはー、お世話になりまーす。」
集団の先頭にいたショートカットの髪型の若い女の子が明るく挨拶した。
「サクラちゃん、久しぶり、すごく綺麗になったね?」
咲さんが笑顔で迎え入れる。
「スミレ姉さん、お久しぶりです。」
スミレとは咲さんが遊郭で働いていたころの源氏名である。
咲さんの後ろでその様子を見ていた孝之は、サクラの両脇に立つ屈強な体格の男たちを見て、
「なんや、怖いお兄さんもおるんやけど。」
と言う。サクラはニコッと笑って、
「用心棒の澤田さんと三島さんです。」
と二人を紹介した。澤田と三島は軽く会釈すると「店の子に手え出したらどうなるか分かってんだろうな」みたいなオーラを出して孝之のことをじろりと見た。すると孝之の横にいた隆一が、
「よう、澤ッチに三島ッチ、元気にしてたか?」
と声を掛けた。二人は隆一の方を向くと、
「隆一さん、お久しぶりっす。」
と言い、頭を下げる。孝之は驚いて隆一を見た。
「隆一君の知り合いなん?」
隆一は頭を掻きながら、
「なははは、昔やんちゃしてた頃の後輩っすよ。」
と言う。孝之は唖然として、
「君が一級建築士持っとんの未だに信じられへんわ。」
と言う。人は見かけによらないものなのである。
「みんな、疲れたでしょう、中に入って。」
咲さんがそう言うと、女の子たちは、
「わー、外はボロっちいけど、中はけっこうキレイじゃん。」
とか言いながらスーツケースを転がしてぞろぞろとアパートの中に入ってきた。そんな様子を辻は少し離れたところから、そわそわとしながら見ていた。そして、集団の最後尾を見ても早苗がいないことに気付いて呆然とする。
遊郭の女の子たちが全員アパートに入ると、辻は一人でポツンと立ったまま、しばらくアパートの入り口をじっと見つめていた。すると入り口からサクラが出てきて、キョロキョロと周りを見渡し、辻を見つけると駆け寄ってきた。サクラの後ろには用心棒の澤田も付いてくる。
「あの、あなた、もしかして辻さんですか?」
サクラは辻にそう言って声を掛けてきた。
「え? あ、はい、そうです。」
辻はサクラと横にいる澤田を交互に見ながらそう答えた。
「コノハが、これをあなたにって。」
と言って二つ折になった紙切れを辻に渡した。
辻はそれを受け取ると紙を開いて中を見た。
<辻君へ>
<お金貯まったからお店を辞めることにしました>
<私のことは心配しなくていいよ>
<ありがとう>
辻は黙ったまま紙を見つめ続ける。サクラはそんな辻の顔を傍で見ていた。そして澤田は後ろで二人の様子を眺めている。
「コノハさん、元気にしてましたか?」
辻はサクラにそう尋ねた。
「はい、コノハは元気でしたよ? 目標のお金貯まって、すっきりした顔で店を卒業しました。」
「そう、、ですか、、元気で良かった、、」
辻はそう言うと俯いた。
これでいいんだ、本多さんが、ちゃんと元気でいてくれれば、僕はそれで、、、
「あの、大丈夫ですか?」
サクラは辻に声をかける。辻が俯いた顔を上げると、眼鏡の奥から涙がボロボロと止めどなく流れていた。
「僕は大丈夫です、コノハさんの伝言、ありがとうございました。」
そう言ってサクラに深々とお辞儀をした。
サクラは辻に近寄ると、彼の頬を流れる涙を人差し指で拭って、そっとキスをした。
「コノハのこと想ってくれて、ありがとう。」
「そんな、僕は、何も、、、うっ、うっ、うっ、、、」
「良かったら店に遊びに来てくださいね。」
サクラはそう言うと澤田を連れてアパートに戻って行った。
辻はサクラの後ろ姿に、
「ありがとうございました。」
と再び礼をすると、涙で曇った眼鏡を掛け直し空を見上げた。
次回は第1パーティーの話になります。