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今日から学校と仕事、始まります。②莞

無くしても探せる

作者: 孤独

バァンッ


机を叩いてからのセールストーク。

弓長昌のプレゼンが始まった。


「皆様!何かと出歩く際に持ち歩く物が多くありませんか?私も、お財布、スマホ、帽子、スーツ、ペン、パンツに、彼女に……まぁ色々と!」


冗談を交えつつ。

今回彼がプレゼンする事になっているのは、お年寄りにオススメしたいもの。


「お財布をどこにやったっけ?銀行行くのに、印鑑と通帳、免許証……。スマホやイヤフォン……!小さい物をどこにやったか忘れちゃった!そんな悩みがあると思います!便利だからこそ、色んなところに持ってちゃうなんてこと!そんな時にはこれ!」


弓長が机の中から取り出したのはシールと、スマホ。……スマホの方はアプリの方だ。


「その名も”場所わか~る”シール式、10枚セット!この薄いシール!このシールにはなんと位置情報を飛ばす仕組みが施されたハイテク!!スマホの位置から15m以内までなら、シールの位置を特定できるんです!凄いですね!」


財布やカードなどに、このシールを貼り付けるだけで。スマホからそのシールの位置情報を取得できるというもの。見当たらない、無くした時にはとても便利な力だ。汚い部屋の中でもスマホから15m以内なら位置を教えてくれる。


「スマホのアプリもとーっても簡単!ソフトを開く、場所を確認する。それだけで物の位置を特定できます!!さ・ら・に!!シール一つ一つには名前を付ける事ができまして!簡単にどこに何があるかも分かるんです!お財布は大丈夫だけれど、滅多に使わないであろう大切な物もあるはずです!そーいうのにも便利です!勝手に捨てられてるかもしれませんが!ははははは!」



整理整頓が苦手な人。探すことが苦手な人にはオススメしたい商品。

お値段はちょっとするが、場所がすぐに分かれば十分なのは10個ぐらいでいいだろう。

アプリも含めて、中々良い買い物であった。


「ありがとうございました!!」


弓長は深々とお客様達に頭を下げるのであった。



◇         ◇



そんな商品が発売され、1か月。

2人の男達はスマホで非合法に作られたアプリを操作し、閑静な住宅街を散策していた。


「世の中、便利になりましたねー」

「便利はいいが、人の良い奴が増えたと見るべきだ」


お客様よりも高値で売ってきた”情報”というのがあった。

大事なのはお客様の個人情報。


「まさか俺達のスマホから他人のスマホの位置を確認できるなんてな」

「もっと言えば、財布や通帳の位置なんかも……最近売られた発信するシールから分かるってな」


弓長の説明では15m以内と言っていたが、それはまったくの嘘であり、電波をキャッチできる範囲は軽く500m以上、離れたところからでも探れる。

お客様に売っているアプリでは15m以内でしか確認できないよう、プログラミングされていたのだった。おまけに取得できるのは位置情報だけでなく、シールに付けていた名前もしかり。

スマホや鍵といった物の位置情報が移動していれば、外出しているのは明らかで。どのような生活をしているかまでも、スマホを通して悪い他人が簡単に知れるのだ。


そんな情報をとんでもない額で売っていたのだ。

開発者と営業さんは……。



悪用する人間こそが悪いものであるが、そんな悪いことを知りながらも直しもせず、利用して金にしてしまう。

公に出る前に警察の方に向かっていた弓長はそこで、


「悪魔じゃーないですよ。ホントに。許してくださいよ~。警察さん」

「……あなたの企業はゲーム会社と言いつつ、国や人のためとは言い難い代物ばかりを作成していますよね」

「私達の力でそーいう悪いことする人達をとっ捕まえられるんですから!ね、ね、ねー!」

「犯罪者用のアプリを開発したのも、あなたのところにいる宮野というプログラマーでしょ」

「そのアプリを利用して点数稼ぎさせてやってるじゃーないですか!麻薬中毒者の位置情報を簡単に取得させて、麻薬の売人を捕まえられるようにしたじゃないですか!……あ、警察と関係のない売人の逮捕の協力でしたか?」



………………



お互い、首や心臓といった急所を掴み合っている中。もちろん、その他の関係者の情報をも握っているからこそ、弓長は軽く伝えに来た。情報を握っているだけではなく


「私達にはあなた方以上に情報を拡散できる力もあります。仲良くやりましょうよ!正義という決め事で動いている、警察さん達」

「…………嘘だろうと正しかろうと、そーいう手は使って欲しくないものだな。穏便に……すまそう」

「ありがとうございます」


どうしても裁けない者達もいるというもの。

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