「「564219」 都市伝説ネタ13「564219」より」
その夜、美香は不思議な夢を見た。
今思えばそれが夢であった事がとても幸せだったと心から思える夢・・・
それはいつもの朝だった。女子高生の美香はいつものように朝起きて食事を済ませると
化粧や髪型をセットして学校へと向かった。時折すれ違う他の学校の生徒たちが笑いながら歩いている。
通っている学校は美香の家から割と近い場所にあり、電車に乗ることもバスに乗ることもなく
徒歩でいけると言うとても良い環境だった。
そのためその朝もいつも通り学校へ向かって歩いていたのだ。
学校まで後数百メートルと言う場所で、自分の前方から見慣れない制服を着た女子高生が歩いてきた。
(見掛けない子だな・・・)
そんな事を思いながら美香はその女子高生とすれ違う距離に近づいた。
通常ならそのままお互いに歩き去っていくのだが、その女子高生は美香とのすれ違いざまに急に方角を変え
美香の隣に近づいてきたのだ。
そして・・・
「564219・・・・」
と、不気味な声で囁くとそのまま何事も無かったように去って行った。
「な、なんなのよ!!」
奇妙な出来事だったのは間違いない。美香は奇妙な感触を残したまま学校へ向かった。
学校が終わりその帰り道、美香は今朝のあの女子高生に会うのではないかと、気が気じゃなかった。
いくら意味不明とは言え、なんだか薄気味悪い。出来る事なら出くわしたく無かった。
しかし美香の不安を余所に、帰り道でその女子高生と出会うことは無かった。
家が目の前に迫ると、美香の緊張感は一気に緩んだ。もはや恐れる事はないのだ。家は目の前なのだから。
美香は鞄から家の鍵を取り出すと、それを使って鍵を開けた。「カチ」と言う開放音が響くと
美香はそのままドアノブに手を掛けた。
その時だった。
凄まじい殺気が美香の背後で止まった。それは人間を殺しかねない巨大な悪意の塊とでも言おうか。
憎しみと殺意の入り混じった想像を絶するような負のエネルギー。
それが美香の背後で止まり、彼女が振り返るのをじっと待っている。
いくら殺気と言えど、それが何なのか確認しなければならなかった。
美香は沸き起こる恐怖を必至で抑えながら背後を振り返った。
するとそこには今朝会ったあの女子高生が立っており、凄まじい形相で美香を睨み付けていたのだ。
そして「564219・・・・564219・・・」と叫びながら美香に近づいてくる。
「な、なによ!!あんただれ!?」
あまりの恐怖に尻餅をついた美香に、その女子高生は馬乗りになり、両手で美香の首を掴んだ。
「あぐう!うううう・・・・」
「564219・・・殺しに行く!!」
美香の意識はそこで完全に途切れた。
「そ、それでその後どうなったの?」
「それが自分の葬式が行なわれていたのよね」
「う、うそ!!」
「ホントよ。夢で本当に良かったわ」
美香は笑いながらそう言った。
美香は知らない。笑いながら夢の話をする彼女の背後に、巨大な殺気が近づいていた事を・・・。
「564219・・・・殺しに行く!!」
END