クリぼっちの名探偵たち
なろうラジオ大賞2の、推理モノ?
クリスマスだと言うのに、暇だった。
テレビを点ける気にもならず、そういえば、ラジオがあったことを思い出した。
「音も無いし、点けてみるか。」
ここで昔よく聴いていた局に合わせるつもりで、何とはなしに、ラジオの周波数をいじり始めた。
ザッ、ザーッザザーッ。
ーー「依頼だ、SAN-ta 12.25。」
どこかの番組に当たったのだろう。
渋い男の声がする。
ーー「茶色のトレンチコートを着た男が、喫茶店『トナカイの家』に居る。
マスターに言う合言葉は、『トリプルエスプレッソ、紅茶をつけて。ビスコッティを忘れずに。』だ。最後の依頼になることを祈る。」
ラジオドラマだろうか。
BGMは聞こえてこない。
それが台詞の終わりだったのか、男の声は聞こえなくなった。
ザーッザザー。
これでもう終わりだったのかと思った時、別の声がした。
ーー「今年も来たか……。また使うことになるとはな。tokarevTT-33。出番だ。」
息を飲む。
ひどく抑揚の無い声なのに、やけに耳に残る。
もし死神というやつが喋ったら、こんな声かと思うくらい、冷たくて、心臓がきゅっ、と縮まるようだった。
鳥肌が立っている。
ーー「おっと。傍受されていたか……。」
バキッパキパキッ。
ザーーーーーーー。
何かを壊す音がして、ラジオ番組は、突然終わった。
耳鳴りの静寂。
鼓動が大きく高鳴っている。
息をし忘れていたことを、思い出して、長い溜め息を吐いた。
「何だったんだ、今のは。」
苦いコーヒーを飲みたくなって、メニューを見るうちに、ふと、違和感があった。
エスプレッソは、小さなカップで飲む、とても苦いコーヒー、と載っている。
ビスコッティは、コーヒーに浸けて食べる焼き菓子。
さらに紅茶を飲むのか?
待てよ?
with tea?
Tea、tokarevも、Tだ。
脳内に閃きが走る。
「これは、殺しの依頼……!」
「トカレフを身に付けての依頼、つまりは殺し屋、トリプルは三、つまり三人まで、ビスコッティは甘い焼き菓子、つまり、報酬をはずめという事……!」
震える手で、メニュー横の、ラジオ番組表を確認する。
この時間の番組は……無い!
この店の電話番号を探す、これが答えなら、ここにかけて、確かめることが、正解のはずだ!
ぴんぽーん♪
三人目の正解者です♪
喫茶店『トナカイの家』の、クリスマスサービスは、いかがですか?
サンタクロースからの挑戦状は、まだ続きますので、どうぞお楽しみに!
メリー・ミステリー・クリスマス!
クリスマス投稿