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生徒会長の憂鬱  作者: 茅葺クッキー
1/3

朝。

登場人物紹介

*********************************************

三浦みうら 荘二郎そうじろう・・・鷹の丘中学校生徒会長

綿部わたべ 日影ひかげ・・・一年副書記

爺ちゃん(じい ちゃん)・・・じいちゃん

 6時45分。布団に入った時、11月22日は「明日」と呼ばれていたのに、いつの間にか「今日」に変化している。

 俺は鷹の丘中学校第64代生徒会長、三浦荘二郎だ。趣味はアニメ、サイクリング。後は・・・

何だったけな。サイクリングと言っても長らく自転車に乗っていない。時間があんまりないのだ。


 まだ眠い目を擦りながらおぼつかない足取りで歩き出す。軽く朝食をとり、身支度を済ませ家を出る。


 国数理社英の5教科に加えて分厚い家庭科の教科書を無理矢理詰めた通学カバンがドッシリと肩にのしかかる。全く、こんなに重いなら昨日少し学校に置いてくればよかったのだ。所謂「昨日の自分」に愚痴をこぼしながら、ゆっくりと歩みを進めていく。


 橋を渡ると学舎が見えた。ふと下を見ると川が流れている。近くを流れる二流河川から枝分かれしているこれは、普段通り穏やかな様子だ。海の土の汚れが潮の満ち引きで浮き上がり、油膜のように川を流れていくもんだから、川はいつだって汚れて見える。汚れと言っても、自然な汚れのようで、他の川と遜色なく草が生え、魚が泳いでいる。とはいえ、夏に大雨が降って川が形相を変えて濁流と化したときは流石に心配した。今考えてみると、ここが浸水するような状況なら埋立地である西の方は既に海なのだからあまりにも現実味がない。


 「川を見ると季節を感じる」


いつか爺ちゃんが言っていた言葉だ。以前の俺なら季節を感じることも容易かったのだろう。

だが、今の俺にそんな余裕はない。


誰もいない校門を通る。何のためかはわからない。


勢いで会長に立候補してしまった。毎年激しい選挙戦が繰り広げられるのが生徒会長選というものなのだが、

珍しいことに今年の会長候補は俺一人だった。選挙規定により、複数候補者が出ない場合は信任投票となる。

 とは言っても、不信任になり生徒会役員が決まらないとなると教師の事務的な作業に障害が生じることになる。投票の最終集計を行うのは教師陣であるから、信任投票など民意が反映されたもんではないと気付いたのはしばらく経ってからのことである。


 さて、6時45分に起きるのも、誰もいないような時間に門をくぐるのも8時から始まる「あいさつ運動」のためである。大抵俺が一番乗りで集合するのだが、今日は珍しく1年の綿部が早かったようだ。

「あー会長あーw」

なんとも言えないかったるい口調で話しかけてくるもんだからマイッてしまった。

第一、こいつ先輩を舐めすぎてないか?所詮応援演説で選挙に勝った分際でよくもこんな態度が取れるもんだ。


8時には14名全員が集まり、いつもと何一つ代り映え無くあいさつ運動を始めていく。

師走を目前にした朝の風は無防備な指先に堪えた。


一日頑張るしかなさそうだ。

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