00:僕はガイコツでした
ある晴れた秋の日の朝、朝日が昇り街を照らし始めるころに、僕は死んだ。
僕の命をつなぐ機会が狂ったように鳴り響く中、看護師と医師がせわしなく動き、何とか僕の命をつなごうと動き回るのを感じながら、意識が遠のいていった。
機械につながれていたけれど、最近やっと人工呼吸器だけは外せるようになったし、流動食も食べられるようになった。病気で全身の臓器がやられて排泄もできなかったけれど、少しずつできるようになってきていた。
なのに、この間受けた検査で脳に何か大きな塊があるのが見つかった。何かはわからない。何か腫瘍かもしれないし、血管が詰まっているのかもしれない。調べたいが、調べようにも僕はガイコツだから、体力も気力もなくて、原因を取り除くのも、まして調べることもできないのだ。
その塊が破裂した。
頭の中で何か広がるような感覚がし、だんだん全身がだるくなって、目の前が真っ黒になった。
僕が最期に見たのは、せわしなく動き回る看護師や医師、祈る母。そしてなぜか、まだ病院にいない義理の母や二人の妹、泣きながら飛行機を待つ姉に、涙をこらえて運転をする父の姿だった。
――ごめんね
声に出せない思いを抱えながら、ついに僕は黒い闇の中に取り込まれてしまった。
40歳、良く晴れた朝日の昇るときのことだった。