表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

00:僕はガイコツでした





ある晴れた秋の日の朝、朝日が昇り街を照らし始めるころに、僕は死んだ。





 僕の命をつなぐ機会が狂ったように鳴り響く中、看護師と医師がせわしなく動き、何とか僕の命をつなごうと動き回るのを感じながら、意識が遠のいていった。

 機械につながれていたけれど、最近やっと人工呼吸器だけは外せるようになったし、流動食も食べられるようになった。病気で全身の臓器がやられて排泄もできなかったけれど、少しずつできるようになってきていた。



 なのに、この間受けた検査で脳に何か大きな塊があるのが見つかった。何かはわからない。何か腫瘍かもしれないし、血管が詰まっているのかもしれない。調べたいが、調べようにも僕はガイコツだから、体力も気力もなくて、原因を取り除くのも、まして調べることもできないのだ。



 その塊が破裂した。



 頭の中で何か広がるような感覚がし、だんだん全身がだるくなって、目の前が真っ黒になった。



 僕が最期に見たのは、せわしなく動き回る看護師や医師、祈る母。そしてなぜか、まだ病院にいない義理の母や二人の妹、泣きながら飛行機を待つ姉に、涙をこらえて運転をする父の姿だった。




――ごめんね




声に出せない思いを抱えながら、ついに僕は黒い闇の中に取り込まれてしまった。


40歳、良く晴れた朝日の昇るときのことだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ