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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

即死能力持ちの俺が平和な国を作ってしまった件

作者: 長倉千広

 俺の名前は広畑シンヤ。

 神様の手違いで死んでしまい、自分が殺したいやつを一瞬で即死させられる能力、いわゆる即死チートってやつだな。そんでもって異世界に送られ、いまはなんやかんやあって一国の国王をしている、気楽にみえるかもしれないけど、これでけっこう大変だ。べつに戦争とか治安維持とかが大変なわけではない。さからうものはみな即死させられるんだから。

 2年前だったかな。朝おれが自分の家(というか城)で起きると周りがもう大量の敵軍に囲まれてるわけよ。もうあっちは勝利を確信して雄叫び上げてたり騒いだりしてるの。正直めちゃくちゃうるさいの。耳元で大太鼓叩かれてるくらいの音。とりあえずおれはこんな戦況をつくりだした防衛大臣を即死させて城の見張り台へと行ったんだよね。でおきまりのフレーズ。


  「全員、死ね!」


って言うともうものすごい勢いで敵軍が倒れてくの。地平線の向こうまで埋め尽くしてたやつらが次の瞬間には息してないわけ。しっかしこれだけやってもまだおれに対抗しようと思うバカがいるんだなと思ったわ。いやー快感だったわ。でそんとき大臣のだれかが入ってきたの。自己紹介の真っ最中なんだよ。死ねよ。

 

  「シンヤ様。シンヤ様」


  あまえんぼうの農業大臣、シェリアだ。


  「なんだよ、シェリアか。いまいいとこなんだよ。死ねよ」


  彼女は死んだ。しょうがない。


  死に顔の彼女もわいいものだ。いっておくとこの城におれ以外の男はいない。大臣ですら全員女だ。まあ半分おかざりだけどな。とりあえずその顔で一発抜くと、ヒマなので城下へ散歩することにした。


 城下へ着くとおれの顔を見るなり全員が怯えて頭を下げてくる。だが、本心ではない。何で本心じゃねえんだよクソが。まったくどいつもこいつもおれのことを馬鹿にしやがって。なめるのもいいかげんにしろよ。なぜかおれは無性に腹が立っていたので、ついに言ってしまったんだわ。


  「てめーらふざけんなよ。全員死ね」


 言った途端頭を伏せていた城下町のやつら全員が死んだ、おれのことをバカにしたのが悪い。


 おれのなかでタガが外れた。  


 それからおれは目につく人を殺して回った。だれもおれに逆らえない。

 大国に乗り込んで国民全員死ねと言えば全員死んだ。

 川という川は赤く染まり、世界は悲鳴で包まれた。


 でそっから2年よ。もうだれものこってない。


 いやー平和だわ。








 2025年、東京のとある病院。

 医者と看護婦、そして頭に装置を取り付けられて眠っている少年がいる。

 「いやー、やっぱりこういう結果になりますか……」

カルテを見て看護婦が言う。

 「集団診断で異常傾向が見られたからね。見付けだせてよかったよ。」

医者が言う。

 「さて、今度は彼を処理しないとね。カルテちょうだい。」

 「はい」

 そういうと医者はカルテに「消去」と大書きした。

 「しょうがないね、広畑くん。さいごにいい思いできてよかったな。」


 医者はそう言って、濡れた真っ白なタオルを彼の顔にそっと被せた。






 日本は今日も平和な国でした。

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