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5、大地母神の森へ旅立つ

 治癒師(ヒーラー)のカランは、エルザの〈冬枯れ病〉を治せるのは自分しかいないという。病気の治療に必要な、カオーリンの出生土(しゅっしょうど)も見つけだせるとうけあった。


 その対価に5万ゴールドを請求してきた。


 人の弱みにつけこむようで、ランドは不快をおぼえる。


「そう言いきるからには、出生土のありかの目星がすでについているんでしょう。その産地がどこなのか、いまここで教えてくれませんか」


 ランドはカランに強い態度で要求した。


「わたしにはわかりません」カランがしれっと言う。


 文句をつけようとしたランドはカランに制される。


「それをご存じなのは、大地の精すべての母であらせられる大地母神(だいちぼしん)です。わたしは、その偉大な神に会い、おうかがいするつもりです」


「うへっ、おいらのおかん」


 ゴーラが、裏返った声をあげた。


 ゴーラは、ヒルキャニオンの洞窟の岩壁から、大地母神によって産みおとされた。大地の精ではないが、大地の神の子であるのに変わりない。


 エセル伯爵はカランの要求をのんだ。治療費の半額も前金で払うと約束した。


「半額の2万5000ゴールドは貨幣ではかさばるので、宝石でお願いします。大地母神のもとへは、明くる朝に出発しましょう。それまでに必要な宝石の手配をすませておいてください」


 カランがそう言って、広間のテーブルのそばの執事を呼んだ。


「わたしの部屋に案内してください。今夜はもちろん、この屋敷に泊まります」


 執事がエセル伯爵の顔色をうかがっている。


 カランは、伯爵の返事も待たず1人で大階段に向かう。カランが2階の回廊の奥に消えると、伯爵がランドを呼んだ。


「カラン殿は優れた治癒師(ヒーラー)であっても冒険者ではない。大地母神のもとに安全に行って帰ってこられるよう、カランの護衛についてくれないか」


 なにかふくむもののある顔つきで依頼した。


 前金の2万5000ゴールド分の宝石を持ち逃げされたら大変だ。カランに渡した宝石の護衛をするように、そんなふくみがあるのだろう。


 エセル伯爵は素直に頼まない人だ。ランドは承知した。


 ヒルチャーチの教会が午後6時の鐘を鳴らした。ランドとチビット、ゴーラも今夜はエセル伯爵邸にやっかいになる予定だ。


 その夜、ランドは、屋敷の2階の回廊を自分の部屋に歩いていた。


「あなたは本当のお母さんじゃない。二度とわたしに顔を見せないで」


 叩きつけるような声が聞こえ、エルザの寝室から女性が追い出された。


 エセル伯爵に雇われて、エルザの母カオーリンの役を演じていた女性だ。彼女の目の前で、寝室のドアが音をたてて閉じた。


「カオーリンさん……と呼んでいいかどうか」


 ランドは、しずんだ様子のその女性に話しかけた。


「カオーリンでけっこうです。わたしがにせものとエルザに知られても、ひきつづけエルザの母親役をつとめてほしい、伯爵からはそうおおせつかっていますから。それでも、その役はもう無理みたいです」


 彼女の表情には、悲しみと苦しみの色が濃くあらわれていた。


 1か月とはいえ、エルザの母親の役を演じて看病してきた。情がうつって本当の娘のように思っていたのだろう。ランドは彼女の心のうちを推しはかった。


 翌朝、がりがりと金属と岩がこすれる音でランドは目覚めた。


 開けはなたれた窓からの朝日をあびて、ゴーラがごっつい背中をこちらに向けて立っていた。手にした鉄やすりで自分のでこぼこの頭をけずっている。


 テーブルのカゴで寝ぼけまなこのチビットもいぶかしげだ。


「朝っぱらからうるさいよ。なにをやってるんだ?」


 ランドはベッドに起きあがってゴーラにたずねた。


「身だしなみなんだな。今日はおいらのおかんに会いに行く日なんだな」


 さも当然のように言い、頭をくしけずる作業に戻った。


 身だしなみだって? 髪なんか1本も生えてないじゃないか。ランドはあきれかえった。頭に生えたコケでもけずりとっているんだろう。


 ランドは、チビットと困惑の顔を見あわせた。


 軽い朝食のあと、ランドの一行は出発の準備をととのえた。大広間に降りると、すでにカランが待っていた。昨日と同じ黒いローブにマント、腰のあたりのふくらみは、前金の宝石の入った革袋だろう。


 世界最高の治癒師(ヒーラー)を自任するカランは稼ぎだっていいはずだが、質素な身なりに気をつかっている様子はない。エセル伯爵邸までは乗馬を使わず、てくてく徒歩で1週間かけてきたと聞いた。


 相当のしみったれに違いないとランドはふんだ。


 ランドとチビット、ゴーラ、そしてカランの一行は、午前中にエセル伯爵邸を出発した。屋敷のある低い丘をおり、ヒルチャーチの目抜き通りをぬけ、せまい林道をたどって主街道に出る。


「大地母神はあらゆる時空に遍在しています」


 ランドと並んで歩くカランが話している。


「そのおられる場所を感知できるのは、世界最高の治癒師(ヒーラー)であり、大地の大精霊使いでもある、カラン・セシル・ヴァ―ルをおいて他にはありません」


 端正な顔の表情を変えず当たりまえのように言いきる。


「大地の神さまは、そんなにたくさんいるんですか」


 ランドはたずねた。ランドとカランの前方をチビットが飛び、2人のうしろには、やすりで頭をつるつるにけずったゴーラが続く。


「偉大なる大地母神は1柱しかおられません。唯一の存在でありながら、あらゆる時代の異なる場所に、同時に存在しておられるんです」


 カランの説明を、ランドはまるで理解できなかった。


 あちこちにいて、どこにいるかわからない大地母神の、ここからもっとも近くに存在するポイントに案内するとカランは言う。それで充分だ。


 その道すがら、一面が焼け野原になった黒い土をふんだ。かつてランドが森林監視員(レンジャー)をつとめていた森の焼け跡だ。原因不明の森林火災の責任をとらされ、ランドはクビになっていた。


 そこは3か月近くがたったいまも、荒れはてた焦土のままだった。


 街道沿いの宿駅で昼食をとり、大地母神がいるらしい森の分岐にたどりついたのは、太陽がかたむきだしたころだった。神に会って戻ってくれば、日帰りは無理だろう。同じ宿駅に一泊する必要がありそうだ。


 ランドの一行は主街道から枝道に入った。


 曲がりくねったほそい道を歩くうちに、広大な森にぶつかった。左右に目の届くかぎり木立が続き、こんもり茂った葉むらの鮮やかな緑が空をおおっている。


 宿駅の主人によると、地元では〈癒しの森〉と呼ばれているらしい。この森のどこかに大地母神はおられるとカランは言う。


 ランドたちは、果てしなくのびる森ぞいの道を進む。


「大地には生命をはぐくむ力がそなわっています。大地の精霊使いはそれを癒しの力に利用します。この森を〈癒しの森〉と名づけた先人は、これだけ大きな森をつくりあげた土壌に、なにか神を感じるものがあったのでしょう」


 カランは歩きながらそんな話をしていた。


 ほどなく、緑豊かな樹々のあいだの獣道を、ランドの鋭い目は見つけた。カランが足を止めた。ここから森に分け入るらしい。


 案内人のカランが先に立ち、ランドとチビット、ゴーラは〈癒しの森〉にふみいった。ななめに射した木漏れ日が何本もの光のすじをつくっている。頭上をおおう枝葉の密度がしだいに増し、あたりは薄暗くなっていく。


 高い樹木の林立する、下草の多い似たような獣道を、カランは迷わず進む。それはすでに目的地がわかっている者の足取りだった。かすかに、きーん、と甲高い音がカランの体から発しているのをランドの耳はとらえた。


 魔力の源であるマナが共鳴する音だ。


 ハイランドの魔法学校で学ぶアリスが、魔法を発揮するときにも同じ音を発していた。その音は、カランを大地母神のもとにみちびいているのだろうか。カランもまた、魔法種族〈マナン〉の末裔なのか――。


 ランドは、先を歩くカランの黒いマントの背中を凝視した。


「もうすぐ、おいらのおかんに会えるんだな。きっと美人に違いないんだな」


 ゴーラの重い岩の足どりは、なんだか浮きうきと軽そうだ。


「大地母神があんたの顔にそっくりだったら悲劇だわあ」


 ゴーラの頭に座ったチビットが憎まれ口をたたいた。


 しばらくして森が開けた。周囲をおおう緑のなかにぽっかりと、半径20メートルほどの、大地がむきだしの丸い空間が広がっている。


 カランがマントをひるがえして前に進みでた。


「わたしは大地の大精霊使いにして、世界最高の治癒師(ヒーラー)、カラン・セシル・ヴァ―ルである。大地の精霊をすべる大地母神よ。そなたの忠実なるしもべであるわたしの前に、その偉大なるお姿をあらわしたまえ」


 カランのすきとおった声が空き地に響きわたった。


 ランドは息をこらして、大地の神の顕現を待つ。


 周囲の森の枝葉をさやさやと揺らして風がわたる。むきだしの地面に吹きこんだ風が渦巻き、カランの金色の髪を舞いあげる。


 大精霊使いの立つ空き地には、なんの変化もなかった。


「偉大なるお姿をあらわさないじゃない。本当にここにいるのかしら」


 チビットが、カランの能力に疑いの目を向ける。


「おいらのおかんは奥ゆかしくて、恥ずかしがっているんだな」


 それをゴーラがフォローする。


「きっと大地母神はあんたに会いたくないのよ」


「そんなわけないんだな。おーかあ~ん。おーかあ~ん」


 ゴーラがカランの横に並んで、声をかぎりに呼びかけだした。


「なんの用だ? おまえらは何者で、なにしにここに来た?」


 腹に低く響くような声が、うしろのほうからした。


 森が切れる場所の立ち木に、ななめによりかかっていた丸太が動いた。その丸太は、細く節くれだった手足をもち、頭の部分に繁茂する草のあいだから、黒いうろのような片目をのぞかせる。


 あれは木の化身のウッドマンだ、とカランが教えた。


「大地母神は間違いなくこの近くにいらっしゃいます。大地の神につかえるウッドマンの存在がその証拠です」


 そう続けて、周囲の大地をひとわたり見まわした。


「ぼくたちは怪しい者ではありません」ランドはウッドマンに答える。「大地母神に会いにまいりました。カオーリンと呼ばれる大地の精の出生土の産地を、大地の神に教えてもらいたいんです」


「そいつはいけない。出生土のありかは他人に明かしてはいけない決まりなんだ。おれの本体がやどる〈宿り木〉だって秘密なんだから」


 ウッドマンのゆったりした声は、その体内に低くうつろに響く。


 チビットが、ゴーラの頭からウッドマンのもとに飛ぶ。


「カオーリンにはエルザという娘がいるの。エルザは〈冬枯れ病〉にかかっていて、その治療には、彼女の母親の生まれた土がどうしても必要なのよ」


「しょうがないなあ。どうしてもって言うなら、おれの〈宿り木〉を教えるよ」


「あんたの〈宿り木〉なんて、どうでもいいのよ」


 ふいにウッドマンの、黒いうろのような目が見開かれた。


「ああっ、大変だあ。大変だあ」


 のんびり受け答えしていたウッドマンが騒ぎだした。枝葉の生えた細い手足をばたつかせ、丸太の胴体でその場をくるくる回りはじめる。


「おれの〈宿り木〉が燃えてる。誰か助けてえー」


 40メートルの空き地をへだてた森のふちから黒煙がゆらめいている。そこに、ぽっと火の手があがった。外側の1本の木が燃えあがりだした。


「このままでは森林火災になる。なんとかしてふせがないと」


 ランドは言い、ゴーラをうながして走りだした。


 火もとは、森のふちに立つ、大きなカシの木だった。すでに枝葉全体に燃えひろがり、隣の数本にも延焼しつつある。


「火もとのカシを倒して、火の広がりを食いとめよう」


 ランドはゴーラに指示をとばした。


 ゴーラが背中にかついだウォーハンマーを取る。その先端のとがった側を、カシの幹の根もとに叩きつけた。炎をあげる枝葉が揺れ、火の粉が舞う。


 ウォーハンマーは樹木の伐採に適した道具ではないが、ゴーラがくりかえし振り下ろすうちに、しだいに幹がかしいできた。


 そのときランドの目は、燃えあがる葉むらのなかに直径30センチほどの火の球をとらえた。かつて職場の森林火災で目撃したものに似ている。


 ランドはチビットを探した。ランドのななめ上を飛んでいた。


「弓に〈増強魔法(エンチャント)〉をかけてくれ」


 ランドは、チビットの魔力で輝くコンポジットボウを構え、炎につつまれた枝ごしに飛びかう火の球に狙いをつける。


 ぶん、と弦が鳴り、放たれた矢が火球の真んなかを射抜いた。かぼそい火のすじをひいて火球が落下していく。


 頭上で、めりめりと音がした。炎上したカシの木がこちらにかたむいている。黒煙と紅蓮の炎をあげる葉むらがランドの頭上に迫ってきた。


 ランドはすぐさま斜めに走って避難する。


 巨大な火炎のかたまりとなったカシの木が、地響きをたてて倒れた。「うへっ」ゴーラが倒木に巻き込まれたらしい。


 黒煙をあげて燃えつづけるカシの木が、森の空き地の、むきだしの地面に横たわっている。火もと周辺の木にも火が広がりはじめていた。


 なんとか延焼を食い止めないと、ランドはその方法を思案する。


 そのとき、燃える木のまわりの木立がしなって動きだした。いくつもの枝葉がよりあつまり、ばたばた――と火もとの火をはたき消そうとしている。


「〈癒しの森〉は自衛をしだしたようです。ほどなく鎮火するでしょう」


 ランドのかたわらに立ったカランが言った。


 燃えて横たわるカシの根もとの近くで、赤い光がふくらんだ。つぎの瞬間、光点から閃光がほとばしり、どん――爆発した。


 爆風に吹き飛ばされたランドは、受け身をとって倒れると、すぐさま地面に体を伏せた。熱風がランドの髪をなぶって過ぎる。


 あたりが静まり、ランドはそっと身を起こした。


 白い煙がただようなか、黒こげになったカシの太い幹の下から、うつぶせのゴーラの頭がのぞいている。チビットとカランの安否はわからなかった。


 火もと周辺で延焼していた木立はあとかたもない。半径5メートルの範囲は焦土と化していた。その爆発点には、赤い髪を腰までながした30歳くらの女性が、すすけたなにかを抱えて立ちつくしていた。


 女の腕のなかにいるのは、生後間もない赤んぼうの形をした、黒いすみのようなものだ。その形がくずれ、女の腕からすすとなってこぼれおちる。


「おのれ、よくもわが子を射殺したな」


 ランドに向けられた女の瞳に、憎悪の炎がやどる。


 ――自分が射た火球の正体は、あの赤んぼうだったんだ。かつての職場で発生した森林火災で目撃した火球も、炎の赤子だったに違いない。その火災の種を産みおとしたのが、あの赤い髪の女なんだ。


「われはファティマ、火の化身の怒りを思いしらせてやる」


 ファティマの長い髪が火をふいた。ファティマが片手を振りおろすと、そこからほとばしる火炎が、しなる鞭となって襲いかかってきた。


 その攻撃をランドは横に転がってよける。鞭が打ちつけた大地で火花が散る。起き上がりざま、矢をとって弓につがえた。ごうっ、と炎の鞭が飛ぶ。かわすのが精いっぱいで、弓の狙いがつけられない。


 ランドは、黒こげのカシの陰に身をふせ、ファティマの鞭をさける。炭と化したカシが、炎の鞭をあびて再び燃えあがった。


「うへえ」カシの幹の下からゴーラがはいずりだしてきた。


 炎上する幹ごしに、ランドはファティマに狙いをつけて射た。まだ〈増強魔法(エンチャント)〉の効果をえた光る矢は、炎の鞭のひとふりで叩きおとされた。


 ファティマが頭上で火炎をふりまわし、不敵な笑みをうかべる。


 そのとき、チビットの〈魔法の矢〉(エナジーボルト)がファティマの胸をつらぬいた。ファティマが悲鳴をあげて地面にひざをついた。


 ゴーラがウォーハンマーを手に、ランドのもとにやって来た。チビットがその頭上を飛ぶ。カランはどこかで傍観を決めこんでいるのだろう。


 ファティマがよろりと立ちあがった。炎の鞭は消えていた。顔にかかった火の髪のあいだから、憎悪に燃える瞳がのぞく。


「ファラーンク、ファラーンク」


 空き地の周囲の森に向かって、ファティマが大声で呼びかけだした。応える声はない。仲間があらわれる前に――次の矢をランドはつがえる。


「ちくしょう。いつも肝心なときに、どこをほっつき歩いてるんだろうねえ。こうなれば、おまえら全員を吹きとばしてくれる」


 ごおおっ――ファティマの全身から火炎が吹きあがった。火の化身を包みこみ、直径2メートルの火球となった。そこから発する熱波が大気をびりびり震わせる。


 ――こんどの爆発はさっきの比じゃない。


 ランドとチビットは、ゴーラの岩の体の陰に身をひそめた。


「うへっ。おいらだって耐えられるかどうかはわからないんだな」


『この〈癒しの森〉で争いはおやめなさい』


 大地を震わせて声が響いた。


 いまや3メートルにふくれあがった火の玉と、ランド、チビット、ゴーラのあいだの地面が大きく盛りあがりだした。


 緑の生いしげる草むらの頭部がせりあがり、つる草の長い髪を左右にあふれださせ、さしわたし4メートルある若い女の顔がみるみる生えてくる。


 女の顔の表面は土色で光沢がある。優しい目に愛情をたたえ、慈愛の表情をうかべている。さらに豊かな胸があらわれ、ふくよかな腰、しなやかな太ももから下までが生えてきた。


 つる草の髪が繁茂する頭は、かがんでいても森のてっぺんまでとどく。立ちあがれば、30メートル近い身長があるんじゃないか。見上げるランドの上に巨大な影がおおいかぶさってくる。


 大地母神――ランドは驚きに目を見開いたままだ。


「おいらのおかん」ゴーラが甘える声をあげた。


 大地母神の巨大な腕がのびてきた。爆発寸前の燃えあがる火球をものともせず素手でつかみあげる。じゅっ、と火がもみ消された。


「ちくしょう、ちくしょう」


 森の高みに持ちあげられた手のなかに、悪態をつくファティマの姿があった。



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