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2、娘もまた〈冬枯れ病〉にかかる

 サンロランはランタンを片手に、古い寺院の扉をきしませて開けた。うしろには、武装した屈強な兵士がついている。用意してあった(すき)を取りあげ、夜の闇に丸い明かりを揺らしながら踏みだした。


 寺院の角を曲がると、見上げるほど高いクスノキが黒くそびえている。その木のそばにランタンを置くと、サンロランは(すき)で根もとを掘りだした。


「培養土が足りなくなったというのは嘘じゃないだろうな」


 夜の静寂に兵士の低い声が響く。


「どうして、わたしが嘘をつく理由がありましょう。せっかく育った〈生命の玉〉(ライフボール)に肥料を欠かせたら、もともこもなくなってしまいます。このクスノキの根もとにはいい土壌が広がっているんです」


 サンロランは地面を掘りながらこたえる。


「おれをだまして逃げようものなら、すぐにおまえの首をはねるぞ」


「ご冗談を。わたしがいなければこの研究は完成しませんよ」


「地質学者なら他にもいる。おまえの代わりならいくらでも見つかるぞ」


 そんな兵士の言葉にはかまわず、


「おっ、やわらかい層にいきついた。ここらへんの土で良さそうだ」


 サンロランの堀りだした土が山になり、足もとの地面に、直径30センチ、深さ40センチほどの穴があいていた。


 サンロランはふところから、培養土の採取用の革袋を取りだした。穴にかがみこんだ拍子に、サンロランのかかとがランタンを蹴りたおした。なかのロウソクが消え、闇のなかに兵士の怒りの声が響く。


 そのすきに、サンロランは革袋からビンを取りだした。そのなかに収められているのは、赤い光を内部にゆらめかせる大小4個の球体だ。ひとつは12センチほど、残りの3個はその3分の1くらいの大きさだ。


 玉の発する光が兵士に気づかれないよう、サンロランは自分の体でおおい隠しながら、土中に置いた。すばやく土をかけ、外から見えないていどにうめる。


 ランタンの明かりがついた。


「きさま、わざと倒しやがったな。闇に逃げるつもりだったんだろ」


 兵士の抜きはなった刃が、ランタンの光を反射する。


「とんでもありません。逃げるつもりなら、逃げておりましたでしょう。わたしはこのとおり作業を続けています。明かりがなくて、困っていたところです」


 穴に両手を差しいれたまま、サンロランは首をねじって釈明する。


「逃亡のそぶりはなさそうだな。ならば、さっさと作業を終えるんだ」


 兵士が長剣をさやにおさめた。


 サンロランは、穴の底の土をひとつかみ、空になった革袋に入れた。


「それだけか」といぶかしげな兵士に、


「養分をふくんだ良い土壌はそんなにたくさんあるもんじゃないんです」


 サンロランは、堀った土を戻して穴をうめた。ランタンを持った兵士に見張られながら、研究所の寺院に戻っていく。


 うまくやりとげたぞ、とサンロランは胸をなでおろした。せっかく完成した〈命の球〉(ライフボール)をやつらの手に渡してなるものか。これをカオーリンの出生土(しゅっしょうど)にうめれば、最愛の妻はよみがえるのだ。


 そのためにはカオーリンが生まれた土地を突きとめなければならない。夫のわたしには、自分の出生土(しゅっしょうど)の産地を教えてくれてもよかったじゃないか。大地の精の掟なんか、くそくらえだ。


 サンロランは寺院の正面にまわって驚いた。その向こうに広がる墓地の闇に、無数の青白い光が浮かびおどっている。


 ――しまった。できそこないの〈命の球〉(ライフボール)が逃げだしたんだ。


 完成した赤い〈命の球〉(ライフボール)を革袋に隠すのに気をつかうあまり、それらを保存していたケースのふたを閉めわすれた。サンロランは自分の失敗に気づいたが、もはやとりかえしはつかなかった。


 青い光のすじをひいて、失敗作の〈命の球〉(ライフボール)が墓地の土のなかにつぎつぎにもぐりこんでいく。サンロランの体は恐怖に震えあがった。


                  *


 アリスがハイランド王国に旅立ったあと、ランドとチビット、ゴーラの一行は、今回の依頼人の住む町ヒルチャーチに出発した。


 ランドはアリスの行くすえに懸念があった。


 炎の予言によれば、アリスが13歳になったとき、よみがえった妖魔王とその軍勢を阻止するという。巨大な敵に立ち向かう運命のアリスを、ランドは全力でサポートしようと心に誓った。


 それは自分の力を過信した誓いではなかったか。


 妖魔王と戦うとなれば、アリスのもとに全人類が力を合わせなければならない。それを達成できる力をもつ国家として、この世界でいまもっとも勢力のあるハイランド王国は適任だろう。


 ここは、そのハイランドにアリスをたくすのが最善の策なのかもしれない。もちろんランドも協力をおしまない決意だ。


 炎の予言から2か月が過ぎた。妖魔王と決戦のときまで、あと4年と10か月ある。それまでに経験を積んで自分の能力を高めなければならない。いまは、今回の冒険の達成に心を集中しよう。


 ヒルチャーチに着いたのは日没間近だった。暗くしずんだ町を見下ろす丘のふちに、オレンジ色の太陽がかかっている。町の片側の平原の先に、黒ぐろとした森がたたずんでいる。問題の寺院があるのは、あの闇の奥だろう。


 ヒルチャーチは人口5000人の町だと聞く。暮れなずむ街路に住人の姿はほとんどない。玄関先で涼む人をちらほら見かけるだけだ。多くは就寝前のひとときを家族と屋内で過ごしているのだろう。


 ランドの一行は、閉まりかけた宿屋に飛びこみ、なんとか一夜の宿を確保した。依頼人であるエセル・ド・ライト伯爵を訪問するのは明日の朝になった。


 ランドは店の主人にエセル伯爵についてたずねてみた。


「気難しい老人だよ。8年前に奥方を亡くして、いっそう偏屈になった。息子は2人いて、次男のサンロランが、伯爵のなにか怒りにふれて勘当されたらしい」


 エセル伯爵はヒルチャーチの支配者で、自分の長男を町長にして町の統治にあたらせている。伯爵の屋敷は、村の背後の丘に建っているという。


 ほかに目ぼしい情報はなかった。ランドの一行は、簡単な夕食をたのんでそれをたいらげると、酒場の2階の部屋にさがった。


「ようやくヒルチャーチに着いたわねえ。組合のじいさんに仕事を紹介されたときには、こんなに遠いとは思わなかった」


 依頼をもってきたチビットが、テーブルに翼を休めながら不平を言った。


「ここに来るまでに、それはぼくも不審に感じた。ヒルチャーチにも冒険者組合はあり、冒険者だって大勢いるだろう。なんだって、ここから1日半かかるミルキャニオン村の組合に依頼の要請をしたのか」


 ランドは自分の疑問を口にした。


 エセル伯爵の依頼には、ヒルチャーチの住人の外聞をはばかるなにかが隠されているのではないか。ランドはそう推測した。その仕事がなんであろうと、依頼料さえ払ってもらえれば、ランドに文句はない。


 うちらの評判がヒルチャーチにも聞こえていたのよ、とチビットは自慢げだ。


 翌朝早くに、ランドとチビット、ゴーラは宿屋を出た。ヒルチャーチの街並みをぬけ、そのうしろの丘に建つエセル伯爵の屋敷を目指す。


 依頼人の住まいは、4階建ての石造りの立派な家屋だ。屋根窓がいくつも並び、建物の2階部分をとりまくベランダから外階段がのびている。


 ランドのノックに応えて屋敷から出てきた使用人に用向きを伝えた。ランドの一行は玄関をぬけてすぐのホールに案内された。


 左手奥から、幅のある階段が踊り場で直角に曲がり、ホールの周囲に突きだした回廊につながっている。4階ぶん吹きぬけのホールの窓から、朝のやわらかい陽ざしが振りそそぐ。


 ホールの陽だまりの壁ぎわに、ひじかけと高い背もたれのある長椅子が置かれ、ランドたちはそこで伯爵を待つよう使用人に言われた。


 長椅子には藁ではなく、厚い敷物がしかれていて、座り心地はよかった。チビットが、ランドの隣のひじかけに止まる。どすん、と反対側に椅子がかたむいた。チビットがひじかけからもんどりうって落ちる。


「なによ。なんだって、こんなにかたむくのよ」


 チビットが長椅子のかげから抗議した。


「それは、おいらが椅子の片側に座ったからなんだな」


 ランドをはさんだ反対側に腰かけたゴーラが答えた。


「おまえの仕業か。もっと静かに座りなさいよ」


 チビットがひと飛びでひじかけに戻り、ランドの頭ごしに文句をつけた。


 こんどは、がたがた長椅子が小刻みに揺れだした。ひじかけの上でチビットの体がはねる。すべり落ちないよう両手ですがりつきながら、


「なんだって、こんなに揺れるのよ。こんどは地震?」


「それは、おいらが貧乏ゆすりをしているからなんだな」


「じっとしていなさいよ。ただでさえかたむいて座りにくいんだから」


「おいらみたいに行儀よく腰かけて依頼人を待ったほうがいいと思うよ」


「あんたが座ってるせいで、あたしが行儀よくできないんじゃないか」


「2人とも、ぼくの頭ごしにケンカするなよ」


 たまらずランドは、チビットとゴーラのあいだにはいる。


「エセル伯爵は気難しい老人だって酒場の主人が言ってたじゃないか。礼儀正しく待っていたほうがいいよ」


「そうなんだなあ。緊張するんだなあ」


 ゴーラが座りなおし、ぎしっ、とさらに長椅子がかしぐ。


 杖をつく音が聞こえてきた。母家に通じる廊下から、大階段の踊り場の下を通って、直立不動で歩く細い人影がホールの光のなかにあらわれた。


 エセル・ド・ライト伯爵は60歳近いだろう。顔に厳しいしわが寄っているが、その体に年相応のおとろえは感じられない。杖を手にしているのはポーズで、歩行に支障はなさそうだ。ぴんと伸ばした背すじは避雷針さながら、いつ雷が落ちてもおかしくない雰囲がある。


「遠路をはるばるご苦労だった。おぞましいモンスターを根絶やしにするため組合から派遣された冒険者は君たちだね」


 エセル伯爵が、深みのある低く明瞭な声でただした。


「う、うへえっ」


 ゴーラがさっと立ち上がり、がたん、と長椅子が平らになる。そのひょうしに、ひじかけの上でチビットが飛びはねる。


「そんなに固くならずともよい。まずは椅子にかけていたまえ」


「うへっ」ゴーラがあわてて座ったいきおいで、


「どひゃあ」チビットがもんどりうって落ちていった。


 今日は天気がいいから、と依頼内容は裏庭で聞くことになった。


 母家と翼棟でL字に囲まれた裏庭には、手入れのいきとどいた芝生が広がっていた。母家の2階部分をめぐるバルコニーから庭に階段がつづいている。


 芝生に並べられた、いくつものテーブルのひとつに、ランドとチビット、エセル伯爵がついた。そのそばにゴーラが突っ立っている。


 あんたは座るな、とチビットに言われたのだ。


 きみらにやってもらいたいのは、とエセル伯爵が深みのある声で話しだす。


「主街道に通じる林道ぞいの森の奥に、いまは使われていない寺院がある。その寺院の墓地に夜になると悪霊が出没するのだ」


「その悪霊については、どれだけわかっているんですか」


 ランドはきいた。相手は〈生きる屍〉(アンデット)の可能性があるのだ。


「今年の8月に、ヒルチャーチに疫病が発生した」


 伯爵の話は3か月前にさかのぼる。


「同じ集合住宅に住む者が病に倒れていった。わしらはその住宅を封鎖して、病気が町に広まるのをふせいだ。その害悪は悪魔の仕業だとわしは信じておる」


 疫病は30人ほどの犠牲者を出しておさまったらしい。その病で死んだ者の体には悪魔がとりついている。再び疫病が発生しないよう、いまは使用されていない、森の墓地にその亡がらを埋葬したという。


「つまり悪霊の正体は、悪魔にとりつかれた、その遺体だというんですか」


 ランドは伯爵にたずねた。


「わしの憶測だがね。それが墓地で目撃されたのは1か月ほど前だ。最初の犠牲者は墓泥棒の一味の3人だった。重症をおって1人生きのびた悪党が町の衛兵に被害をうったえ、その邪悪な存在が発覚した」


 まずはそのすさまじい腐敗臭で気づいたと、生きのこった悪党は証言した。闇に浮かびあがった5、6体の影は人間のようだった。するどい歯と爪でいっせいに襲いかかってきたという。


 その翌朝、衛兵の一団が、ずたずたに引き裂かれた2人の泥棒を被害現場に見つけた。その遺体は、現場の古い墓地に埋葬されたらしい。


 〈生きる屍〉(アンデット)の可能性は高まったようだ。では、ヒルチャーチの僧侶(クレリック)や衛兵に悪霊の退治をまかせず、どうして他の村の冒険者組合に依頼をかけたのか。


 ランドはその点をたずねてみた。


 エセル伯爵の表情が険しいものに変わった。


「きみらは優秀な冒険者だという。理由はそれで充分じゃないのかね」


 エセル伯爵には、まだ隠していることがありそうだ。ここで依頼者の機嫌をそこねるわけにはいかない。ランドは黙って頭を下げた。


「お母さん、お外はこんなに天気がいいわ」


 2階のバルコニーに、8歳くらいの少女と、その少女に面差しの似た20歳半ばくらいの女性が並んで立っている。


「エルザ、あんたは病気なんだから外に出てはいかん」


 とがめるエセル伯爵の口調に、孫を心配する気持ちがランドには読みとれた。


「おい、カオーリン。ちゃんと娘の面倒を見てもらわなければ困るじゃないか」


 伯爵に言われ、カオーリンと呼ばれた女性があやまった。エルザを言い聞かせ、母子が室内に戻っていく。


「ごくつぶし男の嫁のカオーリンと、その娘のエルザだよ」


 ランドの問いかける視線に、エセル伯爵が答えた。


「そのごくつぶしというのはサンロランさんですよね」


 エセル伯爵の表情が再び一変した。


「あいつは勘当した。その名前は口に出したくもない」


 32歳のサンロランは仕事もしないで洞窟の調査ばかりしていた。調査旅行でカオーリンを見そめて恋におち、サンロランとのあいだにエルザが誕生した。


「その2人の結婚を許したのは、8歳上の長男が家柄のいい娘さんをもらい、ヒルチャーチの町長になっていたからだ。次男には好きなようにさせてやった」


 伯爵家はこれで安泰だと思っていたという。ところが、


「長男は結婚して10年たつがいまだに子供ができん。エルザは一粒種になりそうだ。ゆくゆくは婿をとらせ、その息子に家を継がせることになるかもしれん。そのエルザが難儀な病気にかかってしまった」


 エセル伯爵がしぶい表情で続けた。


「サンロランさんを勘当されたのは、どうしてでしょうか」


 ランドは、気になっていた事情をたずねてみた。


「あいつは人間にあるまじき、いかがわしい研究をするようになった。あいつの研究所は、悪霊の出る墓地の寺院だ。ついででかまわない。まだ生きていれば本人を、死んでいればあいつの遺体を連れかえってくれ。以上だ」


 ぴしゃりと言って、エセル伯爵が席を立った。もう質問はごめんだとばかりに、杖つく足どりを急がせて母家に戻っていった。


 ついでだと伯爵はつけたしたが、それがこの依頼の本当の目的ではないのか。ランドの頭にそんな疑念がきざした。


 なぜ素直にそう頼まないのか。そこには外聞をはばかる理由があるのではないか。それはサンロランに関係している。だから、ヒルチャーチから離れたミルキャニオンの組合に依頼をまわしたのではないか。


 それはサンロランを見つければわかることだ。彼が生きていればの話だけど。


 化け物が墓地にあらわれるのは日没後だという。ランドの一行は、それまでのあいだエセル伯爵邸にとどまり、化け物退治の作戦をねりはじめた。


「冒険者のみなさん。なんのお話しをされているの?」


 母家のバルコニーの手すりに、エルザが身を乗りだしていた。そこから様子をうかがっていたらしい。バルコニーの階段を小走りにおりてきた。


 ランドたちが作戦会議をするテーブルのそばに、荒い息のエリザが立ちとまった。やせ細った体の白すぎる肌は健康そうには見えない。目を好奇心にかがやかせているのは、妖精やゴーレムがめずらしいのだろう。


「きみは病気で戸外に出てはいけないと伯爵が言っていたよ」


 ランドは軽くエルザの行為をとがめた。


「おじい様はいないし、お母さんが目をはなしたすきに出てきたの」


 エルザが悪びれる様子もなくこたえた。


「病気が悪くなるといけない。すぐに自分の寝室に戻ったほうがいい」


「わたしはもう大丈夫よ。わたしと同じ〈冬枯れ病〉にかかっていたお母さんだって、病気を治して戻ってきたんだから」


 エルザの母親のカオーリンが〈冬枯れ病〉をわずらったのは2年前だという。病気を治しに屋敷を出ていき、3週間前に完治して帰ってきたらしい。


「エルザ」


 あわてた様子のカオーリンが、母家のバルコニーからおりてきた。光沢のある茶色い髪を背中にゆらし、白い肌をほんのり上気させている。ゆったりしたすそが足首までとどく、長袖の白いブリオーをまとう。


「ちゃんと休んでいないと、病気は治りませんよ」


 カオーリンがエルザの両肩に手をおき、娘の顔のぞきこんで注意した。


「だって、ご本で読んだ妖精やゴーレムを見かけたんだもの」


 エルザが、母親に甘える声で言いわけした。


「ぼくは、あなたの夫のサンロランさんの救出を依頼された――」ランドは自己紹介してから、「サンロランさんはどんな研究をされていたんでしょうか」


 伯爵が隠しているらしい事情を問いただしてみた。


「夫は、わたしの病気を治す方法を見つけようとしていたみたいです。義父がその研究をどう思い、夫を勘当したのかは知りません」


「あなたは、サンロランさんが見つけようとしていた治療法で病気を治したんじゃないんですね。2年前に屋敷を出ていき、戻ってきたときには完治していたという。どこでどうやって治療したんですか」


「病気は治りましたが、その後遺症で、治療中の2年間の記憶がないんです」


 カオーリンがそう言い、ランドの質問をかわすように、視線を娘に投げる。


「エルザの病気もかならず治ります。世界最高のお医者さまを屋敷に呼んだと義父が言っていましたから」


 ベッドに戻りましょう、とカオーリンがエルザをうながして歩きだした。


 ランドは母娘を目で追いながら、カオーリンもなにか隠していると直感していた。彼女が2年間の記憶をうしなったのは本当だろうか。



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