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始まりの始まり
今日から大学生。これから真新しい匂い漂う新設のキャンパスでこれから青春色の大学生活を送る。
桜の木々が両端を彩る、校門から校舎への道を歩く。俺は春が大好きだ。冬に溜めたエネルギーを放出しているように感じ、冬を乗り越えた喜びを感じられるから───
「おーい、弘樹ー」
20メートルほど後ろだろうか、背中から声をかけられた。
俺を知ってるやつなんて居たか?
高校では気が置けない仲間といえる人はいなかった。だから俺に声をかけるような人はいない、はずだ。と、色々考えながら後ろを振り返る。
170センチあたりの男の人だ。ん?
「何してんだよー、居るのなら連絡しろよなー」
え?誰だ、こいつ?マジで見たことがない。
いや、この人は俺に対して話しかけてないのかもしれない。そう思い、歩いていた方向を見たが、誰もいない。
「どこ見てんだよ、俺だよ、俺」
そう言って、その男はにやっと笑った。
いや、だれやねん。
今日から大学生。これから真新しい匂い漂う新設のキャンパスでこれから青春色の大学生活を送る、はずだった。