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セブンスコード  作者: 鳥島飛鳥
7/11

1話 『プロレスラー豊田竜二』(7)

 俺は初めて死具を召喚した広場で、怜奈とリンガーを呼び出した。

 ミセはあのまま気を失った。今は森に隠してある怜奈のマンションで寝かしてある。あいつはもう戦う必要なんかない。

 俺が守ってみせる。絶対に……。

「それで? 僕たちはどうして呼ばれたんだい? あまりいい予感はしないのだけど」

「まあな。あんたが考えている最悪なシナリオを考えればいい」

作戦の概要を説明する。

もっとも作戦とは言っても、グレンと一騎打ちで破る。それだけだ。

その為には周りのドラゴンが邪魔だ。

「作戦の概要は俺がグレンを制圧。リンガーお前はドラゴンの軍勢を抑えて、人々を守ってくれ」

「ふぅ。どうやら僕の願いは聞き入れてもらえなかったようだね」

「すまねぇな。だが、お前には嫌でも参加してもらう。これ以上、ミセの所為で人を死なせてたまるかよ」

 人を死なせてしまう辛さは時に人を殺す。それが正常な人間だ。だからこそリンガーは重要なポジションにいると言っていい。

「まあ、いいさ。グレンの討伐とくればこちらにも旨味はある。精々騎士らしく国民を守らせて貰うさ」

リンガーはそれだけ言うと持ち場に戻る。まっあいつなら上手くやるだろう。

 俺はグレンに集中すればいい。

「先輩……本当にひとりで戦う気ですか?」

「そんな心配そうな顔をするな。俺はこの為に呼ばれたんだよ。なあに、俺はただ『試合』をするだけだ」

「くすっ。先輩現役時代と同じ顔をしていますね。あ~それだけで死んでよかった~と思えますね~」

「……お前は歪み過ぎと思うけどな」

「そうですか? あたしは普通ですよ? あと『例の件』はミセさんにしっかり怒られて下さ~い」

 楽しそうに笑う怜奈。

 そうだ。ミセもこんな風に笑わせてやるさ。


   ◇◇◇


 リンガー・シャラン。

 

僕は決して無謀なことをしない性質だ。

 僕って基本めんどくさがり屋だしね~。気が付いたら王国最強とか言われるようになったけど……根本はそんなに強い人間じゃない。

 本当は美味い酒と美女に囲まれて暮らしたい。

「……それがいつのまにかなぁ~」

 あの青年に僕は逆らえない。強力な魔力が僕を縛り付けている。

 ……だが、実は逆らおうって気も起らなかったりする。あの青年は若い……。

 本当に甘っちょろい。見ていて胸焼けする。

 だが――不思議と協力したいという気持ちにはなってくる。

 今なら操られていました~っていう最高にカッコ悪い言い訳も立つしね。

 ああいう馬鹿な若者には手を貸したくなる。精々足掻こう。青年の夢が現実になるように。

「全軍! 進め!」

 

   ◇◇◇


 豊田竜二。

 

後方からリンガー隊とドラゴンとの戦闘音が聞こえ始めて数分。

 どうやら……リンガーの部隊は上手くドラゴンを引き付けているみたいだな。俺のところまではドラゴンの群れはやってきていない。ミセと怜奈も上手く隠れてるみたいだし……ここまでは作戦通りだ。

「……」

 ……心は落ち着いたもんだな。これから最強の敵と戦うっていうのに。命を懸けた戦い。そんな時代錯誤なことをするのに。


「ミセ・ガスト・ワンを渡してくれる気はなさそうですね。残念です」


 広場に降り立つ一匹のドラゴン。その背には赤髪の少女グレン・ホタル・シックス。前と同じ無表情。 可愛らしい顔の癖に凄まじいプレッシャーを感じる。

「一応聞いておくがミセを見逃してくれる気はないか? あいつは自由に生きたいんだ」

「それは不可能です。わたしたちセブンスコードの運命は決まっています。自由なんてどこにもないんですよ……それが力を持つ者の責任です」

「……」

 そう。力には責任が存在する。そして力が大きい程に責任は増す。ドラゴンの軍隊を自在に操るグレン。死者を蘇生させるミセ。ふたりの力はその最たるものだ。

 個人が持っていい力の限界を超えている。

「そうだ……。そんな力ない方いいんだ。だから俺は――セブンスコードを全員をKOする」

「……何を言っているんですか?」

 一瞬グレンの表情が変わる。俺が何を言っているのかが本気でわからないんだろう。

 自分でも馬鹿なことを言っていると思う。そんなことは不可能だ。だが、俺の死具であるプロレスリングには一つの可能性がある。

 それは勝った時に腰に巻かれるチャンピオンベルトだ。

命令してしまえばいいんだ。『二度と能力を使うな』と。簡単なことだ。

「これがなんだかわかるか……?」

 俺は腰まかれている『ふたつ』のチャンピオンベルト。ひとつはリンガーに勝った証。もうひとつは――ミセの力を封じてある。

 ミセが寝ているどさくさに紛れて、ミセの『蘇生』は俺が頂戴した。まっ……見た目は寝ている女の子に襲いかかってるみたいだったから、怜奈にはクズを見る目で見られたけどな……。

「まさか――それは。封印したのですか? セブンスコードの力を」

 俺のベルトに込められた魔力の大きさを理解すると、グレンの表情が初めて歪む。

 そう。俺は力のバランスを崩したのだ。

「馬鹿なことをしたものですね……」

「ああ。自覚はあるよ。それはセブンスコードの力を巡り戦争しているこの世界では大罪だ。だけどな……そんな大罪喜んで背ってやるよ」

 安いものだ。ミセがセブンスコードではなくただの少女になる為なら。

「俺は俺の目的の為にお前をぶっ飛ばす。お前の力を奪う。ああ……なんて言ったってこれは――戦争なんだからな。お前らが始め、お前らが望んだことだろう?」

 魔方陣を展開。内部に入れるのはグレン。

「さあ――始めよう。豊田竜二の試合を!」

「! ゲートオープン!」

 俺の魔力の危険性を察知して、素早くグレンが動く。俺の後方の空間に魔方陣を展開。そこから大型のドラゴンが姿を現す。

 体長3メートルはあろう巨体。死の恐怖をジリジリと背中に感じる。

『グギャアアアアアアアアアアアアアアアアア』

 俺が思考するよりもドラゴンの動き方が早い。空間を飛び出し空に飛ぶ。大きな翼をはためかせ、最もこの場で脅威になる人間、俺に飛びかかる。

 だが――。

「悪いな。リングの中にはファンは入れないんだよ」

 ドラゴンの巨体が見えない壁に遮られる。ドラゴンはそのまま不可思議な結界から距離を取る。ドラゴンにとっても初めて経験だろう。自分の力で破壊できないものは。

 そうなれば次は最強の一撃が来る。街を燃やし尽くした『ドラゴンブレス』。

 地獄の業火と呼ぶに相応しい業火。

「それもきかねぇよ」

 ドラゴンの業火さえも俺のリングは遮る。

 ありえない光景だ。ドラゴンブレスが内包している魔力は桁違い。か弱き人間が遮るなど――。

「これはただの魔力障壁じゃない。ましてや物理的な物でも……まさか、お兄さん――空間を遮断しているのですか?」

「さあな。この世界に来てさほど時間が経ってないからな。詳しい事情は知らん」

「そうですか」

 グレンは無表情だが、初めて焦りのような感情が見て取れる。初めてだろう。世界を亡ぼせる、セブンスコードの力が通用しないのは……。

「これで邪魔者は来れない。さあ、存分に試合を楽しもう」

「……あまりセブンスコードを舐めないで下さい」

「なっ!」

 リングの外に浮かび上がる無数の魔方陣。十や二十じゃない。数百という膨大な魔方陣。それ一つ一つが――ドラゴンの巣だ。

「なんだ! この数は!? で、デタラメじゃねぇか! お前ぇぇ! この辺の人間を全て殺す気か!」

「お兄さん。人の心配をしている余裕がありますか? ――お兄さんが一番最初に死にますよ? コード解放――ホタル」

 グレンの皮膚が赤く染まり、鋼鉄の強度を持つ鱗が現れる。

 体長は2メートル近くになり、大きな翼を広げる。

 これがグレン・ホタル・シックス最強の力『竜神化』。

 原初の再現。究極の神秘。

「ウガガガアガアアアアアアアアアアアア!」

「……怪物という言葉がお似合いだな」

 甘く見ていたわけではない。だが、敵はセブンスコード。世界を亡ぼす力だ。

 俺の想像が足りていなかった。

 空を舞う。数百匹のドラゴン。世界の終焉を思わせる幻想的な光景。さらには目の前にはこの世が誇る 最強生物。

 絶望という言葉する生温い状況。そんな状況の中で――勇ましく立っている少女が目にうつった。


「セブンスコードはあなただけじゃないの」


 ドサッ。

 その時、ドラゴンの首が一つ地に落ちる。

 セブンスコード。ミセ・ガスト・ワンが立っている。

「まったく……せっかく隔離してたのによ。守る人間が前に出てきてどうするんだよ。『刀』も奪っておけばよかっか?」

 ミセの手には禍々しい邪気を帯びた紫色の刀。蘇生と二分するミセのもうひとつの切り札。結界刀『ガスト』。

 刀を起点に結界を張り、内部に居る者に距離という概念を無視して斬撃を浴びせる。

「リュウジ! 私は――大丈夫だから! 大丈夫だから! あなたと戦う」

 自ら傷ついて、泣いて、それでもミセは立っている。強い女だ。

 生きるために。自由を掴むために。ひたすら前を向いている。

 普通の人間がミセの立場ならとうに命を投げ出している。ミセは立ち止まりもする、弱音もはく、だが、「死にたい」とは絶対に言わない。

 そんなミセを笑顔でいさせたい。それが俺の願いだ。

「あははっはははっははははは! お前は最高の女だ」

 笑いがこみあげる。あんまりの状況に頭がいかれたのかもしれない。

 だが、おかしくて、おかしくて、ただ面白い。

 こんなに面白いのはいつ以来か。久しく感じていなかった高揚感。このリングと一体化したような感覚。

 その全てが俺に生きる理由をくれる。

「さあ、お前にはベルトは渡さない。勝者はひとりで、それは俺だ」

 着ていたTシャツを脱ぎ捨て、グレンと向き合う。

 相手は人間でもない竜神。だが、人の領域を超えているという点では、強大な魔力ブーストを得ている 俺も変わらない。十分人間を辞めている。

「さあ、始めようぜ。今までにない階級、さらには種族無差別の試合を!」

「うがあががっがががっががががああああああああ!!!」

 まずはあいさつ代わりのウエスタン・ラリアット。人間の限界を超えグレンの喉元に向かう死神の鎌。

 だが、グレンは紙一重でかわす。この時点で風魔法を使いこなすリンガーよりも速い。

「そうこなくちゃ面白くないぜ!!」

 掴まれた腕を振り払い、高々とジャンプし、横に一回転しつつ足の裏を相手の顔面に繰り出す技、ローリング・ソバット。

 足裏はグレンの顔面をとらえ、すぐさま着地し体制を立て直す。

「ぐがががっががっがががががあ」

 効果あり。グレンの額の鱗が何枚か剥がれ落ちる。

 この状況グレンにとっても予想外なのだろう。たったひとりの人間に竜神化した自分が追い込まれているのだ。

 それも自分と同じセブンスコードではなく、下に見ていた部外者に。

 その感情がグレンの動きにスキを作らせる。

「ちっ。倒れてくれないか! だが! 手応えはあったぞ!」

 片足を軸にしての回転後ろ回し蹴り、スピンキック。鋭い蹴りがグレンの肩をとらえる。

「ぐがっがががががあああああああああああああああああああ!」

「くっ」

 グレンの咆哮。

 そこで一瞬。ほんの一瞬怯んでしまう。竜神相手にはそれが命取り。爪が俺の腹を貫く。噴き出す鮮血にこの世の物とは思えない痛み。

 しかし――それで止まるほど俺は正常じゃない。

「がふっ……あははっは。捕らえた」

 腕を掴み、腹から爪を無理やり抜かせる。傷の回復を開始。

 ここから寝技に移行させる――予定だった。

 が……グレンの猛攻は止まらない。爪で胸筋を裂かれ、頭を鷲掴みにされそのままマットに叩きつけられる。

 揺れるマット。さらに爪が飛んでくる。刹那の瞬間俺は下半身を起こし逆立ちをするように頭をけり上げる。ほんのわずかなスキができ、俺は拘束から抜け出し距離を取る。

「はぁはぁ。デタラメな奴だな……」

 俺は今の数回のやりとりで普通なら何度か死んでいた。それを避けられたのは膨大な魔力のブーストがあってこそだ。

 魔力ブースト。俺の生命線で切り札だ。だがそれは――有限。

 このままチマチマと小技を出してもいてはガス欠になる。ならば俺が誇る技の中でも最大の威力を誇る大技で、一撃で勝利をもぎ取ってやる。

「どうせミセがここに居るということは『あいつ』もここに居るんだろうよ」

 俺は視線をグレンに固定したまま、リングの周りに張り巡らせていた結界を一部解く。そしてロープを掴み外にリングの外に出た。

 逃げるつもりはない。プロレスではリング外の一部も戦う舞台だ。

「さあ、出てきやがれ! 怜奈!」

「先輩! とっておき見せてください! あたしは先輩の大ファンです!」

 俺の足元に浮かび上がる魔方陣。そして俺の身体は空に向けて上がっていく。

 怜奈の死具、タワーマンションの顕現。高さ約百メートルの屋上に俺は立っている。

「……良い風だ」

「リュウジ……」

 ミセが向かってくるドラゴンを切り伏せる。

 ここにミセが居るのは想定にない……まっこんなことをするのは怜奈しかいないか。

 あいつ全部計算づくじゃないだろうな……? まっいいか。

「観客はミセか。怜奈も粋なことをする」

 目を瞑る。

 トラウマはそう簡単に消えるものじゃない。人間はそんなに強くできていない。

 胸中に、脳に、住みつき心を犯していく。俺は嫌って程トラウマと付き合ってきた……いや、目を背けていただけか……。

「ミセ。生きることは辛いことばかりだ。それは現代でも異世界でも変わらない」

 酒に逃げていた日々。頭にこびりつく憎悪の声。

 全て俺だ。俺の人生だ。後悔しかない日々。

 だがこれからは少しでも明るくあってくれと願う。それが願っていいことなのかはわからない。でも俺は――。

「楽しく生きようぜ! せいいっぱい馬鹿みたいに笑ってよ! それが人生だろ!」

「……うん!」

 ミセの笑顔を見ると同時に俺は屋上から飛び降りる。

 タワーマンション三十階からの飛び降り。

 誰もやらない。考えもしない究極の技。地上百メートルからのボディープレス。

 俺のトラウマ根源であり……俺の最高のフィニッシュホールド。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 身体を刺す風圧。

 身体に無理やり魔力を流し込む。ありったけ。ありったけ。ありったけ。ありったけ。全ての魔力を身体強化へ!

「限界が何だ! 不可能が何だ! それを超えてこそプロレスラーだろうが!」

 目標のリングからはグレンが構えているのが見える。生命力、魔力がグレンの体内に満たされていくのを、俺の察知能力が捉えた。

 頭の中でガンガンなる警報機。よけろ! 自分自身に呼びかけるのを、魔力を上乗せして無視する。

 ミセが戦っているドラゴンが消え、グレンも全ての魔力を次の一撃に掛ける気だ。

『ががあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』

 ドラゴンブレス。

 魔力の咆哮と共に炎が俺に襲い掛かる。それは眷属のドラゴンが放つものとはさらに別次元。全てを燃やすのではなく溶かしつくす魔炎。

「それがどうした! 俺のボディープレスは――最強だ!」

 身体一つで魔炎に突っ込む。

 肉体が溶かされていく感覚。魔力ブーストを少しでも弱めれば一瞬で溶かされる。

「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 俺は――この世界に来れてよかった。

 やっと……生きる意味を見つけることができた。それはかけがえないもので、大切なもの。俺はそれを守るために戦い続ける。

 命を燃やし、立ちはだかる敵をすべて薙ぎ払う。

 プロレスラー豊田竜二として!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 轟音。

 ドラゴンブレスを貫き、グレンの身体に直撃。鋼の硬度を誇る鱗を砕ききる!

 意識は朦朧と。それでも立ち上がる。

「先輩! カウント始めます!」

 倒れる訳にはいかない。プロレスラ―は勝ち名乗りをあげられるまでは絶対に倒れない!

「ツー! スリー! 勝者――豊田――竜二!」

 高らかに声を上げる怜奈。

 俺の腰に巻かれるチャンピオンベルト。

「俺が! 最強だああああああああああああああああああああああああ!」

 叫ぶと俺はあっさり意識を失った。


   ◇◇◇


 誰かに頭を撫でられている気がする。

 優しい手触り。やすらぐ……。

「んん……」

「わ、わぁ、お、起きた!」

 目を開けるとそこには慌てた様子のミセが隣にいた。

 ここは……怜奈のマンションか。この俺のグッズだらけの部屋が他にあると思えない。

 というか……思いたくない。

「ミセ。うぅ……俺は……」

 記憶は曖昧だ……俺はどうして……っ!

「そうだ! お前怪我ないか!? あれからどうなった!?」

「ちょ、ちょっと待って! そ、そんな近づかれたら……!」

「わ、わるい」

「い、いえ。別に嫌なわけじゃ……あー! もうっ! 今は状況の説明!」

 ミセは顔赤くしたと思ったら、悲しみに顔を染める。

「あなたはグレンを倒したわ。その後気絶してしまったけど……酷い状態だったのよ? 全身の骨は粉々で 魔力はからっぽ……脳もやられてて」

 俺そんな危ない状態だったのか……? マジ命拾い……あれ? 今折れても動くし、魔力も回復してる……。

「おい! まさか! ミセ! また寿命を使ったのか!」

「蘇生はあなたに奪われたじゃない。それについては後で説教。それにあっても使わないわよ……使ったら……怒るじゃない……」

 いじけた様な子供みたいな顔。

「えっ?」

「また寿命を使ったらリュウジが怒るじゃない。だから寿命は使ってない」

 拗ねた子供だ。目の前に拗ねた子供がいる。

 そんな反応が愛おしくて、ミセの頭を優しくなでた。

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