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2話 少女と騎士、村へ

「着いたぞ」

 全身に鎧をまとった、中は美人な金髪の女性、について森の中を歩いていくと、5分かからずに森を出ることが出来た。森の外は草原で、緑の草が一面に広がり小さな花が何本か咲いていた。森から離れた所には舗装された道路があり、車一台くらいなら通れる幅がある。この世界に車があるのかは不明だが。そのまま道路にそって歩いていくと、10分程で小さな村にたどり着いた。

「ここは?」と私が質問すると、「パリアスという村だ」と女性が答えてくれた。

 道路が村を真っ直ぐ両断していて、中央には大きな広場がある。その広場を中心にして円形に色んなお店がある。お店の脇には細い道があり、その先には家があるように見える。

「パリアスは商業村しょうぎょうそんだ。ここら辺のさまざまな物を売っている。私たちのような騎士団も、武具や食料、衣服等の補充に役立てている」

 女性は村には入り、道路を真っ直ぐ進みながら説明してくれた。

 大きな広場には、馬車が3台ある。それがこの女性の、騎士団なのだろうか。周りには、女性に似たような格好の人が、おそらく騎士だろう、何人かいる。似たような、とは、彼女とは鎧の色が違うのだ。彼女は綺麗な銀色の鎧なのだが、他の騎士は黒に近い色の金属の鎧を纏っている。たが、鎧の形は変わらない。全身にぴったりとフィットしているのだろうか、ゴツゴツとしたものではなく、スリムな鎧だ。どちらかというとパイロットスーツのような感じだ。

「座れ。まずは知っていることを聞こう」

 女性は馬車の近くにあるテーブルに添えられたイスに座り、ヘルムを外しテーブルに置いた。私は後について、銀色鎧の女性の正面に座った。すると、1人の騎士が近づいて来て、銀色鎧の女性に礼をした。右手は真っ直ぐ地面に向け伸ばし、左手は腰の剣の鞘に当てて、頭を少し傾ける。それがこの騎士団の礼なのだろう。そして、礼をされる、ということは、彼女は先輩ということなのだろう。

「お疲れ様です、ミリアード様」

 声の感じからして、礼をした騎士も女性だろう。

「ああ。飲み物を2つ用意してくれ。酒はいらん」

「承知しました」

 再び礼をした騎士は、テーブルから離れて飲み物をとりにいった。そして、銀色鎧の女性が私に自己紹介をした。

「私はミリアノ騎士団団長の、ミリアード・テレイルだ。現在は、命令によりパリアス周辺の調査をしていた。お前がそれに関係者あるかもしれないので連れてきたのだ」

 調査、つまり私が何かの事件、事故に巻き込まれたってこと?

 私がそう疑い、顔を強ばらせたのを見て、ミリアードさんは言った。

「そう緊張しなくていい。調査と言っても、マナの不安定な場所では良く起こる、空間くうかん変異へんいが原因のゆがみの調査だ。周りに害をもたらすものじゃない。ただ、発生した場所が村の近くだったために、安全確保のため、一応調査しよう。ということだ」

 なるほど。ぜんぜん大丈夫そうに見えない。聞き慣れない単語が出てきたからだろうか。マナ。空間の変異。歪み。ここが自分の常識の通じる場所じゃないことはよくわかった。

 ミリアードは私が頷いたのを、理解したのだ、と思ったようで私に自己紹介をするように促した。

「えっと。安藤あんどう理子りこです。16歳の、高校1年生です」

 丁寧に、こちらの世界の挨拶をすると、ミリアードは私をじっと見つめている。

 なかなか可愛らしいだな・・・。黒に少し茶を混ぜた髪色で、ショートのボブ。肌の色は黄色が入った白。顔が小さく、肩も細い。胸もあまり大きくはない、か。良いな・・・。

 ふーっ、ふーっ。とミリアードは鼻息を荒くしながら理子を見ていた。

「あ、あの・・・。あんまり見られると・・・」

 理子は恥ずかしそうに、いやどちらかといえば、不審者から逃げるように体をよじる。

「あぁ。すまない」

 一度咳払いし、質問した。

「今知っていることや、知っている場所を教えてくれるか?」

 先ほどの女性騎士が持ってきたココアみたいな飲み物を飲みながら、理子は日本という国や自分の素性について話した。

 自分が学生であることや、趣味がアニメやゲームが好きであること、どうしてここに来たかは、どうしたら帰れるのかも不明であること。

「なるほど」

 ミリアードには、なぜか疑っている様子はない。

 普通、別の世界から来た、なんていう話を簡単に信じることは出来ないと思う。理子はそう思っていた。

「信じてるんですか?」

 理子が聞くと、ミリアードはココアを一度口飲み、話してくれた。

「実は、ここアテアノス大陸には、救世主の伝説があってな。大陸を闇が侵食し始めたとき、名も無き英雄が現れ大陸を救うと言われている」

 ミリアードはどこか、ヒーローに憧れる子供のように、その英雄について話した。

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