第56話 世界情勢1944―4
今回は、枢軸国編です。
ヒトラーは、大変機嫌が良った。
4月の初め、フランスのノルマンディーに軍の上陸を許してしまったドイツ軍であったが、三ヶ月間掛けて遂に連合軍をフランコから追い出したからである。
さらに、黄色い猿ではあるが東方の味方としている日本がシンガポールを制圧したと言うのだ。
東洋の黄色い猿にしては、思ったよりも活躍してくれているのだ。
ヨーロッパの同盟国であるムッソリーニ率いるイタリアなんかよりも遥かに多く戦果をあげているのだ。
最初は、ヒトラー自身日本とかいう黄色い猿の国は、あっという間に負けると思っていたのだ。
なんせ、同盟国と言っておきながら、我がドイツにしたことは、自国の弱いペラペラな戦闘機を貸しただけ。
それに対して、我がドイツは最新の暗号機を日本に与えたり、新型ではないが耐久力の高いエンジンの設計図を与えたり、おこなったのだ。
世界で最も優れているアーリア人の自分達が作った兵器で戦っているのだから、黄色い猿でも勝てるのだと考えていと。
もっとも日本が今となっては、全くそれらを使用してないとは、知らなかったのだが。
そんなように考えるヒトラーにも一つだけ日本に許せないことがあった。
公にはしないが、日本の天皇が嫌いなのである。
1942年の天皇が行った中華民国での話が特に許せないのである。
天皇の演説とは、以下の内容である。
「我々日本人は、貴国に対して覇権を得るための踏み台としていました。
そもそも我々日本人は、日清戦争以後、中華民国の人々を人とは思わずに侵略してきました。
それは、我が国民の最も間違っている考え方です。我々日本人は、
[ どのような人々も同じ人である ]
ということをすっかり忘れてしまっていました。
今後は、一切そのような事が、無いようにすることを約束します。」
この話は、ナチスドイツのアーリア主義を批判しているようなものであるからだ。
アーリア人は、絶対という自分のドイツと全く違う考え方をしているのが気にくわないのである。
今は八月、ヒトラーはフランスの南部の都市リヨン郊外の別荘の1つにいる。
ヒトラーがリヨンにいるのは、ここリヨンで4ヵ国の代表による話し合いがあるからだ。
この会談は、のちにリヨン会談と呼ばれるようになる。
その代表とは、
ドイツのヒトラー総統
イタリアのムッソリーニ首相
フランスのヴィシー政権のピエール・ラヴァル首相
スペインのフランコ国家元首
の四人である。
ピエール・ラヴァル首相
「遠路遥々ようこそ、お越しくださいました。
ヒトラー総統閣下、ムッソリーニ首相、フランコ国家元首。」
と言って頭下げた。
ヒトラー総統
「うむ。
ここは、悪いところではないな。」
ムッソリーニ首相
「どうも」
フランコ国家元首
「初めまして、ピエール・ラヴァル首相 」
四人とも椅子に座った所でピエール・ラヴァル首相が話始めた。
ピエール・ラヴァル首相
「ヒトラー総統、ノルマンディー防衛戦お見事でした。さすがは、世界一のドイツ軍であります。」
そこにすかさずムッソリーニは、言った。
ムッソリーニ首相
「さすがは、ヒトラー総統のドイツ軍です。
連合国なんかものともしませんでしたね。」
ヒトラー総統
「うむ、余の軍隊はな、ヨーロッパを棄てていったやつらになんか負けんのだよ。
ところでラヴァル首相、余が受けた報告では、自由フランスを名乗る奴等も敵に居たそうだが。
君らはどっちなのかね。
余の味方なのかね、それとも敵なのかね。
いったいどっちなのかねラヴァル首相。」
ラヴァル首相
「それは、ですねヒトラー総統閣下。
ええとですね………… 」
と言ってラヴァル首相は、黙ってしまうのであった。
少し間が空いた所で、
ムッソリーニ首相
「ヒトラー総統、そのぐらいにしてあげてはどうです。
自由フランスは、フランスを棄てたド・ゴール将軍が勝手にやったこと。ラヴァル首相のフランスとは、立場が違います。
ラヴァル首相は、ヒトラー総統に感謝しているのです。」
ラヴァル首相
「そうなのですヒトラー総統閣下。
ヒトラー総統閣下には、感謝してもしきれないぐらいです。ヒトラー総統閣下の軍が無ければ私どものフランスは、侵略を許したままになっていました。
私どもヴィシー政府としても、やつら自由フランス政府には、困っておりまして。」
ヒトラー総統
「では、ラヴァル首相。
フランスは自由フランス政府に困っていて、さらに余の助けに感謝しているのだな。
それならば、余がどうにかしてやろうじゃないか。
なぁムッソリーニ首相、今回は、ちょうどいい機会ではないのかね。」
ムッソリーニ首相
「ちょうどいい機会ですね、ヒトラー総統。
フランコ国家元首もそう思いませんか。」
フランコ国家元首
「そうですねヒトラー総統。
ヒトラー総統のお陰で遂に我々も枢軸国の仲間に加わる事が出来るようになりましたから。
フランスのヴィシー政府のラヴァル首相としてもいい機会では、ないのではないですか。」
ヒトラー総統
「どうだね、ラヴァル首相。
ムッソリーニ首相もフランコ国家元首もこのように言っているぞ。
余としてもラヴァル首相のフランスが加われば、良いと思うのだぞ。
どうかねラヴァル首相。」
そう言ってヒトラーは、笑顔で圧力をかけた。
ラヴァルは、必死に考えた。
確かに我々は、ヒトラーに媚びを売ってきていた。
が、何のために同盟を組まなかったかを。
だが、どう見てもヒトラー率いるドイツが有利にこの戦争は動いているのではないかと。
このまま何もせずにいるのは、不可能ではないかと。
逆にヒトラーの仲間に入った方が結果的にいいのではないかと。
ドイツの宣伝相のお陰でフランス国民のなかには、ノルマンディーに上陸作戦を行った連合国に怒っているものもいる。
そのため反英感情も高まってきているのだ。
そこまで考えたラヴァルは、
ラヴァル首相
「わかりました。ヒトラー総統閣下、我々フランスも枢軸国の仲間となり、連合国となりましょう。
中立を保っていた我が国に侵略したイギリス、アメリカを許すことなんか出来ません。」
ヒトラー総統
「そうだな、ラヴァル首相。
よく決意してくれたな。」
ムッソリーニ首相
「これでドイツは、ソビエトにもアメリカにも負けない最強の軍になっていくでしょう。
本当にめでたいですねヒトラー総統。」
フランコ国家元首
「ええ、そうですねムッソリーニ首相。
これでドイツの力を止められる者は、無くなりました。
フランスと共に我々スペインもドイツと共に連合国の奴らを叩きだしましょう。」
ラヴァル首相
「ヒトラー総統閣下、これからよろしくお願いします。
私たちフランスは、総統閣下の為に働いていきます。」
ヒトラー総統
「うむ、よろしく頼むぞ。」
8月22日フランスリヨンにて独伊仏西四国軍事同盟が結ばれたのであった。
この四国軍事同盟に日本が招待されなかったのは、ヒトラーが個人的に日本を嫌いだった為、ヨーロッパではないから、どうせ日本は最初に負けると思われていたから、
など様々な理由があるとされているがどれが真相なのかは分からなかった。
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次回も来週末となります。




